女性は40代から増え始め、50代から急増し、65歳以上では約40%以上の人が経験していると言われる尿漏れは、私たち世代には身近な問題ですよね。そこで、水分の摂り方や体操、最新治療などの「尿漏れ対策」について、女性医療クリニックLUNAネクストステージ院長の中村綾子(なかむら・りょうこ)先生にお聞きしてきました。まずは、知っておきたい「尿漏れの仕組み」についてご紹介します。
日常生活で尿漏れを改善する8つのコツ
① 水を飲み過ぎない。コーヒーやお酒は一日一杯を目安に
通常、人間は一日に1500~3000mlの水分を体外に排出します。
入ってくる水分量は食物中から250~500ml、その他から250~500ml、残りの1000~2000mlを飲料水で補えばほぼ問題ありません。
また、コーヒーやコーラ、緑茶、ビールなどに含まれるカフェインや炭酸、赤ワインに含まれるチラミンは膀胱や尿道を刺激し、働きを鈍らせる作用があるので、飲み過ぎは禁物。
② 膀胱を刺激しやすい食べ物はこれ
飲み物だけでなく、カフェインはチョコレート、チラミンはバナナやたらこ、チーズなど食べ物にも多く含まれているので注意。
また、キウイやグレープフルーツなど酸味が強い食べ物が尿漏れを引き起こすことも。
ビタミンCが膀胱の粘膜を刺激すると考えられています。
着色料や酸化防止剤などの化学物質が多く含まれるソーセージ類、インスタント食品や加工食品、辛いものも避けましょう。
③ 改善に効果的な食べ物はこれ
加齢による骨盤底筋の衰えを補うため、抗酸化作用(体内の細胞を傷つけ、酸化させる活性酸素から体を守る作用。)が高い長ねぎやにらなど老化防止効果のある食材、細胞膜を活性化させるコリンを多く含む長いもなどのネバネバ食材を積極的に摂りましょう。
体を温める効果のあるごぼうやかぼちゃ、にんにくなどもおすすめ。
④せきやくしゃみのときは肛門と膣をキュッ!
尿漏れのきっかけとして最も多いのがせきやくしゃみ。
その前に肛門と膣を意識してキュッと締めるように力を入れるだけで、これを防ぐことができます。
このとき、しゃがんで尿漏れを防ぐのは逆効果。
かえっておなかに力が加わり、膀胱を圧迫してしまいます。
⑤ 〝3つの首〟を温める
尿漏れに「冷え」は大敵。
季節を問わず、首、手首、足首を冷やさないように。
夏は冷たい食べ物や飲み物も欲しくなりますが、低温のものは避けましょう。
⑥ おなかを圧迫するガードルははかない
ウエストをきつく締める下着は、腹圧を加え、骨盤底筋に負荷をかけます。
尿漏れの不安があるときは、体形を補整する下着でなく、保温力に優れた素材のものを選んで。
⑦ 急な尿意はツボ押しで乗り切る
トイレが行列。
そんなときはツボ押しで尿意を紛らすことができます。
「中極(ちゅうきょく)」はへそから指の幅4~5本分下にあるツボ。
両手の人さし指と中指で5秒優しく押し、5秒かけて力を抜き、3~5分続けます。
「次髎(じりょう)」はお尻の上の平らな骨(仙骨)の少し上にあるツボ。
両手で腰をつかむようにして親指で強めに3~5分押します。
⑧ お出かけのときは対策グッズを活用する
尿漏れに悩む人の強い味方が、尿漏れ用のショーツやパッド。
ただし、一日中つけるのはよくありません。安心して尿意や尿漏れの症状を意識しなくなるからです。
外出時のみ使うようにしましょう。
吸水量はさまざまなものがありますが、できるだけ少ない量のものを選ぶのがおすすめ。
こまめに替えれば清潔な状態も保てます。