念願のマイホームを購入したはいいけど...ついお金もかかるし、ほったらかしにしていませんか? 「家も人間と同じようにメンテナンスが必要です」。そう語るのは、家のアンチエイジング専門家・山下隆盛さんです。その山下さんの著書『あなたの持ち家が危ない』(アスコム)には、「自宅を補助金などを使って効率的にメンテナンスすることで結果的に老後の暮らしが豊かになる」などの家情報が満載です。そこで、その著書より「老朽化の原因」「外壁補修のタイミング」「リフォーム業者の選び方」などをご紹介します。
本当に家を手放して大丈夫?「高齢引っ越しのリスク」に注意
今や、「人生100年時代」といわれています。
つまり、住まいについても、100年生きることを見据えて、プランニングをしなければならない時代になったということです。
長持ちする家に住むメリットはたくさんありますが、「高齢引っ越しのリスク」がないこともその1つです。
たとえ売るつもりがなくても、メンテナンスもリフォームもしなければ、建ててから早ければ10年で傷み始め、20年過ぎればボロボロ、30~40年ほどで家はいろいろなところに不具合が生じ、そのまま住み続けるのが難しくなってしまいます。
「建て替えるのにはお金がかかるし、家を売って、どこか便利な場所に賃貸住宅を借りて暮らせばいいじゃないか」と、考える人もいるかもしれません。
もし30歳前後で家を建て、30年間住んで、家を手放したとすると、このとき60歳前後です。
この場合、平均余命から考えると、男性で23年以上、女性で29年以上、賃貸住宅で過ごすことになります。
ずっと同じ賃貸住宅に住み続けられれば、運がいいといえるでしょう。
しかし、賃貸住宅の借主は、非常に不安定な立場であることを覚悟しておかなければなりません。
たとえば、建物の老朽化など、家主の都合で立ち退きを求められることもあります。
そうなると、また引っ越しをしなければならないのです。
物件を探し、入居のための初期費用を支払い、業者に頼んで引っ越しをする。
そのとき、一体、何歳になっているでしょうか?
70歳? ひょっとしたら、80歳で「そのとき」を迎えるかもしれません。
70歳や80歳で引っ越しをするなど、想像するだけでも、疲れてしまいます。
もちろん、お金の心配もしなければならないでしょう。
今の家に住み続ければ、こうした苦労は一切せずにすむのです。
ただし、そのためには、「長く住み続けられる家」を持つ必要があります。
家を使い捨てにしてしまうのは、あまりにももったいない話です。
家を大切にすることは、自分や家族の将来を大切にすることだと考え、家のリフォームをきちんと行っていれば、高齢引っ越しの心配もありません。
住むところがない!「漂流老人」のリスクを避けるには?
ある程度の年齢に達してから家を手放したときに生じるリスクは、ほかにもあります。
それは、「漂流老人」のリスクです。
お金があっても住むところがない高齢者の住宅難民は「漂流老人」といわれ、今、問題になっています。
「高齢引っ越し」で苦労したとしても、満足のいく住まいにすぐに入居できれば、まだ幸せだといえるでしょう。
そもそも、階段を上って部屋に行かなくてはならないところはダメ、大きな段差があるところはキツいなど、高齢者の部屋選びには、特有の条件がそれなりに加わってきます。
さらにいえば、高齢者は、健康状態や年齢などの理由から、賃貸住宅への入居を敬遠されることが少なくありません。
ましてや一人暮らしともなると、家主が孤独死や重病、認知症の発症といった事態を心配して、賃貸契約を結ぶのが難しくなりがちです。
また、一度は入居できても、更新時に間接的に退去を望まれることもありえます。
仲介業者や家主によっては、年齢や保証人がいないことを理由に、契約更新のできない定期借家契約を条件とするかもしれません。
住む家がなかなか見つからない。
住む家がないかもしれないという不安に苛まれる。
結果的に、満足できない賃貸住宅に住まざるをえない。
「高齢引っ越し」は、こうした現実に直面します。
超高齢化社会を迎え、対策がとられる可能性もありますが、それでも街中などの人気エリアの物件を高齢者が借りにくい状況は続くかもしれません。
もちろん、家を手放さなければ、「漂流老人」にならずにすむはずです。
そして、もし何の不具合もなく、快適に過ごせる家だったら、売ってしまおうなどとは考えないでしょう。
つまり、アンチエイジングリフォームをして「長く住み続けられる家」を持つことは、「人生100年時代」を安心して暮らすための重要な布石にもなるのです。
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「家を長持ちさせる」と経済的にも精神的にも豊かな人生を送れる理由が5章にわたって解説されています。