ダイエットには特別なサプリや特殊な食材の置き換えが必要? そんな入手しづらく高価なものがなくともダイエットは可能なのです。どこででも手に入りそしてお値段もお手軽。そんな食材が今、ダイエッターからも注目を集めています。その熱い食材とは「さば缶」。テレビでも話題になりましたが、どこのスーパーでもコンビニでも売られている、あの缶詰が体にも美容にもいいんです。
さば缶の魅力をひとことでいうなら、「やせるホルモンがモリモリ」。どういうことなのでしょう。
お医者さまに解説いただきました。医師で白澤抗加齢医学研究所所長の白澤卓二先生によると、さば缶には次のような特徴があることです。
■さば缶の3つのうれしい特徴
1、動脈硬化を防ぐDHAが豊富
2、食べるとやせるホルモンGLP-1が分泌されやすくなる
3、低糖質
このなかで聞き慣れないのは、GLP-1というホルモンではないでしょうか。さば缶を食べるとGLP-1という消化ホルモンが小腸下部から大腸にある「L細胞」という場所で分泌されます。ではなぜ、「やせる」と言われるのか。その作用をまとめてみました。
■GLP-1の3つの作用
1、脳に働きかけて食欲をコントロール
2、胃から食べ物が排出される時間を遅くして、血糖値の上昇をゆるやかに
3、血糖値を下げるインスリンの分泌を促進し、同時に血糖値を上昇させるグルカゴンの分泌も抑える
食べたいという欲求を抑えてくれるなんて、まさにダイエットに最適なサポーター。このGLP-1は、青魚に多く含まれているEPAによって生成されます。このEPAがもっとも多く含まれている魚介類は、さばなんです。じゃあ、生のさばを調理すればいいのでは? もちろんそうです。でも、さばには春と秋のシーズンがあります。白澤先生はこのようにおっしゃっています。
「秋さば、寒さばは脂がよくのっています。つまり(EPAを含む)脂質成分を豊富に含むということなのです」
一年中、潤沢にEPAを摂取するには、秋・冬のさばが有利。それを年中問わずに選べるのがさば缶の良さなのです。缶によっては、収穫時期が記されているものがあるのでぜひチェックを。
■まず選ぶべきは「水煮」のさば缶
さば缶はそのまま食べてもやせホルモンを分泌してくれます。けれどももっとGLP-1の力を発揮してもらうには、いろんな食材と一緒に食べると良いそうです。そのひとつが食物繊維。食物繊維と一緒に食べると、小腸下部から大腸を刺激し、GLP-1の分泌を促進してくれるというのです。
ではどうやって食べたらいいのか。この度、ダイエッター必見の超強力レシピ集が発売されました。『やせるホルモンが効く! さば缶ダイエット』(監修:白澤卓二、料理:落合貴子/主婦の友社)には、おいしくかつ健康的にさば缶を食べる方法が紹介されています。
まず選ぶべきは「水煮」のさば缶。さば缶にはみそ煮など味付きのものもあります。でもみそ煮には、調味料として砂糖が多く入れられているため、ダイエット効果はそれほどでも。なのでさば缶は水煮を選びましょう。水煮はご存じのとおり、味なしの素っ気ない...、いやシンプルな味わいです。ですが、シンプルだからこそ、アレンジのしがいがあるというもの。ここで同書より、さば缶のアレンジレシピをちょっとご紹介。
■新潟のソウルフード、サバサラならお手軽
さてさば缶は、食物繊維と一緒に食べると効果的と先ほど述べました。では、なかでもどんな食材がいいのでしょう。それは玉ねぎ。最強にしてさば缶と同じくらい手軽な食材、玉ねぎは、血液をサラサラにすると知られています。さば缶と玉ねぎを組み合わせることで、ダイエットだけではなく、生活習慣病予防にもなるのです。
この「さば缶+玉ねぎ」の組み合わせ。実は、新潟では"サバサラ"と呼ばれとっても人気なのです。では、作り方をご紹介。
サバサラの作り方
【材料(1人分)】
さばの水煮缶......1缶
玉ねぎ(小)......半分
マヨネーズ......3回転
刺身しょうゆ......1回転
一味唐辛子......3振り
【作り方】
1、皿の上にさばの水煮缶をのせ、ふたを開ける
2、マヨネーズを3回転かける
3、玉ねぎをあらくみじん切りにし、薄い酢水に15~20分さらしたら、「2」に盛る
4、刺身しょうゆを1回転たらす
5、一味唐辛子を振りかけて完成!
サバサラは、上に玉ねぎと調味料を乗せるだけ。スライスした玉ねぎが青魚独特のニオイを抑え、青魚が苦手な人でもおいしく食べられる一品です。このレシピを考案したのが、三条市でミニシアターカフェを経営する、関本秀次郎さん。関本さんによると、サバサラをおいしくするポイントは、「玉ねぎを薄い酢水に15〜20分さらす」とのことです。酢水にさらすことで、辛みが落ち着き歯ごたえもシャッキリ。酒のつまみとしてもおいしい一品です。
とっても手軽でおいしいひと皿をご紹介しましたが、さば缶のポテンシャルはこんなものではありません。家族が喜ぶごちそうに、酒のつまみ、ダイエット食として、まだまだいろんな食べ方があるのです。栄養士の落合貴子さんがたくさんのレシピを考案してくださいました。その一部をご紹介。
■メインディッシュにもさば缶
缶詰なのに見栄えも味わいもリッチ「さば缶とブロッコリー、チーズのオムレツ」。フワフワ卵にバターが香ります
■オシャレなお酒のおつまみにも
洋風おつまみにだってさば缶は便利。「さば缶のピザ風」は、冷凍ポテトやピザチーズなどを盛って焼くだけお手軽時短レシピ
■糖質オフなのにおいしい一品
ごはんの代わりに豆腐を使った「さばチリ丼」。ピリ辛がおいしく、おなかも満足のボリューム
この他にも、さば缶とめん類、あえもの、サラダ、スープ・なべなどさば缶のアレンジバリエーションは豊富なのです。おいしくダイエットにはもってこいのレシピ集です。同書では、主にさば缶のアレンジ料理が紹介されていますが、驚愕の体験者も紹介しています。なんとさば缶で3カ月で8キロも体重を落とした人が紹介されています。詳しく知りたい人は本書を手に取ってみてください。
最後に缶詰博士こと黒川勇人さんから、さば缶にまつわるサプライズなことを聞いてしまいました。
「(さば缶は)保存している間に熟成が進むので、同じ缶詰でも製造後1年のものと2年のものでは微妙に味が違うんです。そう、まるでワインのように製造時期ごとの熟成具合が楽しめるというわけです」
さば缶は時間がおいしさを引き出してくれるというのです。あなたのキッチンにもひとつやふたつ、埋もれているのでは? そのさば缶は熟成されておいしさが増しているはず。そのさば缶をおいしく食べて美容に健康に磨きをかけましょう! その際はぜひ同書を参考にしてみてください。
文=武藤徉子