シミ、シワ、たるみ...。こうした肌のトラブルにとって、紫外線や乾燥が大敵であることはよく知られていますが、実は「体の中」にも原因が存在しているんです。東京都健康長寿医療センター副院長の原田和昌先生に話を伺いました。
高齢になっても若々しい人はいます。実年齢より10歳以上も若く見られるのは、肌のハリなどがキープされて肌つやが良い証拠です。
多くの女性は、化粧品で保湿や紫外線予防など肌のケアを毎日のように行なっていますが、個人差もあり、肌の状態は異なることがあるでしょう。見た目年齢に差が出る原因のひとつと考えられるのが、血管の状態といえるのです。
「細胞の隅々に栄養分や酸素を届け、老廃物や二酸化炭素を回収するのは血液です。血の巡りが悪いと肌の状態も良くなくなり、見た目年齢に関わってきます。この血液循環に影響を及ぼすのが動脈硬化です。血管の柔軟性が失われて血管が変成し、血管の先の細い毛細血管は血流が滞るということが起こるのです」と原田和昌先生。
動脈硬化が進むと心筋梗塞や脳卒中、大動脈瘤などの大動脈疾患になったり、さらには腎臓などさまざまな臓器に悪影響を及ぼします。
国内の死因の第1位は「がん」ですが、第2位は「心疾患」、第3位は「脳血管疾患」で動脈硬化が深く関与しているのです。
でも、動脈硬化の進行は自覚症状に乏しいですね。その気付きの一助にもなるのが、肌の状態といえます。
「女性は閉経後、動脈硬化が急速に進みます。血管を守ることを心がけましょう」
■シミ、シワ、たるみを体の内部から防ぐあなたの「血管力」をチェック!
□血圧が高めである
□最近、体重が増加気味だ
□糖尿病(または予備軍)である
□運動はあまりしない
□脂質異常症と診断されたことがある
□たばこを吸う
□閉経している
□どちらかといえば魚より肉の方が好き
当てはまるものが多いほど、血管が弱っている可能性が高くなります。気になる人は内科、循環器内科の医師に相談を。
■シミ、シワ、たるみの原因
【外側から】
・紫外線
・ 乾燥 (水分不足)
紫外線で体内に生じた活性酸素により細胞が傷つくことで、肌はダメージを受けます。乾燥によって表皮のバリア機能が崩れることも、肌に悪影響を及ぼします。
【体の内側から】
・ 血管の劣化&老化
・ホルモンバランスの崩れ
・肌内部からの水分蒸発
血管の老化や劣化で動脈硬化が進むと、肌に必要な成分の供給や老廃物の排出が滞る他、血糖値上昇による糖化現象(※)も細胞を変性させます。ホルモンなども関与します。
※食事などから摂った余分な糖質が、体内のたんぱく質などと結びついて細胞を劣化させる現象のこと
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取材・文/安達純子