「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」は、骨の強度が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。転倒して手をついたり、くしゃみをしたり、ささいなことで骨折することがあります。今回は、原宿リハビリテーション病院名誉院長の林 泰史 先生に「骨の強さ」について教えてもらいました。
骨の強さを決めるのは骨密度が7割、骨質が3割
「現在、国内の患者数は1,000万人以上と推計され、そのうち約900万人が女性。閉経後、急激な女性ホルモンの減少により骨がもろくなりやすいのです」と林泰史先生。
少し前まで骨粗鬆症は「骨密度(=骨の量)」が低い病気だとされていましたが、骨密度が高くても骨折する人がいました。そこで研究が進められ、2000年ごろから、骨密度に加え、「骨質」が大きく関わっていることが分かっています。
「骨密度は骨の中のカルシウム量で測定されますが、骨質はたんぱく質の一つであるコラーゲンの質や量などが関係しています。骨はコラーゲンが柱となり、その周囲にカルシウムが付着して形成されています。建物で例えると、柱となる鉄筋が骨質で、コンクリートが骨密度。周りのコンクリートの密度が高くても、鉄筋の質が悪いと全体がもろくなるのです」(林先生)
骨密度(建物に例えると「コンクリート」
+
骨質(建物に例えると「鉄筋」
=
骨の強さ
理想の骨
骨の中のカルシウムが十分で、骨密度が高く、
コラーゲンが束になった「コラーゲン線維」がしっかり周囲を支えています。
骨粗鬆症の骨
骨の中のカルシウムが少なく、コンクリート部分がスカスカ。
コラーゲン線維も劣化し、全体がもろく壊れやすい状態。
取材・文/岡田知子(BLOOM) 写真/PIXTA イラスト/やまだやすこ