顔から汗が止まらない、イライラが抑えきれない、 悲しくもないのに涙が出る...それは「女性ホルモン」が原因かもしれません。そこで、15年間婦人科に通い続けドクターと二人三脚で若年性更年期を乗り越えた葉石かおりさんの著書『死んでも女性ホルモン減らさない!』(KADOKAWA)より、女性ホルモンと更年期の関係や食生活、運動、心のケアについてご紹介します。
ホルモン補充療法の不安解消 Q&A
Q:低用量ピルとHRTの違いは?
A:私の更年期治療のスタートはHRTではなく、低用量ピルからでした。
閉経前で生理があったこと、また生理痛が重かったこと(月経困難症)、さらにはPMS(月経前症候群)がひどかったことが低用量ピルとなった理由です。
この話をすると「低用量ピルとHRTって同じなの?」と聞かれるのですが、そうではありません。
低用量ピルの使用は原則、閉経前の50歳までの女性。
また基本的に子宮内膜症や月経困難症といった疾患の治療に用いられます。
実際、低用量ピルを飲み始めたことで、寝込むくらいひどかった生理痛も緩和しましたし、一番の悩みだったホットフラッシュ、猛烈なイライラもウソのように改善しました。
少なくなったエストロゲンを補うという意味で低用量ピルはHRTと同様の効果を得ることができますが、ずっと使い続けることはできません。
血液検査でホルモン数値の結果を見ながら、医師の指導のもとでHRTへと移行していきます。
HRTの目的は、更年期障害や閉経後の骨粗しょう症の予防。
閉経後の女性の更年期治療は基本的に全てHRTとなります。
HRTはピルよりもエストロゲンの量が少ないので不安でしたが、特にカラダの変化や不調は感じませんでした。
私もそうでしたが、女性の多くが「女性ホルモンは多いほどいい」と思いがち。
中にはHRTのジェル剤を必要以上に塗ってしまう人もいるそう。
でもこれはレッドカードです。
「不正出血の原因になりかねない」と吉野先生。
お酒もそうですが、女性ホルモンの量も適量がいいということですね。
ピルとHRT(ホルモン補充療法)の違い
●避妊用ピル(低用量経口避妊薬=OC)治療用ピル(LEP)
【使用目的】避妊や月経困難症、月経不順、PMS、子宮内膜症に伴う痛みの治療に用いる薬
【作用機序】排卵を抑制して子宮内膜を薄くするほか、避妊、月経困難症、子宮内膜症に伴う痛みの治療に効果がある
【主な対象女性】月経があり、かつ閉経前の女性
【女性ホルモン(エストロゲン)の強度】HRTの標準容量の約6~8倍
●ホルモン補充療法(HRT)
【使用目的】更年期障害や閉経後の骨粗しょう症などのエストロゲン欠乏による症状を治療する薬
【作用機序】不足したエストロゲンを必要最少量補い、エストロゲン欠乏に伴う症状に効果がある
【主な対象女性】エストロゲンが低下した閉経後の女性
【女性ホルモン(エストロゲン)の強度】閉経前の卵巣機能の半分から4分の1またはそれ以下
※低用量ピル、HRT ともに病歴や体質、喫煙などの生活習慣などによって処方できない場合があります。
女性ホルモンと更年期の関係や、更年期での食生活・運動・心のケアなどが、3章にわたってわかりやすく解説されています