50代女性の約1割の人が悩んでいるといわれる「耳鳴り」。加齢に伴う症状でもあるため、年齢が上がれば耳鳴りに悩む人も増えていきます。しかしいくら「加齢のせい」とはいえ、耳鳴りやめまいなどを放置してはいけません。
耳の不調や改善方法について、JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長の石井正則先生のお伺いしました。
朝目覚めたときから「ジー、ジー」「キーン」と言った耳鳴りにめまいが伴うと、起きるのもつらいですね。厚生労働省の「平成28(2016)年 国民生活基礎調査」によれば、50代の女性の約1割の人が耳鳴りに悩み、60代、70代と年を重ねるごとに割合は増加しています。その症状の陰には、加齢に伴って耳が聞こえにくくなる加齢性難聴、耳の奥のないじにリンパ液がたまっておこるメニエール病などの病気が潜むことが少なくありません。
耳鼻咽喉科を受診して原因を突き止めて、適切に対処することがなによりですが、耳鳴りにはストレスが関係していることをご存じですか? ストレスで自律神経のバランスが乱れると、耳鳴りやめまいの症状を引き起こし、メニエール病などの病気につながるのです。
「耳鳴りは、脳と体(の疲労)のバロメーターといえます。対人関係などのストレスでイライラして眠れなくても、皆さんは、がんばらなければならないと思うことがあるでしょう。脳と体が緊張し続けることで、体の症状として過剰反応が起こります。その一つが耳鳴りです」と石井正則先生は説明します。
耳鳴り、めまい、難聴は、過度なストレスで自律神経が乱れ、過剰反応の結果で起こり、それが病気の引き金になるのです。病気になる前に改善・予防することが重要といえます。
ご存じですか?「耳鳴り」&「めまい」
「めまい」とは?
▶気が遠くなる(気絶しそうになる)感覚
▶ふらつく、バランスを失う、不安定になる
▶漠然とぼうっとする感覚または頭がくらくらする感覚
▶動いているような感覚になる「回転性めまい」もある
その症状と患者数は?
▶バランスが取りにくい、歩きづらい
▶吐き気や嘔吐などを伴い、生活に支障を来すことも
▶40歳以上の40%くらいが経験する
「耳鳴り」とは?
▶周囲の音ではなく、耳の中で発生している雑音
▶耳鳴りは症状であり、特定の病気ではない
その症状と患者数は?
▶ジー、キーン、ザー、ヒュー、シューなどの雑音が聞こえる
▶個人差があり、耐えられる人も我慢できない人もいる
▶10~15%の人が経験する
これらの症状がある人は「加齢性難聴」「メニエール病」が潜んでいるかもしれません。
次の記事「「もしかしたら加齢性難聴?」 さっそくセルフチェック(2)」はこちら。
取材・文/安達純子