中途失明の原因の第一位ともいわれる緑内障は、40歳以上の20人に1人が発症するとても身近な病気です。自覚症状がなく、進行すると失明するおそろしい病気でもあります。少しでも緑内障による失明のリスクを減らすためには、どうしたらよいのでしょうか。検査方法や治療の最新事情はどうなっているのでしょうか。二本松眼科病院副院長の植田俊彦先生に聞きました。
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緑内障の検査方法は?
診断には眼圧検査のほか、眼底検査、視野検査で視野の欠損の有無や視神経乳頭(ししんけいにゅうとう)の変化を調べます。網膜や視神経乳頭の断面を見ることができる三次元画像解析装置(OCT=光干渉断層計)も普及し、ごく初期の診断も可能となっています。
失明を避けるために早めに眼圧を下げる治療を!
一度失った視野は回復しないので、点眼薬や手術などにより眼圧を下げることが唯一の方法になります。「正常眼圧緑内障」の場合も、眼圧を下げることが有効とされています。基本的には、タイプ・重症度・眼圧の高さに合った点眼薬で経過を観察します。
効果が高く、リスクの低い最新手術療法も登場!
点眼薬の効果が不十分な場合は、手術療法を検討します。最新の低侵襲緑内障手術MIGS(ミグス)は、角膜に小さな切開を加えるだけの目への負担が少ない手術です。線維柱帯(せんいちゅうたい)を切除したり、1mmほどの極小器具を線維柱帯に埋め込む方法などがあり、房水の排出を促します。10分程度で終了し、従来よりも感染症や合併症のリスクが低く、安全性が高いと注目を集めています。2012年より保険も適用されており、今後の緑内障治療の主流になることが予想されます。
最も重要なのは、早期発見・早期治療。発見の機会となる健康診断などを積極的に利用しましょう!
取材・文/古谷玲子(デコ)
植田俊彦(うえだ・としひこ)先生
うえだ・としひこ 昭和大学准教授を経て、二本松眼科病院副院長。医学博士、眼科専門医。眼科医の手術レベルアップのために「チューブの会世話人」「トラベクトーム手術研究会世話人」を務めながら、緑内障治療の第一人者として、全国の若い眼科医の指導や医師に向けた講演会も行う。