酒井宏樹「順風満帆なサッカー人生を送る僕には致命的な弱点があった」/リセットする力

1本目メイン写真.jpgフランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、サッカーワールドカップロシア大会での活躍が期待されるサッカー選手、酒井宏樹。しかし彼は「弱気」で「人見知り」という性格の持ち主だった...。
サッカー選手に不向きなその性格をいかにして克服してきたのか? 本書『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』で、その具体的な方法を探っていきましょう。

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僕は18歳のときにJリーグの柏レイソルでプロサッカー選手になって以来、プロキャリアは2018年で10年目を迎えました。2011年にはJリーグ優勝とJリーグベストヤングプレーヤー賞受賞を経験し、そんな柏レイソルでのプレーが評価されて、22歳のときにドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96へ移籍しました。そして2016年の夏からはフランスリーグで優勝9回を誇る名門、オリンピック・マルセイユでプレーしています。

また、日本代表でも、今回のロシア・ワールドカップ出場に向けたアジア最終予選で全10試合中9試合に出場しました。このキャリアだけを見ると、順風満帆(まんぱん)なサッカー人生を送っているように思われるかもしれません。でも僕には致命的な弱点があったのです。
 
それは「自信のなさ」「メンタルの弱さ」です。おそらく多くの人が抱くサッカー選手のイメージは、何事にも動じない屈強なメンタルを持ち、目立ちたがり屋で、試合では「俺が得点を決めて勝ってやる」と自信みなぎる強い人間だと思います。だとすれば、僕はサッカー選手向きの性格ではありません。自分にあまり自信が持てず、恥ずかしがり屋で人見知り、しかも優柔不断。自分の意見や要求を相手に伝えたくても、いろいろなことに気を遣ってしまい、素直に感情表現できず、何かを伝えるにしてもつい遠回りをしてしまいます。
 
僕は小学6年生のときに、地元のJリーグのクラブ、柏レイソルの下部組織である「柏レイソルアカデミー」のセレクション(入団テスト)に合格し、中学1年から憧れの黄色いユニフォームを着ることになりました。しかし、チームメートはみんなセレクションを潜り抜けてきた実力者。「プロ予備軍」と呼ばれるエリート集団のなかに入ることで、自分の実力のなさと才能のなさを中学1年にして痛感しました。

小学生時代の柏マイティーFCではあれだけ楽しくサッカーをやっていたのに、中学生以降はつらいことも多く「サッカーをやめよう」と何度も思いました。プロサッカー選手になったあとも、柏レイソルの監督、コーチ、先輩方から「酒井は心が弱いのが一番の課題だ」と指摘を受けることがありました。

正直、ヨーロッパでプレーするいまでも不安になるときがあります。ですが、プロになって以来のこの10年間はプレッシャーや日々のストレスと向き合い、僕なりに第一線で生き残る術(すべ)を見つけてきたつもりです。それが、本書のタイトルでもある「リセットする力」です。わかりやすく言えば、心や思考の「切り替え」をうまくする方法になります。ちょっとしたコツさえつかめば、「くらべない」「気にしない」「引きずらない」を実践できるようになり、自然と心が強くなっていくはずです。
 
サッカー選手だけではなく、一般社会においてもメンタルは様々なことに影響を与えると思います。自分に自信が持てない、嫌なことがあるとなかなか気持ちを切り替えられない、常に何か不安や悩みを抱えている、他人に振り回されてつらい......。そういったことで日々ストレスを感じている人は多いのではないでしょうか。

本書は気弱な僕がサッカーを通じて、どうやって「メンタルの弱さ」や「自信のなさ」を克服していったのか、その思考のプロセスや技術をまとめたものです。僕はまだ人間としては未熟で、人にものを言える立場ではありませんし、僕の考え方だけが正しいとはまったく思っていません。

ただ、海外での厳しい戦いや重圧のかかる日本代表の試合を通して、僕が様々なことに気づけたように、本書が僕と同じ悩みを抱える人のヒントになれば、これほど嬉しいことはありません。

 

次の記事「「酒井宏樹「うまくいかないときこそ、自分軸の考え方で乗り切る」/リセットする力(2)」はこちら。

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酒井 宏樹(さかい ひろき)

1990年4月12日、長野県生まれ。千葉県柏市で育つ。柏レイソルU-15、U-18を経て2009年にトップチームへ昇格。2010年にJリーグデビュー。2011年にはチームの主力として活躍し、チームのJ1優勝とともに、ベストイレブン、ベストヤングプレーヤー賞を受賞。同年10月にはA代表に初選出される。日本での活躍が評価され2012年にドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96へ完全移籍。主力として活躍した後、2016年6月にフランスの名門オリンピック・マルセイユへ完全移籍。マルセイユ移籍後も確固たる地位を築き、不動の右サイドバックとして活躍。日本代表でも欠かせない存在として、2018年ロシア・ワールドカップでの活躍が期待されている。

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『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』

(酒井 宏樹/KADOKAWA)

「日本人は活躍できない」という前評判を覆し、フランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、世界の注目を集めるサッカー選手となった酒井宏樹。彼はいかにして「自信のなさ」と「メンタルの弱さ」を克服し、心を強くしていったのか。自然と心が強くなる具体的な方法をこれまでのエピソードをとおして初公開!

この記事は書籍『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46」』からの抜粋です。
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