糖尿病や高血圧、心筋梗塞に脳梗塞...こういった怖い病気の原因が、実は「食べすぎ」にあることをご存知でしょうか。「"ちょい空腹"が体にさまざまなメリットをもたらす」と提唱する医学博士・石原結實さんは、これら「食べすぎ病」の蔓延に警鐘を鳴らしています。そこで、石原さんの著書『やせる、若返る、病気にならない ちょい空腹がもたらす すごい力』(ワニブックス)から、人生100年時代を健康に過ごすための「食べすぎない技術」を連載形式でお届けします。
メニューは和食を中心に
今回は、断食と一緒に実行すればさらなる健康向上につながるような取り組みを紹介していきたいと思います。
もちろん、これらを単独で実行してもらってもかまいません。
さまざまな理由により、断食にチャレンジするのは難しいという方もいらっしゃるでしょうから、そのような方はここで紹介する内容だけでも生活に取り入れてみてください。
さて、最初にお勧めしたいのは、「和食」です。
アメリカ上院で1977年に発表された「ダイエタリー・ゴールズ(dietary goals)」の中でも、「和食こそ世界一の健康食」と太鼓判を押してもらっているのですから、和食中心の食生活は健康にいいものです。
とくに50歳以上の方には強くお勧めします。
洋食と和食の違いは、
・洋食=肉+葉菜(サラダ)
・和食=魚・魚介類(エビ・カニ・イカ・タコ・貝など)+根菜の煮物・つけ物
という特徴にあると思います。
和食が「世界一の健康食」たるゆえんはこの海産物と根菜の健康効果にあります。
〈海産物の健康効果〉
30億年前に生命が誕生した所は「海」です。
「生命を生み出した」という意味で「海(うみ)」といいます。
なので、魚・魚介類・海藻などの健康への効能は、絶大なものがあります。
─魚の効能─
魚に含まれる脂(EPA、DHA)には、
1.血管を拡張して血圧を下げる。
2.血小板の凝集を抑制して血栓症(心筋梗塞や脳梗塞)を防ぐ。
3.血中の中性脂肪を低下させる。
4.善玉HDLコレステロールを増加させる。
5.悪玉LDLコレステロールを低下させる。
などの効能が知られています。
魚は、刺身で食べても、煮たり焼いたりして食べても効能は変わりません。
─魚介類の効能─
「魚介類(エビ・カニ・イカ・タコ・貝・牡蠣など)は高コレステロール食物」という従来の考えは、1977(昭和52)年、当時の大阪大内科の山村雄一教授(後に総長)によって否定されました。
従来の「比色法」という分析法からより鋭敏な「酵素法」に変えて測定したら、コレステロール含量が非常に少なかったことが判明したのです。
その上、魚介類に多く含まれる含硫アミノ酸の「タウリン」には、
1.胆石を溶解する。
2.肝臓の解毒性を強化させる。
3.血液中のコレステロールを減少させる。
4.強心作用を発揮する。
5.不整脈を改善する。
6.血圧を下げる。
7.筋肉疲労をとる。
8.アルコールの害を防ぐ。
9.精力を強くする。
10.インスリンの分泌を促し、糖尿病を防ぐ。
11.視力を回復させる。
などの作用があることが明らかにされています。
〈根菜の健康効果〉
人間は、50歳をすぎる頃から、尻の筋肉は削げ落ち、太腿は細くなり、なんとなく下半身が寂しくなってくるものです。
この頃から、腰や膝の痛み、(夜間)頻尿、下肢のむくみ、こむら返り、インポテンツ等々、老化の症状が顕在化してきます。
「老化は足(脚)からくる」と言われるゆえんです。
ところで、西洋医学の医師の先生には荒唐無稽に思えるかもしれませんが、漢方医学には「相似の論」というのがあります。
これは、「似たような形のものは似たような働きがある」というもので、「飛行機は鳥に、船は魚に似せて作ってある」と言えばわかりやすいでしょう。
それを踏まえると、「人間の下半身」は「植物の根」に「相似」します。
なので、衰えていく下半身を強化して若さを守るには、ゴボウ・人参・レンコン・ネギ、玉ネギ・山芋などの根菜を毎日しっかり食べるべきなのです。
日本には「ゴボウ5時間、人参2時間、山芋たちまち」という俗言があります。
これは下半身に存在する「3本目の脚」である陰茎(ペニス)が根菜類を食べることで元気になる、という意味です。