超高齢社会の現代において、認知症は誰もがなりうる病気の一つ。脳は体よりも老化が早いといわれています。10の新常識を知って、脳の健康寿命を延ばしましょう。今回は、アルツクリニック東京院長、順天堂大学医学部名誉教授の新井平伊(あらい・へいい)先生に「『脳寿命』を延ばす新常識」をお聞きしました。
【前回】2025年には5人に1人が認知症!? 「脳が老化する4つの仕組み」を知って老化予防を心がけよう
【新常識】ながら行動がいいんです
二つのことを同時に行って脳を活性化
認知症の予防策として注目されているのが、「ながら行動」です。
これは、二つのことを同時に行うことで脳の別々の場所を働かせ、その機能を活性化させるというもの。
例えば、簡単な運動をしながら、頭の中で計算するなど、体の運動機能と一緒に頭を働かせると、相乗効果が得られます。
国立長寿医療研究センターが認知症予防のための運動法「コグニサイズ(※)」を開発したのもこの理由からです。
「難しい二つに取り組む必要はありません。歌でも計算でも自分の好きなことや楽しめることを、できる運動にプラスして、自分なりの方法を見つけましょう。認知症の予防のためにただ日課として行うのではなく、楽しみながら日々続けることが、将来の認知症の予防につながります」(新井先生)
※コグニサイズとは、軽い運動と認知課題(しりとりや計算など)を組み合わせた運動法。軽度認知障害(MCI)の段階からの認知機能の低下を抑制できることが示唆され、自治体などが普及を進めています。
例えば、こんな"ながら行動"がおすすめです
●料理をする+歌を歌う
●簡単な運動+計算する
●ウォーキング+しりとり
【次回】だらだらと歩くだけでは意味がない!? 効果が3倍になる「ながら行動」を取り入れた「脳が働く散歩法」
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取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/藤田ヒロコ