自分の不調のサインに気づいている? 60代からの心身健康状態チェックリスト17/60代からの最高の体調

加齢よる心身の老いは病気、ケガなどの悪影響をもたらします。健康寿命を伸ばすポイントは、ホルモンやミネラルの補充、朝食重視の生活習慣、夜間の頻尿改善。そう語る医師・平澤精一さんの著書『60代からの最高の体調 ミネラル・ホルモンで「老いない体」を手に入れる』(アスコム)から若々しく健康に生きる秘けつをご紹介します。

【前回】夜間頻尿の放置が死亡率を2倍に。頻尿改善が睡眠、生活向上のメリットを生む/60代からの最高の体調

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不調のサインに早く気づくことが「老いに負けない体」を手に入れる第一歩

「病気を治す」だけでは、健康寿命は延ばせない

私がお伝えしたいのは、自分の力で「老いに負けない体」を作り、いつでも最高の体調をキープし、人生を長く楽しんでいただくための、「60代からの健康の新常識」です。

「いつでも最高の体調をキープし、人生を長く楽しむ」というのは、「健康寿命を延ばす」ことでもあります。

これまでの医学は、病気を治すことに重きを置いてきました。

もちろん、がんや糖尿病、心疾患や脳血管疾患といった重篤な病気を治療することは大事ですが、単に「病気を治す」だけでは、健康寿命を延ばすことはできません。

常に自分自身で心身の状態をチェックし、不調のサインに早く気づくこと、そして、

・朝食重視の食生活に切り替え、夜間頻尿を改善し、睡眠の質を高めること
・健康の維持に必要なホルモンやミネラルなどをきちんと補うこと
・免疫力を高めること・社会と関わりを持って生きること

などが、必要不可欠なのです。

チェックリストを使って、こまめに心身の健康状態を確認する

ここで、みなさんにぜひやっていただきたいことがあります。

下記のチェックリストと、ご自身もしくはご家族の現在の状態とを照らし合わせてみてください。

このチェックリストは、男性更年期障害の問診に使う「AMS(Aging Male's Symptoms)スコア」を加工し、男女を問わず、60代以降の心身の健康状態のチェックに使えるようにしたものであり、

・テストステロン不足
・低栄養(亜鉛やタンパク質など、体に必要な栄養素の不足)
・活性酸素による体の細胞の酸化・老化
・夕食重視の食生活や夜間頻尿などによる睡眠の質の低下

などが原因で起こる不調のサインを知ることができます。

意欲や冒険心、行動力、判断力、記憶力、そして筋力や体力、運動機能などの低下、原因不明の心身の不調などは、年齢を重ねれば自然に起こると思われがちであり、最初のうちは「体の調子がおかしいな」「心の状態が良くないな」と感じながらも「歳だから仕方がない」「大丈夫だろう」と見過ごしてしまう人が少なくありません。

しかし、これらのサインを「加齢のせいだから仕方がない」と放っておくと、やがてメタボリックシンドローム、サルコペニア、ロコモティブシンドローム、認知症、老人性うつ、心筋梗塞、脳梗塞といった重大な疾患をもたらす可能性があり、いずれフレイルや要介護状態になってしまうおそれもあります。

しかも、それらは日常生活の中でゆっくりと進行するため、本人も周囲も気づきにくいという特徴を持っています。

早い段階であれば、簡単な治療や食生活の見直し、運動などによって症状を改善できますが、本人も周囲も初期のサインを見逃し、深刻化させてしまいやすいのです。

ですから、定期的な血液検査と合わせて、ぜひこのチェックリストを、心身の不調にすぐに気づき、健康寿命を延ばすために活用してください。

まず、テストステロン不足や亜鉛不足などについて、きちんと知ることが大事

60代以降の心身の不調は、予防、早期発見、早期治療によって重症化を防ぐことができますが、残念ながら、発見や治療が遅れてしまうことがしばしばあります。

その原因としてまず挙げられるのは、それらがテストステロン不足や低栄養、細胞の酸化や睡眠の質の低下などによってもたらされているということが、本人にも周りの人にもなかなかわからない点にあります。

たとえば、40代後半から50代前半にかけての閉経前後に、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減り、ホットフラッシュ(急なほてりやのぼせ、大量の発汗)、動悸 、めまい、不眠、憂うつ、集中力の低下といった症状があらわれる「女性の更年期障害」については広く知られています。

しかし、テストステロンの分泌量の低下によって、60代以降の男女に起こる心身の不調については、医療関係者でも知らない人がたくさんいます。

そのため、市区町村や会社で行われる健康診断や人間ドックでは、血液中のテストステロン値の測定すら行われていないのです。

同様に、亜鉛不足や夕食重視の食生活、夜間頻尿などの健康への深刻な影響もあまり知られていません。

そして、「やる気が出ない」「筋力や体力が落ちる」「眠れない」「物忘れがひどくなる」「判断力が低下する」といった症状が、単なる加齢のせいだと見過ごされてしまったり、あるいは「うつ病のせい」「認知症のせい」などと判断され、誤った治療が行われたりすることが少なくありません。

女性の場合は、「更年期は終わったはずなのに、なぜ心身の不調が続くんだろう?」と、原因がわからず不安を抱く人もいます。

健康寿命を延ばすために、まず大事なのは、「60代以降はテストステロン不足や亜鉛不足などによって心身の不調が起こりやすい」「生活習慣を見直したり、適切な治療を行ったりすることで心身の不調が改善できる」と、きちんと知ることだといえるでしょう。

そのうえで、常に自分自身の心身の状態をチェックし、早めに不調に気づいて、テストステロンの補充や必要な栄養素の補充、体の抗酸化、生活習慣の見直しなど、5つの新常識を実践すれば、自力で老いない体を手に入れ、フレイルや寝たきり状態に陥るリスクを大きく軽減させ、人生を長く楽しむことができるはずです。


60代からの、心身の健康状態のチェックリスト

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各設問に当てはまる症状の程度をチェックし、点数を合計してください。
・17 ~ 26点 :心身の調子は良好です
・27 ~ 36点 : 亜鉛などの栄養素やテストステロンが不足していないか、測定してみましょう
・37 ~ 49点 :泌尿器科へご相談ください
・50点以上 :ぜひ泌尿器科へご相談ください


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ホルモンやミネラルの補充、朝食重視の生活習慣、夜間の頻尿改善...健康寿命を伸ばす新常識を全3章にわたって解説

 

平澤精一

医師。日本医科大学卒業。日本医科大学大学院医学研究科にて、医学博士号取得/1992年に「マイシティクリニック」を開業。健康寿命に深くかかわる「テストステロン」の研究者として熟年期障害の治療、高齢者の健康を守る取り組みを数多く実践。「長生きの切り札! 亜鉛チャージ健康法」(アスコム)など著書多数。

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『60代からの最高の体調 ミネラル・ホルモンで「老いない体」を手に入れる』

(平澤精一/アスコム)

老いにくい体を作るには「ホルモンとミネラルの補充が重要」という著者がデータを用いて健康寿命を伸ばす必要性を説明します。サプリメントの取り方、朝食重視の生活習慣、夜間頻尿による睡眠改善に至るまで気づきが多い一冊。

※この記事は『60代からの最高の体調 ミネラル・ホルモンで「老いない体」を手に入れる』(平澤精一/アスコム)からの抜粋です。

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