法改正で「義親の介護」が報われる!知っておきたい「特別寄与料」基礎知識

大切な人が亡くなったとき、悲しみと慌ただしさの中で多くの人は「何から手をつけていいかわからない」状態になるといいます。そこで、各分野の専門家が手続きやノウハウをわかりやすく解説した「まるわかり! もしもの時の手続き・相続 完全ガイド」(クロスメディア・パブリッシング)より、今から知っておきたい手続きや相続のノウハウを、連載形式でご紹介します。

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特別寄与料の請求

相続法の改正により、法定相続人でない親族でも、生前に故人の看病や介護などをしていた人は遺産分与を請求できるようになりました。

2019年の改正前の民法では、相続人以外の者は故人のためにどれだけ尽くしたとしても、相続では何ら考慮されず、相続権や寄与分は認められませんでした。

たとえば、長男の妻が義理の父親の介護や看病などに貢献していたとしても、長男の妻は相続人ではないため、義理の父親が亡くなった場合に相続財産の分配を受けることはできず、不公平感がありました。

しかし、相続法の改正により「特別の寄与の制度」が設けられ、故人に対し特別な寄与をしていたと認められる場合には、相続開始後に金銭の請求をすることができるようになりました。

●特別寄与者の範囲

特別寄与者になれるのは、相続人ではない親族です。

この場合の親族とは6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族を指します。

あくまで親族が対象であるため、家政婦や介護士などが故人の介護や看病をしていたとしても特別寄与者には該当しません。

●特別寄与料の上限額

特別寄与料の請求には上限額が定められています。特別寄与料の請求の上限額は、「相続開始時の財産から、遺贈の価額を控除した残額」です。

遺贈とは遺言により財産を他人に無償で譲ることをいいます。

もし故人が1億円の財産のうち半分をどこかの団体に寄付するという遺言書を作成していた場合には、財産の総額から遺贈の価額を控除した金額が5000万円となり、それが特別寄与料として請求できる上限額となります。

なお、特別寄与料の支払いに関しては、法定相続人が法定相続分に応じて支払う義務があります。

特別寄与料の具体的な算定方法は複雑なので、弁護士や司法書士に相談してみるとよいでしょう。

●特別寄与料の請求方法

基本的に特別寄与料は各相続人との話し合いで決まりますが、話し合いがまとまらない場合、あるいは話し合いができない場合には、家庭裁判所に寄与料を定める処分を請求します。

家庭裁判所への請求は、特別寄与者にあたる人が相続の開始を知ったときから6カ月以内、または相続開始から1年以内に行う必要があります。

特別寄与料を請求する場合、生前に介護などの「特別な寄与があったこと」の証明が必要になる場合があります。日頃から介護記録簿や、写真、動画、経費の精算書などを保管するようにしましょう。

これまで義理の親の介護をしても、相続で報われないなどの問題がありましたが、2019年の法改正によって、法定相続人ではない親族も、「特別寄与料」を請求できる場合が出てきました。

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cover.jpg臨終から葬儀までの流れから、相続時の節税のコツまで、各分野の専門家が6章に渡ってわかりやすく解説しています。

 

野谷邦宏(のや・くにひろ)

司法書士・行政書士・1級ファイナンシャルプランニング技能士・相続士・遺品整理士。一般社団法人しあわせほうむネットワーク代表、司法書士法人リーガルサービス代表。全国で相談業務を行い、相続・遺言・遺産整理など幅広く対応。相談対応や受託業務の取扱累計は60,000件を超える。

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※この記事は『まるわかり! もしもの時の手続き・相続 完全ガイド』(野谷邦宏/クロスメディア・パブリッシング)からの抜粋です。
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