かゆくない。でもじつは水虫だった! 知らぬ間に増殖する菌に注意/水虫対策

pixta_24371345_S.jpg日本国内だけでも1000万人以上の患者がいるとされる水虫。水虫と言えば足がかゆくなるイメージですが、爪に水虫の原因菌が入り込み、痛みで歩けなくなることも...。夏場は水虫の原因である白癬菌が増殖しやすい時期。身近な人への感染拡大を防ぐためにも、夏に向けて万全の対策が必要です。

今回は水虫の基礎知識と、治療時や水虫防止に役立つ生活習慣などについて、浦和スキンケアクリニック名誉院長の渡辺晋一先生に伺いました。

前の記事「「厚くて白い」爪は要注意。水虫が爪に侵入している可能性も!/水虫対策(1)」はこちら。

 

かゆみがなくても水虫。気付かぬうちに菌は増殖

水虫は、足の指の間や足の裏などの皮膚がかゆくなるイメージですね。でも、爪白癬のようにかゆくなくても、水虫になっていることがあるのです。

「皮膚の表面の角層や爪で白癬菌が増殖しても、そこには神経が通っていないのでかゆみは起こりません。白癬菌が増殖して角質の下の生きている細胞に触れると、体の免疫反応が働いて炎症が起こり、強いかゆみにつながるのです」と渡辺先生は話します。

足の裏は角層が厚いため、白癬菌が繁殖していてもなかなか「かゆみ」につながらず、水虫をさらに悪化させることになります。爪の白癬もしかりです。白癬菌が増えることで、角層や爪は厚くなり、爪は白く濁って変形します。白癬菌は高温多湿を好むため夏に繁殖しやすく、根治しないと冬場でも生き残り、再び夏になると息を吹き返すことになるのです

 
皮膚の仕組みと水虫ができるプロセス

■皮膚はこのようになっています
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皮膚の断面図。皮膚の表面に近い部分を表皮といい、その下に真皮があります。これら表皮と真皮を合わせて上皮といいます。表皮を拡大して見てみると、外側から角層(角質層)、顆粒層、有棘層、基底層となっています。

表皮の一番上にある角層は、角層(角質)細胞と呼ばれる平べったい「死んだ細胞」がレンガ壁のように積み重なっています。角層細胞は、最終的にはあかとなって肌表面から剥がれ落ちていきます。これが皮膚の「新陳代謝」や「ターンオーバー」と呼ばれるものです。

 

■水虫ができる仕組み
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白癬菌は表皮の角層に付着すると、たんぱく質を分解する酵素(ケラチナーゼなど)を出して 角層細胞を溶かし、ケラチンを栄養源にすることで増えていきます。

1807p085_03.jpg角層は「死んだ細胞」の集まりであるため、 ここに白癬菌が増えていても自覚症状はほとんどありません。白癬菌が増えながらどんどん角層の下まで進んでいくと、やがて顆粒層などの「生きている細胞」と接触します。

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「生きている細胞」では有害物質である白癬菌を感知すると、それを排除するために免疫反応が 起きます。「生きている細胞」から白癬菌が来たという情報が発信されると、 好中球(白血球)やリンパ球など免疫に関係する細胞が表皮に集まり、白癬菌を排除するために化学物質を放出します。その結果、炎症やかゆみ、水ぶくれなどの症状が現れます。

 

 

■水虫のいろいろ

・趾間(しかん)型
水虫の中でも最も多く、一般的に第4指(くすり指)と第5指(小指)の指の間の皮膚が白くふやけて皮がむける。角層が白くふやけない乾燥したタイプも。

・小水疱(しょうすいほう)型
土踏まずや足の側面などに小さな水ぶくれができる。水ぶくれが破れると、皮が付着するようになる。

・角質増殖型
足の裏の全体が厚くなり、冬になるとひび割れることもある。

 

次の記事「水虫退治は長期戦。「家族一丸」の対策で拡大・再発を防ごう/水虫対策(3)」はこちら。

取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

<教えてくれた人>
渡辺晋一(わたなべ・しんいち)先生

浦和スキンケアクリニック名誉院長。帝京大学名誉教授。東京大学医学部卒。米国ハーバード大学でレーザーを用いた最先端医療を学び帰国後、普及に尽力。1998年に帝京大学医学部真菌研究センター教授、同大医学部皮膚科学講座主任教授に就任。2017年に退任し現職。

 
この記事は『毎日が発見』2018年7月号に掲載の情報です。

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