日本国内だけでも1000万人以上の患者がいるとされる水虫。水虫と言えば足がかゆくなるイメージですが、実は爪に水虫の原因菌が入り込み、痛みで歩けなくなることも...。夏場は水虫の原因である白癬菌が増殖しやすい時期。身近な人への感染拡大を防ぐためにも、夏に向けて万全の対策が必要です。
今回は水虫の基礎知識と、治療時や水虫防止に役立つ生活習慣などについて、浦和スキンケアクリニック名誉院長の渡辺晋一先生に伺いました。
前の記事「水虫退治は長期戦。「家族一丸」の対策で拡大・再発を防ごう/水虫対策(3)」はこちら。
水虫にならない生活習慣&治療時におすすめの薬の使い方
■家で
家庭内に水虫患者がいない場合
白癬菌は高温多湿の状態を好むので、足に白癬菌をつけない、増やさないため足のケアは大切です。優しく足を洗って乾かしましょう。
家庭内に水虫患者がいる場合
・水虫患者の治療
・家庭内に存在する白癬菌がついたはがれ落ちた皮膚、ほこりを掃除でとり除く
なるべく素足で(水虫患者がいない場合)
家に帰ったら(靴を脱いだら)足を洗う
入浴後にドライヤーで足を乾かす
■外出時に
温泉やプールなどの脱衣所に注意
多くの人が使用する温泉などのバスマットには、高確率で白癬菌が存在するとの調査報告があります。脱衣所でもよく足を乾かすことが予防につながります。
■治療は焦らず
薬はたっぷりつける
白癬菌は赤くかゆくなった患部だけでなく、広い範囲に存在しています。きちんと治すには、広い範囲への薬の使用を。
クリームや軟膏は人さし指の第一関節までの量よりちょっと多めが目安(約0.5g)。それを4分割して、(1)全ての指の間、(2)全ての足の指、(3)足の裏全体、(4)かかとの側面に塗りましょう。
症状が治まっても白癬菌は存在している可能性があります。医師の指示に従って、完治するまで最低1カ月しっかり塗ることが重要です。
取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史
渡辺晋一(わたなべ・しんいち)先生
浦和スキンケアクリニック名誉院長。帝京大学名誉教授。東京大学医学部卒。米国ハーバード大学でレーザーを用いた最先端医療を学び帰国後、普及に尽力。1998年に帝京大学医学部真菌研究センター教授、同大医学部皮膚科学講座主任教授に就任。2017年に退任し現職。