バイオ・医薬品企業アストラゼネカなどは2022年11月、食事を撮影するだけで簡単にカリウム測定ができるスマホ向けアプリケーション「ハカリウム」の開発・提供を発表。食事・栄養管理の手助けとなりそうです。今回は、アストラゼネカ株式会社 循環器・腎・代謝事業本部 腎領域 マーケティング シニアディレクターの野田征吾(のだ・せいご)さんに「カリウム値を手軽に測れるアプリ」ついてお聞きしました。
カリウム値が高くなる理由は?
血液中のカリウム濃度の正常値は、3.5~5.0mmol/Lで、5.0mmol/Lを超えると「カリウム値が高め」といわれます。腎臓の働きが悪い人は、カリウムを尿中に排出する機能が弱いためにカリウムがたまりやすく、数値が高くなります。一部の血圧を下げる薬や痛み止めなど、薬の服用でもカリウム値が上がることがあります。
高くなったカリウム値を下げるには?
食事で調整する
カリウムを多く含む食品を制限して、摂取するカリウムの量を調整。カリウムは水に溶けるので、野菜を水にさらす、ゆでこぼすなどの工夫も◎。下のアプリを使うと、カリウム摂取量をコントロールするときの目安にできます。
薬の変更や中止
カリウム値を上昇させる可能性のある薬剤を服用している場合は、医師と相談の上、薬の変更や中止を。また、薬で体内のカリウムを排出することもあります。
カリウムを測るアプリを活用
「ハカリウム」アプリでできること
・食事を写真で記録
食事を写真で撮影し、アプリに登録。食事内容をアプリが分析し、それぞれのメニューの栄養素の値を推測、表示します。
・食事記録を確認
記録した食事内容は、後から確認もできます。見たい月日を選択することで、その日の食事を見返すことができます。
・栄養素の値を確認
記録した食事内容の栄養素も簡単に確認可能。どの栄養素をどの程度摂取しているかの推移を示すグラフの表示も。
はじめるには...
【必要なもの】
・スマートフォン
・インターネット接続
【料金】無料
慢性腎臓病や食事などの影響で、血清カリウム値(※)が高い高カリウム血症の患者が国内で30万人を超えるといわれています。
血清カリウム値が異常に高くなると、致死的な不整脈や心停止を起こすこともあります。
また、高カリウム血症で治療中の場合、厳しい食事制限が求められます。
そういった人の強い味方になるのが、スマートフォンに取り込んで使う「ハカリウム」。
「高カリウム血症の方のカリウム食事制限を少しでも楽にするため、AIテクノロジーを使い、食事管理を簡便にサポートする目的で開発しました」と、野田征吾さん。
「ハカリウム」は、スマートフォンで撮影した食事写真をAIが自動で解析し、栄養素の推計値を算出。
「カリウム、リン、塩分、たんぱく、エネルギーといった栄養素の摂取量を可視化し、コントロールすることで、食事をより楽しんでいただけます。月ごとの推移も確認できますので、記録内容を振り返り、食事管理に役立てることも。医師や管理栄養士とのコミュニケーションの際に記録内容を活用いただくことで、より適切なアドバイスにつながると思います」
日ごろから血清カリウム値が気になっている人は、一度使ってみてはいかがでしょう。
※血液中のカリウムの濃度。
取材・文/寳田真由美(オフィス・エム)イラスト/坂木浩子