認知症になる確率が上がる高血圧。実は気にすべきは高さよりも...

65歳以上の認知症患者は、なんと、およそ5人に1人! 人生100年と言われる現在、身体の寿命と同じように、脳の健康を延ばすことが人間の長生きの幸せなのではないでしょうか。そこで今回は、順天堂大学名誉教授で、アルツハイマー治療で日本トップの新井平伊先生による『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』(文藝春秋)より、「脳の健康」を保つ方法を連載形式でご紹介します。

【前回:血管性認知症やアルツハイマーのリスクも。血管をもろくする脂質異常に注意】

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血圧は高すぎても低すぎてもダメ。なるべく変動させない

高血圧は、塩分の取り過ぎ、飲酒などの食習慣や、肥満、運動不足、睡眠不足、ストレスなどの生活・環境要因に、遺伝的体質が組み合わさって起こると考えられています。

最大の原因は塩分の過剰摂取ですが、中年男性では、肥満が原因の高血圧も増えています。

血圧が高くなると血管の壁に強い圧力がかかり、血管が細く硬くなって傷ついてしまい、動脈硬化の原因になります。

血液を送り出す心臓の負担も増します。

特に、中高年のとき高血圧を放置していると、高齢になってから認知症になる確率が高まることがわかっています。

認知症の一次予防と二次予防の取り組みとしても、血圧のコントロールは欠かせません。

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高い血圧はよくないのですが、難しいのは、下げすぎると別の問題が起こってしまうことです。

人間の身体は、昼間は交感神経の働きによって活動的です。

夜になると副交感神経が優位になるので、リラックスします。

そのとき降圧剤などを服用すると、寝ている間に血圧が低くなり過ぎてしまうのです。

すると血液の流れが緩くなって滞ってしまい、脳梗塞が起こりやすくなります。

血圧は、実は高さを気にするよりも、変動の幅が問題なのです。

寝不足やストレスでも血圧は一時的に上がりますから、降圧剤を処方されている人は専門医に使い方をよく相談すべきです。

毎日の生活でも、ヒートショックに気を付けなければいけません。

特に冬の入浴です。

暖かい居間から風呂場の寒い脱衣場へ移動すると、血管が熱を奪われまいとして縮むので、血圧が上がります。

その状態で熱いお湯につかると、今度は血管が広がって血圧が下がります。

こうした急激な血圧の変動は心臓に大きな負担となり、心筋梗塞や脳卒中につながりかねません。

ヒートショックを予防するためには、前もって湯船のフタを開けておいて脱衣場ごと風呂場を温めておくなどして、温度差を防ぐといいでしょう。

熱いサウナと水風呂に、交互に入る人がいます。寒中水泳や、滝に打たれる行に挑む人もいます。

それをやり遂げたことで「意・情・知」の意が達成感や自信をもたらし、情の部分が満たされるというメンタル面の効果はあるかもしれません。

しかし、心臓や血管や脳のためには、あまりお勧めできません。

高齢者が血圧を下げ過ぎると、かえって認知機能が衰える場合もあります。

中年期のうちに生活を改善して、上手にコントロールすることが大切です。

【次回:実は歯周病が認知症の原因に!放っておくる負のスパイラルの可能性も】

【まとめ】「認知症にならない18の方法」記事リスト

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「脳の状態を把握することは、全身の健康を把握することと同じです」と新井先生。いますぐできる頭のメンテナンス、18の方法を解説します

 

新井平伊(あらい・へいい)

1984年順天堂大学大学院医学研究科修了。アルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と臨床を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。著書(監修)に『アルツハイマー病のことがわかる本』。

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『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』

(新井平伊/文藝春秋)

現在、日本人の「健康寿命」は大いに延びていますが、「脳の寿命」は身体ほど延びていません。そんな「脳の寿命」を伸ばし、活性化させる方法を老年精神医学の世界的権威である新井平伊先生が教えます。「少し汗をかく程度の有酸素運動を週に3回、30分くらい行う」など、具体的なアドバイスが盛りだくさんの一冊です。

※この記事は『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』(新井平伊/文藝春秋) からの抜粋です。

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