「寝過ぎ」と「寝不足」で認知症のリスクが2倍!? 良い睡眠を手に入れるための5つの秘訣

超高齢社会の現代において、認知症は誰もがなりうる病気の一つ。脳は体よりも老化が早いといわれています。10の新常識を知って、脳の健康寿命を延ばしましょう。今回は、アルツクリニック東京院長、順天堂大学医学部名誉教授の新井平伊(あらい・へいい)先生に「『脳寿命』を延ばす新常識」をお聞きしました。

【前回】脳の老化や認知症の予防には「対人ゲーム」がおすすめ♪ 「勝つ意欲」が前頭葉を刺激する

【最初から読む】2025年には5人に1人が認知症!? 「脳が老化する4つの仕組み」を知って老化予防を心がけよう

2106_P045_02.jpg

【新常識】良い睡眠のために昼間を過ごす

眠っている間に脳内の有害物質が排出されます

質が高く良い睡眠も、脳の健康に不可欠な要素の一つです。

新井先生によると「アルツハイマー型認知症の原因となる異常たんぱく質のアミロイドβベータは、寝ている間に脳脊髄液に流れ出て、代謝、分解されて、脳の外へ排出されます。睡眠時間が短いと、この排出が遅れ、脳に蓄積されていきます」。

疫学的なデータでは、6時間未満、また8時間以上眠る人は、どちらも認知症に2倍なりやすいことも分かっています。

「ただし、睡眠には個人差もあります。最近では、『睡眠障害』という意味では、睡眠時間の短さや質よりも昼間の活動に支障があるかないかを重視するようになっていますが、認知症の観点から見ると、6時間30分~7時間の睡眠時間が望ましいということです」

「寝過ぎ」も「寝不足」もNGです

(1)目安は6.5~7時間
研究では、6時間30分~7時間眠る人が最も認知症になりにくいことが分かっています。

(2)昼と夜のリズムを整える
昼間は太陽を浴びたり、運動をして体を疲れさせ、夜は安らぎながら、眠りへの準備をします。

(3)寝具や空調などの環境を整える
温まった体が冷めるときに眠気が訪れるので、就寝前の入浴は効果的。寝室の空調は間接的に。

(4)時間と気持ちの余裕を持って入眠する
「早く寝なくちゃ」などと気負わず、楽しいことを思い浮かべながら眠りにつくことがコツ。

(5)場合によっては処方薬の服用も検討する
生活を改善しても熟睡できない場合などは、医師の処方に従うのも手。最近は安全に服用できる睡眠導入剤も多くあります。

《血中酸素が不足する「睡眠時無呼吸症候群」が認知症の原因にも!》

「睡眠時無呼吸症候群」とは、睡眠中にときどき呼吸が止まる病気。

気道の空気の流れが10秒以上止まると無呼吸とされ、主な原因は肥満です。

無呼吸により血液中の酸素が不足すると、心臓、脳、血管に大きな負担がかかって動脈硬化が促進し、認知症を引き起こすアミロイドβの代謝異常が起こるというデータもあるので、要注意です。

【次回】認知症の発生リスクを高める「難聴」とリスク2倍の「糖尿病」。適切な対策で脳の健康寿命を延ばす!

【まとめ読み】特集「『脳寿命』を延ばす10の新常識」記事リストはこちら!

取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/藤田ヒロコ

 

<教えてくれた人>
新井平伊(あらい・へいい)先生
アルツクリニック東京院長、順天堂大学医学部名誉教授。専門はアルツハイマー病を中心とした老年精神医学。1978年、順天堂大学医学部卒業。1999年、同大学病院で国内唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を導入。2019年、アルツクリニック東京を開業し、世界に先駆けてアミロイドPETを含む「健脳ドック」を導入した。

この記事は『毎日が発見』2021年6月号に掲載の情報です。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP