健康診断で「貧血」と言われた。とくに症状はないのだが、再検査が必要?/高谷典秀先生「なんでも健康相談」

「病院に行くべきかどうか...」悩むレベルの"困った症状"、いろいろありますよね。
今回寄せられたのは、健康診断で貧血の診断をされた70代男性のお悩み。医療法人社団同友会理事長 高谷典秀先生がお答えします。

健康診断で「貧血」と言われた。とくに症状はないのだが、再検査が必要?/高谷典秀先生「なんでも健康相談」 nandemo01.png

 

Q

健康診断で「貧血」。症状ないが...?

70歳の男性です。先日健康診断を受けまして、その結果を見たところ、貧血があるらしく、再検査が必要であると書かれていました。

それ以外、とくに異常はなく、私自身も、どこもおかしいところはありません。立ちくらみがしたり、めまいがしたりすることもありません。

息子は、病気が隠れているかもしれないので、もう一度検査をするように言いますが、本当に悪いところが無いので、もう一度検査をするべきか迷っています。貧血があると、なにか病気が隠れていたり、他の病気に繋がることはあるのでしょうか。 

 

再検査し詳細を知るべき。怖い病気が隠れている可能性も

貧血というのは、血の中の赤血球の数が減っていく病気で、その原因は非常に多岐にわたります。

最も一般的な貧血には鉄欠乏性貧血があります。女性に多い貧血ですが、体の中の鉄が不足することによって起こります。鉄は赤血球を作るうえで必要な成分であり、この鉄が不足しますと、赤血球がなかなか作られなくなってしまい、貧血を起こします。この場合には、鉄を補充してあげることで改善します。

ご高齢の方で一番心配なものは、消化器系のがんの可能性です。胃がんや大腸がんがあると、患部から徐々に出血をする場合があり、その出血が原因となり貧血が進行してしまいます。

もう一つ怖いものでは、白血病がありますが、その場合には赤血球以外にも、白血球や血小板などにも異常が現れます。

たかが貧血といいましても、このように怖い病気が隠れていることがあります。赤血球の大きさや形を調べたり、白血球や血小板の状況や血液中の鉄の濃度などを見ることで、貧血の性質を突き止めることができますが、さらに胃カメラや大腸の検査による消化管出血の評価をする必要性が出てくるかもしれません。

しかし、病的なものではなく、もともと貧血気味の人もいらっしゃいます。ずっと以前から、赤血球の数が少な目で、数値がほとんど変わらないという人でしたらあまり心配は要りません。もしも、がんや胃潰瘍などで出血している場合には、日が経つにつれて病状が進行し、貧血が悪化していきます。それを調べるためにも、やはり再検査は必要ですので、ぜひ内科で、もう一度詳しい検査をしてみてください。(老友新聞社)

 

※そのほかの「高谷典秀先生「なんでも健康相談」」はこちら。

 

 

<教えてくれた人>
高谷典秀(たかや・のりひで)先生

医療法人社団同友会 理事長。順天堂大学循環器内科非常勤講師。日本人間ドック健診協会 理事。学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授。著書に『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』(株式会社法研)など。

この記事は『日本老友新聞』に掲載の情報です。
PAGE TOP