え?体全体の健康に繋がるの!? 怠ると大変なことになる「50代の歯周病ケア」

自分の体が思うようにならない...、そんな違和感がありませんか? 女性は特に40代以降、更年期や閉経という新しいモードに入っていく過程で、なんらかのトラブルはつきものです。そこで、『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(常喜眞理/すばる舎)より、女性家庭医である著者が提案する、それぞれの年代で起こる女性の体の変化への「上手な対応策」を、連載形式でお届けします。

口腔内のケアは、体全体のケアにつながっています

70代、80代になっても食事を美味しく食べるには、歯と歯ぐきの健康が欠かせません。

口からきちんと栄養が摂れることは、きわめて有効なアンチエイジングでもあります。消化という観点からも、きちんと噛むことは大切です。

口から肛門までの長ーい消化吸収の管で"歯=刃"がついている器官は口だけだからです。

消化そのものにおける歯のありがたさを知っておいてください。

「胃の調子が悪い」と言って私のクリニックを訪れる方も、話を聞くと、高齢者の場合は歯の治療中や入れ歯の調子が悪いというケースが多いものです。

消化薬では解決できないのです。この年代からは特に歯周病に気をつけ、できる限り歯を守ってください。

歯周病と聞くと、「ああ、歯槽膿漏のことね。気をつけなきゃ」ぐらいに思われるかもしれませんが、実は10年ほど前から、この歯周病菌が体中で悪さをしていることもわかってきました。

ぜひ、みなさんに認識を新たにしていただきたいと思います。

心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病は生活習慣にかかわる病気として知られています。

いずれも生命を脅かす病気ですが、これらはどうやら、歯周病菌が血管に炎症を起こすことが、その原因のひとつになっているようなのです。

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本来、口の中にいるはずの歯周病菌ですが、口腔内の血管に入り込むことで、全身を駆け巡ることになります。そこで血管に炎症を起こし、血流を詰まらせて、怖い心筋梗塞や脳梗塞を生じさせるのです。

以前、私が勤めていた病院に、若い男性がくも膜下出血で搬送されてきました。

特に持病もなく原因不明だったのですが、後に発症前に抜歯をしていたことがわかりました。

抜歯後に処方された抗生物質をきちんと飲まず、熱が出てもかぜと思って放置していたようです。

結果的に歯周病菌が原因と思われる(細菌性)脳動脈瘤ができてしまい、破裂したというわけです。

歯周病が悪化することで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まることは、もはや広く言われており、医療の現場でも歯科との連携の必要性が叫ばれ始めているところです。
「歯周病」、くれぐれも侮ってはいけません。

加齢により、歯周病菌が繁殖しやすくなっています

30代を過ぎた頃から歯周病は増え始め、高齢者ではほぼ100%、口の中に歯周病菌を抱えることになります。

年齢にかかわらず歯周病対策は大事なのですが、50代ともなるとさらに注意が必要です。
加齢により唾液の分泌量が減り、口腔内の自浄能力が低下。

歯周病菌が繁殖しやすくなっているからです。

睡眠中は唾液がさらに減るので、お休み前のケアは特に念入りにしてください。
それでも起床時、口腔内の菌数は大便とほぼ同じくらいの量と言われています!
起床直後もよく口をゆすぐ、軽く歯磨きすることを心がけてください。

最低3ヶ月に一度は歯科でクリーニングを

大事なのは、日頃から歯周病菌の繁殖をできるだけ抑制すること。つまり口の中をきれいに保つことです。

しかしそれには日常のブラッシングだけでは不十分です。歯周病菌は歯と歯ぐきのあいだに歯周ポケットをつくり、奥へ奥へと入り込もうとします。

これをとるためには、毎日の歯間ブラシとフロスの使用、さらに定期的な歯科でのクリーニングが必要になります。

歯科でのクリーニングを「スケーリング・ルートプレーニング」と言います。スケーリングとは歯にこびりついた歯石を取り除くことです。さらに歯科の先生のご判断により、必要であればルートプレーニングといって歯根の表面を磨き、細菌がつきにくくする処置がなされます。

歯科でのクリーニングは痛いのでイヤ、という方がよくいらっしゃいますが、それは年に一度程度しかクリーニングしていないからではないですか?

歯石は時間が経つほど硬く厚くなり、とる量も範囲も増えることになります。当然、時間が長くかかり、痛みも伴うのです。

最低3ヶ月に一度。理想を言えば月に一度、歯科でプロによるクリーニングを心がけてください。

こまめに歯石をとっていれば、そうは痛まないはずですよ。私はクリニックで、美容院にいくような頻度で歯科に通いましょうとお話ししています。

ただし処置後は、ふだん歯石で覆われていた歯根が表に出てきて知覚過敏を起こしやすくなりますし、一時的に炎症を悪化させ痛むことがあります。ある程度の痛みは致し方のないところです。

私は歯の質があまりよくない体質なので、歯磨き回数は朝と夜の2回だけですが、夜は20分くらいかけています。普通の歯ブラシ、細いワンタフト歯ブラシ(歯の側面を磨くもの)、歯間ブラシ、歯間フロス、最後に電動ブラシと5種類も使って磨き、舌専用ブラシで舌をクリーニング。最後にマウスウォッシュでゆすいでおしまいです。

さらに歯科でのクリーニングへは、1~2ヶ月に1回通うと決めています。

ここまで言うと、さあとばかりに張りきって歯を磨く方が多いことでしょうが、ブラッシングの際は、どうか優しく、そっと磨いてください。

歯のエナメル質は意外に柔らかく、強いブラッシングは歯を傷つけてしまいます。多くの方が力を入れすぎていると言われており、新しい歯ブラシが1週間で開いてくるような方は要注意です。

さらにもうひとつ言うと、歯磨き前に入念に口をすすぐこともお忘れなく。

簡単に済ませる方が多いのですが、ここをおろそかにすると、逆に汚れを歯間に押し込んだり、色素沈着させたりしかねません。

優しいブラッシングと入念な口ゆすぎ、この2つがいかに大事か.........カレーをつくったあとのホーロー鍋を思い浮かべてください。鍋についたカレーをろくにすすぎもせずに、固いタワシでゴシゴシ洗うとどうなるか.........

口腔内のケアは、体全体のケアにつながっています。くれぐれもご自愛ください。

イラスト/加藤陽子

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syoei002.jpg40代~70代まで、年代別に表れる症状の解説や、それに対する具体的な対応策を紹介。女性家庭医として著名な著者が、わかりやすく解説してくれる一冊です。

 

常喜眞理(じょうき・まり)

家庭医、医学博士1963年生まれ。常喜医院の院長としての診療とともに、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として、婦人科や乳腺外科の診察結果を総合的に最終診断する立場を担っている。テレビの健康番組にも多数出演。

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『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』

(常喜眞理/株式会社すばる舎)

40代からの女のカラダは健康リスクがてんこ盛りです!女性のための年代別アドバイスで心と体の次のモードに備えましょう。輝く後半生に向けて、めざせ健康オトナ女子!!!

※この記事は『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(常喜眞理/すばる舎)からの抜粋です。
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