筋肉量の低下には断固、抵抗すべし!足腰の衰えが加速する「60代女性の体の変化」

自分の体が思うようにならない...、そんな違和感がありませんか? 女性は特に40代以降、更年期や閉経という新しいモードに入っていく過程で、なんらかのトラブルはつきものです。そこで、『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(常喜眞理/すばる舎)より、女性家庭医である著者が提案する、それぞれの年代で起こる女性の体の変化への「上手な対応策」を、連載形式でお届けします。

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筋肉・骨量ともに減少。放っておくと寝たきり予備軍へ一直線!

60代女性の健康キーワードは、ずばり「筋肉と骨」。この2つをできるだけ減らさないことが、体の「あばれ」を防いでくれます。

このこと、胸に刻んでおいてください。

筋肉の量や筋力は20代から徐々に減少し、60代後半からはその減少速度が急激に加速すると言われています。

特に体幹(胴体部)の筋肉量低下が著しくなります。太ももやお尻回りが、いつのまにか細くなってはいませんか?

実はこれ、「歳だから、そんなもの」と見過ごすわけにはいかない問題なのです。

筋肉が落ちると、どうなるでしょうか?

自分の体を支えるのがしんどくなりますね。要は疲れやすくなります。

そして疲れやすくなると、どうしても運動や外出がおっくうになります。

するとどうなりますか?

はい、ますます筋肉が落ちていきます。

そこに転倒、骨折でもして、ひと月以上も寝込んだりしようものなら、さらにガクーンと筋肉が落ちてしまうわけです。

これが「寝たきり」が始まるきっかけです。まだ元気なうちから、筋肉量の低下には断固、抵抗したいものです。
もちろん筋肉を落とさない工夫は30代、40代の時点でも重要ですし、若いうちからやっておくべきですが、最後の踏ん張りどころがこの年代なのです。

筋力トレーニングを大いにおすすめします。

が、注意したいのは、60代からの運動には効用もありますが、これまで以上に大きなリスクもあること。

過大な負荷は逆効果となりますので、くれぐもオーバートレーニングにはご注意ください。それから、鍛えるといっても、ガタつき始めている関節をいたわるために、階段はできるだけ利用しないこと。これはキーポイントとなります。

さらに60代にもなると、加齢により骨量も低下し、骨折しやすくなります。

骨がスカスカになる骨粗しょう症は80代以降の男女の50%以上に見られますが、女性は閉経期以降に女性ホルモンのエストロゲンが減少する影響で、男性よりも骨量の低下が早く始まります。

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骨量の低下は、ちょっとした転倒や尻もちでの骨折を招くため、筋肉同様、運動能力の低下に大きく影響します。こちらは定期的な骨量測定で、チェックを怠らないよう気をつけましょう。

頻尿、尿もれなどのトラブルが増加

この頃から、頻尿、尿もれなどの排尿障害を訴える女性も増えてきます。

加齢による膀胱の筋力低下に加えて、女性は子宮、膀胱、腸全体を吊っている膜や筋肉(骨盤底筋)が緩み、内臓全体が下がってくる"下垂"が起こりがちです。これにより、骨盤の下のほうのとても狭い部分に子宮や膀胱が落ち込み、子宮がただでさえおとろえている膀胱を圧迫して、頻繁に尿意を覚えることになるのです。

筋肉量の低下には断固、抵抗すべし!足腰の衰えが加速する「60代女性の体の変化」 オトナ女子_ページ_116_画像_0001.jpg筋肉量の低下には断固、抵抗すべし!足腰の衰えが加速する「60代女性の体の変化」 オトナ女子_ページ_116_画像_0002.jpg

命に別状があるわけではありませんが、生活に密着した問題です。外出を心から楽しめないのは寂しいですね。私なりの対策を後述したいと思います。

中高年からはメンタルの不調にも気をつけたい

筋肉や骨に加えて気をつけたいのが、メンタル面での不調です。
体の変化から、不眠を訴える方が増えてきます。

また、脳の老化に加えて、性ホルモンや成長ホルモンの減少、そして中高年にありがちな「喪失感」が引き金となり、この年代からうつ病になる方も多くいます。

「うつ病」は、決して他人事ではありません。この病気については詳しく後述しますが、先んじて心構えがあることは、病気を乗りきる上でも大きなアドバンテージとなるはずです。

もう60歳か.........と思うかもしれませんが、人生90年、100年という現代にあっては、まだまだ折り返し地点を過ぎたばかりです。

この先のクオリティ・オブ・ライフをできるだけ落とさぬよう、しっかりと健康づくりに励みたいものです。

イラスト/加藤陽子

★40代からの女性に!★マリ先生のその他の記事リストはこちら

筋肉量の低下には断固、抵抗すべし!足腰の衰えが加速する「60代女性の体の変化」 syoei002.jpg40代~70代まで、年代別に表れる症状の解説や、それに対する具体的な対応策を紹介。女性家庭医として著名な著者が、わかりやすく解説してくれる一冊です。

 

常喜眞理(じょうき・まり)

家庭医、医学博士1963年生まれ。常喜医院の院長としての診療とともに、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として、婦人科や乳腺外科の診察結果を総合的に最終診断する立場を担っている。テレビの健康番組にも多数出演。

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『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』

(常喜眞理/株式会社すばる舎)

40代からの女のカラダは健康リスクがてんこ盛りです!女性のための年代別アドバイスで心と体の次のモードに備えましょう。輝く後半生に向けて、めざせ健康オトナ女子!!!

※この記事は『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(常喜眞理/すばる舎)からの抜粋です。
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