あなたは自分の平熱を知っていますか? 健康的な人の平熱は36.5~37.1度といわれ、日本人の平均平熱は36.9±0.3度(※)という報告もあります。ですが実はいま、平熱が36度未満という"低体温"の人が増えています。体温が低くなると免疫力が下がり、さまざまな病気を発症しやすくなります。そこで、救急医療のスペシャリストで血管の専門医である杉岡充爾先生に、体温を上げて免疫力を上げるコツを伺いました。
※出典:田坂ら:日新医学44:633,1957
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「体温が1度上がると、血液の流れが良くなり、免疫力が30~40%高まります。まずは自分の平熱を知り、体温が低い場合は、血流を良くして体温を上げることが、免疫力のアップにつながります」(杉岡先生)。
体温を上げるには、血流を良くすることが基本です。「血流を良くするには、抗炎症効果の高いうこん(ターメリック)や血糖調節作用のあるシナモン、体を温めるしょうが、食物繊維やビタミン、ミネラルなどが豊富なアーモンドミルクで作る、うこんラテを飲んでみてください」(杉岡先生)。うこんラテには、免疫力を向上する効果もあるので、冬場の風邪予防にもおすすめです。
うこんの代表的な健康効果
・動脈硬化、高血圧など、生活習慣病の改善
・血管の修復や強化。脳卒中の予防に
・消化を促進して腸を刺激。便秘の改善に
・肌の老化を防いで肌を若々しく保つ
血管を修復・強化するうこんとしょうが、シナモンで体温上昇
●うこん(ターメリック)ラテの作り方
材料(2人分)
アーモンドミルク...180ml
A うこん(ターメリック)パウダー...小さじ1
シナモンパウダー...小さじ1/2
しょうがのすりおろし...小さじ1/2
はちみつ...適量
作り方
1. 小鍋にアーモンドミルクを入れ、中火で温める。沸騰直前で火を止める。
2. 1にA を加えて軽く混ぜ合わせたらできあがり。お好みではちみつを加えもよい。
温浴と冷浴を繰り返して毛細血管を強化しましょう
お風呂に入って体を温めることも体温アップに効果的です。湯舟につかるだけでも体温は上がりますが、さらにおすすめなのが温冷交互浴です。
「温かい湯につかってから、冷水を浴びる冷浴を交互に行うことで、末梢血管が拡張、緊張を繰り返して毛細血管が鍛えられます。高齢の方や体力に自信がない方は、洗面器に冷水を入れ、手浴をするだけでもよいでしょう」(杉岡先生)。
●初心者は...「手」だけ温冷交互浴
準備
入浴する際、洗面器に冷たい水を入れ、湯舟の近くに置いておく。
やり方
1. 40度前後の湯舟に5分程度つかり、体を温めます。温まったら、準備をしておいた洗面器を体の近くに置き、手だけ入れます。
2. 1分ほどしたら洗面器から手を出し、湯舟に戻します。
3. 上記を3~5回繰り返します。
途中で髪や体を洗うなど、必ず湯舟から出て休憩を挟みながら行いましょう。
●慣れてきたら...「足」だけ温冷交互浴
やり方
1. 40度前後の湯舟に3~5分つかり、体を温めます。肩までしっかりとつかって、体をしっかりと温めます。
2. 足元だけに、シャワーで冷水を20~30秒かけます。最初は3回、慣れてきたら5回程度繰り返しましょう。
7回以上は避けましょう。
最後の冷水シャワーは、1分程度行うとさらに効果的です。
・寝る前や寒いとき、慣れていない人は、温浴で始まり、温浴で終わりましょう。
・寒くないときや、温冷交互浴に慣れてきた人は、温浴で始まり、冷水シャワーで終わると、より効果を感じやすくなります。体調に合わせて行いましょう。
◆「夜眠れない」は体温が下がらないから
1日の体温の変動幅は1度程度です。しかし、高齢になると体温の変動幅が少なくなります。そのため、夜間の体温があまり下がらず、睡眠が浅くなります。寝る1時間半ぐらい前に入浴すると、眠りにつくころにちょうど体温が下がり始めるため、入眠までの時間が短くなり、深い眠りを得やすくなります。
取材・文/笑(寳田真由美) 撮影/米山典子 モデル/山田ゆうこ