「お願い!」の一言が相手のためになる?「人任せ」がもたらす3つのメリット

家族や友達、仕事仲間に頼み事をすると、「何だか悪いな」と思うことありますよね?でも、実は人に頼ることで「人とつながる」と、一人ではできないことに挑戦できたり、ワクワクできたり、自分にも周りにもいいことが起こるそうです。今回は、「人の助けを受け入れる力=受援力」の重要性を説く医師・吉田穂波さんの著書『「つらいのに頼れない」が消える本―受援力を身につける』(あさ出版)から、「人に頼るときの心構えと方法」について連載形式でお届けします。

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頼ること=相手への信頼と承認と尊敬の証

人に頼ることは、頼られる側にもたくさんのプラス面があります。

頼られる側のメリットを三つ、ご紹介しましょう。

(1)自己肯定感がアップする

人は、太古の昔からコミュニティーをつくって、互いに協力し合い、厳しい自然と戦いながら広大な土地を耕し、衣食住をはじめとした役割を分担してコミュニティーに貢献し、それぞれの生活を支え合いながら生きてきました。

人は決して、一人では生きることができません。

そのため人には、

誰かの役に立つ

感謝される

自分に自信を持つ/自分を肯定できる

幸せを感じる

という本能が備わっているのです。

誤解を恐れずに言うのなら、人に頼ることは「人の役に立てた」という喜びを引き出すことと言ってもいいでしょう。

おいしいものを食べたら幸せを感じるように、人から感謝されることで幸せを感じ、それが心の栄養となるのです。

皆さんも人の力になれたとき、心が温かくなり、うれしい気持ちになったことがあるのではないでしょうか。

誰かを助けること、頼られることは、幸せを感じる源泉。

「自分はここにいてもいいんだ」と自分を肯定でき、人とのつながりを感じられるからです。

(2)承認欲求が満たされる

人は誰かに助けてほしいと思うとき、自分が信頼していない人にはお願いしません。

次のシーンを想像してみましょう。

・あなたが重要な仕事を同僚や部下に頼むとき
・自分の子どもを預けるとき
・知らない土地で道を尋ねるとき

このようなとき、あなたはどのような人に頼むでしょうか?

きっと、重要な仕事は優秀で信頼できる仲間に、子どもは一番安心して預けられる人に、道を聞くときは親切に教えてくれそうな人を選ぶのではないでしょうか。

その頼みごとが自分にとって重要であればあるほど、信頼できない人にはお願いしません。

つまり、誰かに頼るということは「あなただからこそ任せられる」という信頼のメッセージでもあります。

あなたも、誰かに頼られたときは自分の存在を承認されたような気がするのではないでしょうか。

自分が信頼できる人間として選ばれたと感じ承認欲求が満たされる。そのことで生きるエネルギーが湧いてくるのです。

(3)心身の健康状態が向上する

米国の研究では、人助けや利他的なことをすると自己効力感が高まり、心理状態が改善され、健康長寿につながるということがわかっています。

たとえば、ピッツバーグ大学における脳神経と行動心理学に関する調査では、自分がサポートを受けるよりも他人をサポートするほうが、よりストレスが軽減したという結果がでました。

人を助けることで得られる「ご褒美」のような幸福感は、難しい数学の問題を解くのを手伝ってあげるような事柄から、ビジネス、教育、社会的なサポートに至るまで幅広く見られます。

誰かの役に立つことで、人は自分が認められていると感じ、心身の健康状態が向上するのです。

さらに、ミネソタ大学における研究では、他の人を助けることで自己肯定感が向上し、コミュニティーにおける絆が強まることが明らかになっていますし、人は自分の仕事が人助けに関わっているときほど、自分がしている仕事にやりがいや意義を見出せる、という調査結果もあります。

「他人を助けることが、実は自分自身を助けることになっている」という概念は、古今東西さまざまな書物の中でも見られるテーマであり、アメリカの作家/ラルフ・ワルド・エマーソンもこんな言葉を残しています。

"It is one of the most beautiful compensations of life that no man can sincerely try tohelp another without helping himself."
(誰であれ他人を心の底から助けようとすれば、必ず自分自身をも助けることになります。それは人生の最も美しい報酬の一つなのです)

これらの科学的・文化的な根拠をふかんして見ても、あなたが誰かに助けを求めることは決して相手の時間やエネルギーを一方的に搾取することではないのです。

人に頼るとき、「相手の迷惑になるのではないか」と、つい不安を感じてしまいがちですが、頼ることは実は「頼られる相手にとってもメリットがあること」なのです。

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人に頼る力を身に付けたいなら「つらいのに頼れないが消える本」記事リストはこちら!

「お願い!」の一言が相手のためになる?「人任せ」がもたらす3つのメリット 045-syoei-tsurai.jpg人に助けを求めることにはどんなメリットがあるのか?基礎知識から受援力が身に付くトレーニング法までを全4章で紹介。自分の性格や考え方の傾向が分かるチェックシートも

 

吉田穂波(よしだ・ほなみ)

医師。医学博士。公衆衛生学修士。4女2男の母。ドイツとイギリスで産婦人科及び総合診療の臨床研修を行い、帰国後は女性総合外来の創設期に参画。現在、公衆衛生大学院における人材育成や臨床、研究の傍ら、「受援力」を学ぶ場作りに取り組み、国の検討会や自治体研修をはじめ多数の講演を行う。

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『つらいのに頼れない」が消える本―受援力を身につける』

(吉田穂波/あさ出版)

同僚や友人に何かを頼むとき、「申し訳ないな」「迷惑じゃないかな」と考えてしまう人は、ちょっぴり損してるかも!?実は「人に頼る」ことは、あなたや周囲を幸せにする力があるんです。子育て、留学、震災を通して人に頼る力=「受援力」の大切さを実感した医師が、自らの経験をもとに実践的なトレーニング法を解説!

※この記事は『「つらいのに頼れない」が消える本―受援力を身につける』(吉田穂波/あさ出版)からの抜粋です。

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