女性は40代から増え始め、50代から急増し、65歳以上では約40%以上の人が経験していると言われる尿漏れは、私たち世代には身近な問題ですよね。そこで、水分の摂り方や体操、最新治療などの「尿漏れ対策」について、女性医療クリニックLUNAネクストステージ院長の中村綾子(なかむら・りょうこ)先生にお聞きしてきました。まずは、知っておきたい「尿漏れを防ぐ!骨盤底筋トレーニング」についてご紹介します。
肛門と膣を締めて緩めるだけ。一生の習慣にして尿漏れ予防!
尿漏れの主な原因は骨盤底筋の緩み。
その緩みを改善し、尿トラブルを解消するのが、骨盤底筋トレーニングです。
「骨盤底筋を意識的に動かすことで筋力がつき、膀胱や子宮などの臓器をしっかり支えられるようになります。特に、腹圧性尿失禁や過活動膀胱に大きな効果が見られます」と、中村先生。
骨盤底筋は呼吸と連動して動くので、呼吸も意識しながら行うと効果的です。
横になった状態で、起床時と就寝前に行うと習慣にしやすくなります。
「症状が良くなるとトレーニングをやめてしまう人も多いですが、尿漏れに完治はほぼなく、再発もよくあります。また、いまは症状がない人も予防として行うのがおすすめ。どの年代の方もいますぐ始めて、一生の習慣として続けましょう」(中村先生)
呼吸のコツ
まず鼻から息を吸い込みます。
このとき、肺に空気が充満し、その下に位置する横隔膜が押し下げられ、骨盤底筋は下がります。
次に肺の空気がなくなるまで口からゆっくり息を吐き出します。
このとき、横隔膜は引き上げられ、骨盤底筋も引き上げられます。
トレーニングでは、肛門や膣を締めるときは息を吸い、緩めるときは息を吐き出します。
起きたときと寝る前に!あお向けトレーニング
●早い人は1カ月で改善!
●2~3カ月で70%が改善!
①あお向けになり、ひざを立てた状態でリラックスする。
②肛門だけをおならを我慢するようにキュッと締め、次にすっと力を緩める。2~3回繰り返す。
③肛門に力を入れる感覚でゆっくりギューッと締め、次にゆっくり力を抜いてすーっと緩める。2~3回繰り返す。
④最後に肛門にゆっくり力を入れて、ぐーっと骨盤底筋全体を体の中に引き込むようにし、ゆっくり力を抜く。2~3回繰り返す。
⑤膣と尿道を①~④と同じ要領で動かす。
①~⑤で1セット。3セットを1日2回続けましょう