水虫退治は長期戦。「家族一丸」の対策で拡大・再発を防ごう/水虫対策

pixta_10465792_S.jpg日本国内だけでも1000万人以上の患者がいるとされる水虫。水虫と言えば足がかゆくなるイメージですが、実は爪に水虫の原因菌が入り込み、痛みで歩けなくなることも...。夏場は水虫の原因である白癬菌が増殖しやすい時期。身近な人への感染拡大を防ぐためにも、夏に向けて万全の対策が必要です。

今回は水虫の基礎知識と、治療時や水虫防止に役立つ生活習慣などについて、浦和スキンケアクリニック名誉院長の渡辺晋一先生に伺いました。

前の記事「かゆくない。でもじつは水虫だった! 知らぬ間に増殖する菌に注意/水虫対策(2)」はこちら。

 

家族間の感染拡大・再発防止には「全員での取り組み」が大切

水虫に気付かずに放置すれば、夏になる度に水虫に悩まされ、ご家族などにも水虫を広げてしまいます。それを防ぐには、きちんと治すことがなによりです。

「足の皮膚のかゆみや皮膚病変は、必ずしも白癬菌が原因とは限りません。感染症とは異なる汗疱(かんぽう)や湿疹(しっしん)、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、靴下や靴などの接触性皮膚炎などは、水虫と間違われることが多いです。原因解明には、専門医の診断が必要です」と渡辺先生。

足に生じた皮膚病変が水虫かどうかは、皮膚や爪の一部を採取して顕微鏡で見ないと診断できないそうです。その上で適切な治療薬の使用が大切です。

「ご家族に1人、水虫の人がいたら他の人も水虫になっていないかを調べる必要があります。1人が治っても、他のご家族が水虫を発症していた場合は、また感染する可能性が高いからです。ご家族全員で感染源を断つことを心がけましょう」

白癬菌は、角層の下の細胞に触れたときに水ぶくれやかゆみを引き起こします。薬を塗ってすぐにかゆみが治まっても、白癬菌は角層に潜んでいる可能性が高いのです。治ったように見えても白癬菌が残っていると再発するため、最低1カ月は薬を使用し続けることが必要です。

「爪白癬は、従来は飲み薬のみでしたが、数年前に塗り薬も登場し、治療を行いやすくなっていますが、治るのに1年以上はかかります。足白癬を治療せず放置していると、爪白癬菌になりますので、爪白癬になる前に足白癬を治すことが大切です」

爪白癬は、水虫で増殖した白癬菌が、皮膚の角層から爪の中に入り込むことで起こります。通常の水虫薬では治すことができず、飲み薬の服用が治療の要でした。近年、爪白癬の塗り薬も開発されたことで、治療のバリエーションが広がったのです。でも、爪白癬はならないに越したことはありません。そのためにも、水虫の段階で治すことが重要なのです。

「白癬菌は高温多湿の環境を好むため、夏場に、靴下や靴を長時間はき続けると増殖します。水虫患者がいない家庭では、ご自宅に帰ったら足を洗い裸足で過ごすことも、予防に役立ちます。ただし、足の洗い方には注意が必要です」と渡辺先生。

足をナイロンタオルなどでゴシゴシ洗うことで、角質にはキズがつきます。すると、角質の中に白癬菌が入りやすくなって逆効果なのです。せっけんの泡で優しく丁寧に洗うのがコツ。また、お風呂上りにはタオルでよく拭いて水分を残さないようにしましょう。ドライヤーで足の裏を乾かすのもひとつの方法です。

家庭内に水虫患者がいる場合は、すでに足ふきマットやスリッパ、じゅうたんなどに白癬菌がいる可能性が高いので、まず水虫患者を治し、よく掃除を行うことが大切です。家族全員で水虫をしっかり治して予防し、夏を快適に過ごしましょう。

 

■知っておきたい達人のツボ1【爪白癬の薬いろいろ】

爪白癬では、爪の下に白癬菌が入り込んでいるため、飲み薬が有効とされています。代表的なのがイトラコナゾールとラミシールです。イトラコナゾールは1週間の服用後、3週間服用なし、を3回繰り返し、ラミシールは6カ月以上毎日薬を飲み続けます。2016年にルコナックという爪白癬専用の塗り薬が発売されました。さらに今年、ネイリンという飲み薬も薬事承認され、薬の種類は増えています。適切な薬を処方してもらいましょう。

 

■知っておきたい達人のツボ2【治療は「直接鏡検」する医師のいるところで】

足の皮膚が赤くなってかゆいと水虫と思われがちですが、別の病気のこともあります。白癬菌は顕微鏡でしか確認できないため、皮膚の一部を採取して顕微鏡で検査してくれる医療機関を選びましょう。正しい診断で適切な治療を受けることがなによりです。

 

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取材・文/安達純子

<教えてくれた人>
渡辺晋一(わたなべ・しんいち)先生

浦和スキンケアクリニック名誉院長。帝京大学名誉教授。東京大学医学部卒。米国ハーバード大学でレーザーを用いた最先端医療を学び帰国後、普及に尽力。1998年に帝京大学医学部真菌研究センター教授、同大医学部皮膚科学講座主任教授に就任。2017年に退任し現職。

この記事は『毎日が発見』2018年7月号に掲載の情報です。

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