体は動いていないのに「天井がグルグル回る」「立ち上がれない」などの感覚に襲われるのが「めまい」です。ほとんどの場合、命にかかわる病気ではないのですが、そのままにしておくと日常生活に支障が出ることも。そうならないためにも、対処法を知り毎日を健康に過ごしましょう。
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20分から半日続く「メニエール病」は水分排出の治療がポイント
めまいが20分から半日ほど続き、耳鳴りや難聴などがあるときには、メニエール病が疑われます。内耳のリンパ液が増え過ぎて水ぶくれができ、三半規管や蝸牛(かぎゅう)などが刺激されて、回転性めまいや耳鳴り、難聴などを何度も起こすのです。
メニエール病は、ストレスが関与しているといわれています。「強いストレスを感じると、ホルモンのバランスが乱れて、水分を吸い上げる働きがある『抗利尿ホルモン』が分泌されてしまいます。それが内耳に作用して、内耳が水を吸い上げ、水ぶくれができると考えられています」と教えてくれたのは、「めまい外来」を開設している肥塚 泉先生。メニエール病は40歳代ら60歳代の女性に多く、真面目で几帳面な性格の人、ストレスの多い環境にいる人が、かかりやすいようです。
治療はリハビリや薬物療法が基本。ストレス発散のために、汗ばむ程度の軽い運動をしたり、友人と会っておしゃべりを楽しんだりするのもおすすめです。
数時間続く場合は「めまいを伴う突発性難聴」や「前庭神経炎」の疑いも!?
「めまいを伴う突発性難聴」になると、年齢を問わず、めまいとともに片耳が突然聞こえなくなります。ウイルス感染や内耳の血流障害などが原因で、「メニエール病と似ていますが、回転性めまいが起こるのは1度だけ。めまいがおさまっても難聴や耳鳴りが続くのが、メニエール病との違いです。治療が遅れると聴力の回復が望めなくなるので、2週間以内に受診することが大切です」と肥塚先生。「前庭神経炎」は耳の奥にある前庭神経が障害されて、めまいが起こります。これもウイルス感染や内耳の血流障害などが原因で、「風邪の1週間後ぐらいに発病しやすく、中高年に多いです」。回転性めまいやふらつきが数日続きますが、難聴を伴わないのが特徴です。めまいがおさまるまで2、3日は安静に。どちらもリハビリと薬物療法を行います。
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肥塚 泉(こいづか・いずみ)先生
聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科教授。同大学卒業後、大阪大学医学部耳鼻咽喉科、米国ピッツバーグ大学医学部耳鼻咽喉科などを経て、2000年より現職。「めまい外来」を開設し、5万人以上の診察にあたる。