すぐにつまずく、足元がおぼつかない...最近「歩く」ことで苦い経験が増えてきていませんか? その原因が加齢によって低下する「バランス能力」にあるというのは医師・安保雅博さんと理学療法士・中山恭秀さん。今回は、そんな二人の共著『家でも外でも「転ばない体」を2カ月でつくる!』(すばる舎)から、歩行時に転倒してしまう原因とバランス能力をアップできる簡単トレーニングの一部をお届けします。
【前回】スリッパははかない方がいい・・・!? 今すぐできる「転倒予防」/転ばない体を2カ月でつくる
【最初から読む】低いソファから立つのが苦手・・・なら今すぐ「バランス能力」をチェック
歩くときは必ず1本足で支える瞬間がある
「バランス能力を鍛える」と言ったとき、ポイントは「あえて不安定な姿勢になる」ことです。
言ってみれば、立っていることのできる方がただ立っているだけでは、バランス能力はそれほど求められません。
不安定な姿勢となったときに、バランス能力が要求されます。
ですから、不安定な姿勢をあえてつくることこそ、バランス能力のトレーニングになるのです。
まずは「立った状態」でできるものから。
最初は「片足立ち」です。
片足立ちは、左右の足をそれぞれ1本で支える練習です。
歩くときは1本足で支える瞬間があります。
この瞬間の支えがふらつくと、杖を使う方が増えるのです。
「転ばぬ先の杖」というわけです。
片足で立っているときのバランス能力が高くなると、歩行の安定性は確実に高くなります。
初めは壁を触りながら、片足を1cm程度浮かせるところから始めてみましょう。
次に、壁を触りながら5cmほど持ち上げて保ちます。
次第に安定性が得られ、こわさも減ってきたら、壁や手すりの支えを外して、1本足でのバランスをしてみます。
年齢に応じて自身の目標を決めましょう。
一般的には10秒、できれば30秒を目標に設定するのが理想です。
くれぐれも転ばないように、壁の近くでするようにしてください。
【次回】歩行のグラつき予防に。バランス能力強化トレーニング「かかと上げ」/転ばない体を2カ月でつくる
イラスト/中村加代子
簡単なトレーニングや環境づくりで転倒は防げる! 医師と理学療法士が6章にわたって「転ばないための体作り」を教えてくれます