健康維持に欠かせない、玉ねぎ。出張先や旅先でも効果的にとる方法はないかしら? そんな声から、料理研究家人生50年の村上祥子さんが開発したのが「黒玉ジャム」です。
このジャムには、村上さんが考案した玉ねぎ氷や酢玉ねぎをさらに発展させたエッセンスが詰まっています。玉ねぎを日持ちするように煮つめて作ったもので、ひと口食べれば、きっとそのおいしさにびっくり。
料理に入れればうま味が増し、減塩に役立つほか、継続して使っていけば、血圧の低下、血糖値の改善、疲れにくい体...など、さまざまな健康効果を得ることができます。
毎日の料理に、今日から黒玉ジャムレシピを取り入れてみませんか。
黒玉ジャムでこんな健康効果が期待できます
【腸内環境を改善】
玉ねぎには腸内環境を整えるオリゴ糖がたっぷり。玉ねぎに含まれる食物繊維、ペクチンは有害物質を吸着し、排出する作用があるのでダブルで腸内の環境改善に役立ちます。
【糖尿病の予防】
日本人の糖尿病の9割はインスリン不足かインスリンの効きが悪いことが原因です。黒玉ジャムはそれらをカバーするのに効果的。
玉ねぎと黒酢の作用で、血液をサラサラにし、玉ねぎに含まれる作用がビタミンB1 と結合してアリチアミンという物質になり、インスリンの分泌を助けます。玉ねぎの色素成分であるフラボノイドも、インスリンの分泌を助けます。糖尿病の方は毎食大さじ1の黒玉ジャムをとることで、効果を実感される場合が多いです。
【高血圧の予防】
玉ねぎに含まれるケルセチンには、血栓を溶かす働きがあります。血流がよくなり、高血圧を改善するので、血液が体の隅々まで届きます。
また、玉ねぎに含まれるイソアリインなどの硫化アリルには、血液の粘度を下げ、ドロドロ血液をサラサラ血液に改善する働きが。イソアリインには血管を広げ、しなやかで弾力のある血管を保つ働きもあります。黒糖のカリウムはナトリウムの排出を促します。
【がん予防の可能性】
米国立がん研究所が、がんを予防する可能性がある食品を約40種類取り上げた「デザイナーフーズ・プログラム」と呼ばれる図があります。
抗がん作用を持つ成分がいくつも含まれる玉ねぎは、第2段階に属しています。玉ねぎをギュッと濃縮した黒玉ジャムなら、より効率よく免疫力アップが期待できます。
【冷え性・むくみの改善】
フラボノイドの一種、ケルセチンは玉ねぎに含まれる黄色い色素成分です。とても強い抗酸化作用があり、老化防止に役立つだけでなく、血行をよくする働きもあるので、冷えやむくみを改善します。
【アンチエイジング】
肌は約4週間の周期で、新しく生まれ変わります。ただ、年齢を重ねるに従い、徐々にその周期は長くなり、不規則になります。玉ねぎに含まれるイソアリインはビタミンB群(ビタミンB1、B2、B6、B12)を助けて栄養素の消化吸収のために働き、皮膚の新陳代謝を活性化し、肌の弾力を取り戻します。また、玉ねぎに含まれるグルタチオンは美容液に使われるほど、美白効果のある成分です。
黒玉ジャムの材料が身体にいいワケ
玉ねぎ、黒糖、黒酢を煮詰めて作る黒玉ジャム。玉ねぎは毒出しや便秘解消、黒酢には疲労回復、黒糖にはミネラル補給など、それぞれの材料には健康を増進する効果が詰まっています。
【玉ねぎ】
●ペクチンで毒出し
ペクチンという食物繊維が豊富です。体内の有害金属や発がん物質などの有害物質を吸着して排出し、優れた"毒出し"効果を発揮します。
●オリゴ糖で便秘改善
オリゴ糖を多く含み、腸内の善玉菌のえさとなって善玉菌を増やし、腸内環境をよくします。便秘解消の強い味方です。
●グルタチオンで血管がしなやかに
グルタチオンはアミノ酸の一種で抗酸化作用が強く、血管の内壁に付く脂肪を分解し、血管がしなやかになり血流がよくなります。
●カリウムで高血圧予防
豊富なカリウムが余分なナトリウムの排出を促して高血圧を予防します。また、尿の出をよくするので、むくみ解消にも効果的です。
●イソアリインで血液サラサラ
硫化アリルの一種、イソアリインが血液をサラサラにしたり、血液中の脂質を減らしてコレステロール値を下げる働きがあります。
●セレンで免疫力アップ
ミネラルの一種、セレンは活性酸素を無毒化する強い抗酸化作用があり、免疫力を高めます。また、肩こり、腰痛、冷え性の改善にも働きます。
●ケルセチンで老化防止
フラボノイドの一種、ケルセチンは強い抗酸化作用があり、老化を防ぐ働きがあります。また、血行をよくして高血圧や動脈硬化を予防します。
【黒酢】
●高血圧、高コレステロール、高血糖を改善
高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の予防・改善に、黒酢がとても有効に働くことが実証されています。これまでの研究で、1日に大さじ1杯(15mℓの黒酢を6週間とり続けると血圧やコレステロールが低下することが分かっています。
●疲労回復を早める
豊富に含まれる酢酸は、脂肪や糖分をエネルギーに変える「クエン酸回路」を活発にし、疲労回復を早め、脂肪の分解も促されます。
●アミノ酸でダイエット&美肌に
脂肪の燃焼を助けるアミノ酸が豊富で、脂肪の蓄積を防ぐ作用もあります。また、肌の新陳代謝をよくして、美肌作りにも効果を発揮します。
【黒糖】
●ミネラルを補給
精製されていない黒糖は、精製された上白糖に比べ、カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルが豊富です。ダイエット中の方は食事量を減らすとミネラルが不足になりがちですが、黒糖を上手に取り入れると補うことができます。
●コクとうま味をプラス
精製されていない黒糖にはうま味成分がたっぷり。料理でもコクを出すためによく使われますが、煮物などだけでなく、ジャム作りにも活用すれば黒糖ならではの深みのあるうま味が加わります。
作ってみましょう、黒玉ジャム
黒玉ジャムの材料は、玉ねぎ、黒糖、黒酢の3つのみで、作り方も簡単。電子レンジでも、鍋でも作ることができます。大さじ1の黒玉ジャムは、生の玉ねぎに換算すると約50gを食べたときと同様の血液サラサラ効果があります。これなら毎日気軽に続けられそうです。
●最低摂取量:1日大さじ1杯(23g)
●大さじ1あたり53kcal/塩分0g
<保存期間>
常温で1カ月、冷凍で1年保存できる。開封したら冷蔵で2カ月、保存可能。
【材料】(出来上がり140g/大さじ6杯分)
玉ねぎ...250g(大きめ1個・正味)
黒糖...60g
黒酢...大さじ2
【電子レンジでの作り方】
1. 玉ねぎは皮をむいて4等分する。耐熱ボウルに入れ、両端をあけ、ラップをして電子レンジ600Wで5分加熱する。
2. ミキサーに1の玉ねぎを汁ごと入れ、黒糖、黒酢を加え、ピューレ状になるまで回す。
3. 耐熱ボウルに移し、ラップをしないで電子レンジ600Wで10分加熱する。
4. 熱いうちに完全に乾いている瓶に詰める。
【鍋を使った作り方】
1. 鍋に水1/2カップを入れ、4等分に切った玉ねぎを加えて、ふたをして火にかける。蒸気が上がったら、弱火にして20分蒸し煮する。
2. とろとろに軟らかくなった玉ねぎを汁ごとミキサーに移し、黒糖と黒酢を加え、ピューレ状になるまで回す。
3. 鍋に2を戻し、再び火にかける。煮立ってきたら弱火で15分、つきっきりで混ぜながら半量になり、木べらを一文字にすべらせると鍋の底が見えるようになるまで煮つめ、火を止める。
4. 熱いうちに完全に乾いている瓶に詰めてふたをする。
毎日の料理にプラスするだけ。黒玉ジャムの健康レシピ
黒玉ジャムは日々の料理に大活躍。サラダをはじめ、肉や魚の料理、カレーなどに手軽に活用できます。深いコクが加わり、いつものメニューが驚くほどおいしくなります。また、トーストなどに塗ってそのまま食べてもおいしいほか、みそ汁や納豆、卵かけごはんに調味料や隠し味としてちょい足ししても。冷水や炭酸水で割ったり、スムージーに加えたりするのもおすすめです。ぜひ試してみてください。
黒玉ジャムを使えば玉ねぎドレッシングがすぐ完成!
黒玉ドレッシング de せん切り野菜サラダ
1人分129kcal/塩分0.5g
【材料(2人分)】
せん切り野菜ミックス...200g(キャベツ、サラダ菜、ピーマン、にんじん、玉ねぎなどのせん切りやパセリの粗みじん切りなど好みで)
A
黒玉ジャム...大さじ2
ワインビネガー...大さじ1(酢なら大さじ1と1/2)
エキストラバージンオリーブ油...大さじ1
サラダ油...大さじ1
塩...小さじ1/5
こしょう...少々
【作り方】
ボウルにAを合わせ、とろりとするまで混ぜたら、せん切り野菜ミックスを加えてあえる。
レンジで簡単! 黒玉ジャムを加えておいしさアップ
黒玉ジャムチキンカレー
1人分501kcal/塩分2.2g
【材料(2人分)】
鶏もも肉...100g
玉ねぎ...1/2個
じゃがいも...1個
にんじん...1/3本
水...1と1/2カップ
黒玉ジャム...大さじ2
カレールウ...30g
ご飯...2皿分(300g)
パセリ(みじん切り)...少々
【作り方】
1 鶏肉は2㎝角、玉ねぎ、じゃがいも、にんじんは皮をむいて1.5㎝角に切る。
2 耐熱ボウルに1を入れ、水を注ぎ、黒玉ジャムを加え、カレールウを割って加える。
3 ふんわりとラップをして、電子レンジ600Wで12分加熱。器にご飯とともに盛り、パセリをふる。
黒玉ジャムと薬味のうま味でしょうゆは少量
あじのたたき&黒玉ジャムだれ
1人分105kcal/塩分0.9g
【材料(2人分)】
あじ(たたき用におろしたもの)...100g
きゅうり...1/2本
しょうがのみじん切り...薄切り4枚分
にんにくのみじん切り...1片分
万能ねぎの小口切り...1本分
いりごま(白)...少々
A
黒玉ジャム...大さじ1
しょうゆ...小さじ2
酢...小さじ1
【作り方】
1 きゅうりはせん切り、あじは細切りにする。
2 ボウルにしょうが、にんにく、万能ねぎと、1のあじを入れて混ぜる。
3 器に盛り、きゅうりを添えてごまをふる、Aを混ぜ合わせて添え、食べるときにかける。
教えて! 黒玉ジャムについてのQ&A
黒玉ジャムを日々おいしく活用するためのコツやポイントを伺いました。黒玉ジャムで毎日玉ねぎと黒酢の効果を実感してみてください。
Q1
黒糖を、きび砂糖や上白糖に替えることはできますか?
A1
黒糖のもつミネラル分などの効果は減りますが、もちろんOKです。
Q2
いろいろな黒酢が市販されています。どれを選んだらよいでしょう? また黒酢以外の穀物酢などでもよいですか?
A2
黒酢によって、健康効果や味は変わります。臨醐山(りんこさん)黒酢(内堀醸造)、純玄米黒酢(ミツカン)のほか、中国酢の鎮江香醋(ちんこうこうず)などがよく見かける種類です。本誌では、黒く、風味よい臨醐山黒酢を使っていますが、米酢や醸造酢を使っても、黒酢に多いアミノ酸は減りますが、酢に含まれる酢酸の働きで「クエン酸回路」を活発にすることに変わりはありません。黒酢が手に入りにくければ、酢でお試しください。
Q3
酢が苦手なので、加熱時間を延ばして酢の酸味を飛ばしたいのですが、薬効も減ってしまいますか?
A3
酢の酢酸はクエン酸回路を活発にしますが、加熱時間を延長しても、酢の持っている働きは変わりません。体内に入ると酢酸→クエン酸→ピルビン酸と変化していきます。
Q4
一度にたくさん作っておきたいのですが、どのくらいの量まで作れますか?
A4
黒玉ジャムは長期常温保存できるよう、開発しました。そのため、加熱時間が多くなっています。分量が増えると加熱時間の目安も変わってくるため、多く作るとしても2倍量に留めておいたほうが作りやすいと思います。
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村上祥子(むらかみ・さちこ)さん
料理研究家・管理栄養士。1942年、福岡生まれ。公立大学法人福岡女子大学国際文理学部・食・健康学科客員教授。食材の持つ力で健康寿命の延伸を図る研究に関与する同大学にある「村上祥子料理研究資料文庫」で50万点の資料が一般公開されている。