命に関わるさまざまな病気を引き起こす高血圧。国内に4300万人はいると推計される一方、対策が続かなかったり放置したりしている人は3100万人。そこで10人の名医が本気ですすめる、最新の高血圧を治す方法をご紹介。今回は、東都クリニック高血圧専門外来医師の桑島 巖(くわじま・いわお)先生が実践している「血圧を下げる方法」を教えてもらいました。
【前回】漢方薬処方の専門家!石原新菜先生が実践している「血圧を下げる方法」を教えます!
高血圧をはじめとする循環器系の名医
桑島 巖先生
「家庭血圧の測定で自覚することが重要」
[食事]
減塩しょうゆを少しだけつけます
塩分は極力控えています。減塩しょうゆを選び、使うときはかけるのではなく、ごく少量をつけるように。寿司はしょうゆをつけず、わさびのみで味わいます。悪玉コレステロールが高い油もの、お菓子、パスタ、肉類も控えています。朝はトマトジュースを2杯。トマトに含まれるカリウムには血圧を下げる効果があるためです。
[運動]
ひと駅前ウォーキングで10kgを減量!
週3回の休日の朝、近所の川沿いを約1時間歩いています。週1回は仕事場から自宅まで1時間ほど歩いて帰宅。公園や並木道、ショーウインドーなどを眺めながら、日々新鮮な感覚を楽しんでいます。以前通っていたスイミングクラブは長続きせず、平日は目的駅のひと駅前で降りて歩くようにしたところ、3カ月で10kg減量に成功しました! 体重が落ちると体が軽くなって活動的になり、不思議と脂っこい料理も欲しなくなりました。おすすめです。
[予防のポイント]
自覚症状がないからこそ自覚を
高血圧は目には見えず、痛くもかゆくもない、いわば影のような存在ですが、脳卒中や心筋梗塞など命に関わる疾患を引き起こします。これが、高血圧が「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」といわれるゆえんです。
予防するには、まず家庭血圧を測定して血圧の数値を自覚することが何より大事。上腕で測るタイプの血圧計で、朝夜の2回、2度ずつ測り、2度目の値を記録することを推奨しています。なぜ2度かというと、1度目は「今日はどんな値かな」と少し身構えるからか、高くなることが多いから。私は、上が130mmHgを超えないように日々チェックしています。女性の場合は、閉経を迎える更年期以降は特に注意を。高血圧が急増し、60歳以降では男女の患者数が逆転します。その理由は、閉経前に分泌されていた女性ホルモンのエストロゲンに動脈硬化の進行を抑え、血圧を上げない働きがあるからと考えられています。
《私も実践しています》
だし入り減塩しょうゆでおいしく減塩!
しょうゆ3、だし汁5、酢2を合わせた「マイ減塩しょうゆ」で、塩分を70%ほどカットできます。ポイントはかつおぶしや昆布からだしをとること。市販のだしの素は塩分が多く、逆効果です。ペットボトルなどで冷蔵庫に保存し、約1週間を目安に使い切ります。冷ややっこ、鍋物、おひたし、刺身など、どんな料理にも使えますよ。
取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/鈴木衣津子