糖尿病や高血圧、心筋梗塞に脳梗塞...こういった怖い病気の原因が、実は「食べすぎ」にあることをご存知でしょうか。「"ちょい空腹"が体にさまざまなメリットをもたらす」と提唱する医学博士・石原結實さんは、これら「食べすぎ病」の蔓延に警鐘を鳴らしています。そこで、石原さんの著書『やせる、若返る、病気にならない ちょい空腹がもたらす すごい力』(ワニブックス)から、人生100年時代を健康に過ごすための「食べすぎない技術」を連載形式でお届けします。
断食で得られるデトックス効果
デトックス(detox)とはトキシン(toxin:毒)を外へ出す(de-)、という意味です。
数日間の断食を経験された方には、2日目あたりから、
・日を追うごとに吐く息が臭くなる。
・目ヤニや痰が多くなる。
・鼻づまり、鼻汁が出る。
・発疹が出る(人もいる)。
・尿の色が濃くなる。
・舌の上に黄~茶の苔(舌苔)が生じる。
・女性は帯下(おりもの)が見られる(こともある)。
などの排泄現象のオンパレードになります。
人体には「吸収は排泄を阻害する」という生理上の鉄則があります。
それは、食べれば食べるほど、消化・吸収のために血液は胃や小腸に集まり、排泄臓器の大腸・直腸・腎臓・膀胱への血流が少なくなり、大・小便などの排泄現象が減弱する、という意味です。
そして、「逆もまた真なり」で、空腹・断食により、胃や小腸へ血液を集める必要がなくなると、排泄臓器への血流が旺盛になり、排泄が促進されます。
それだけでなく、実は涙腺・肺・気管支・鼻粘膜・汗腺・皮脂腺・子宮・膣などへの血流もよくなり、それらに関連する排泄現象も促進されるのです。
俗に言う「目糞、鼻糞、糞、小便、汗......」などの排泄物の中で、糞(大便)以外は、血液の中の汚れ(老廃物)が分泌・排泄されたものです。
よって、こうした排泄物が増えるということは、血液が浄化され、体内がどんどんきれいになっていると言えます。
いわゆるデトックスがなされているわけです。
ノーベル生理学・医学賞受賞のフランスの生物学者アレクシス・カレルは断食とデトックスの関係について、こう言っています。
「断食こそ、我々の器官と体液を浄化し、組織と精神に著しい変化を与え得るものだ」
断食が促進するオートリシス(自己融解)とは?
19世紀のロシアの病理・生物学者パシュケンは「空腹時には、より弱い器官を犠牲にして、より強い器官が生きていく」という説を立てました。
そしてその仮説に基づいて、断食する(空腹になる)と、
1.体内の老廃物や余分な脂肪が、生命にとって必須の臓器(脳・心臓・肺・内分泌腺・肝臓・造血器官など)に優先的に利用される。
↓
2.病変のある組織、腫瘍、水腫、浮腫、炎症といった、本来健康体には存在しない異質の組織(病気)からタンパク質を利用する。
↓
3.タンパク質が利用されることによって、これらの病変が消失する。
という現象が順番に起こることを明らかにしました。
この現象は、オートリシス(autolisys:自己融解)と呼ばれています。
オートリシスこそ断食による自然治癒力のメカニズムの1つです。
しかも、断食中は、よほどの長期にわたらない限り「正常組織」「重要臓器」の融解は行われないことがわかっています。