私たちの社会の年金制度はどこへ向かっているのでしょうか。10月からは消費税も増税されます。限られた年金の中で、心に豊かさを感じて暮らすにはどうすればいいのでしょうか。社会保険労務士、年金アドバイザーの清水典子さんに、年金の「振り替え加算」ついてお聞きしました。
年上の妻は振替加算の手続きを忘れずに
厚生年金に一定期間加入し、家族を養っている人には家族手当のように加算される加給年金があります。
妻が専業主婦の場合、妻は65歳にならないと、自分の老齢基礎年金が受け取れません。
夫が年上の場合、夫の年金受給が先に始まりますが、その時点では夫の分だけなので金額が少なく、夫婦で暮らすには老後資金が厳しくなってしまいます。その不足分を補うために、夫の年金に加給年金が加算されます。夫の厚生年金の加入期間が原則20年以上の場合に受け取れます。
しかし、妻が65歳になり老齢基礎年金の受給が始まると加給年金はなくなります。
その代わり、妻の年金に振替加算が上乗せされます。現在、会社員などの妻も国民年金に強制加入ですが、以前は任意加入だったため、老齢基礎年金の受取額が少なくなってしまう人もいます。
振替加算はそれをカバーするために誕生したもので、妻の生年月日によって受取額は変わります。また、1966(昭和41)年4月2日以降に生まれた人は、保険料の未納などがなければ老齢基礎年金を満額受け取れるので、振替加算はありません。
注意しなければならないのは、妻が年上の場合です。
妻が年下であれば、自分の老齢基礎年金の手続きをした際に振替加算も自動的に手続きされ、もらい忘れはありません。
しかし、妻が年上の場合、夫の年金受給が始まるまでは、振替加算はありません。妻は夫が65歳になった段階で、振替加算の手続きをしなければならないのです。
また、夫が1949(昭和24)年4月1日以前生まれなら65歳以前に定額部分を加えた特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができますが、その時点から妻に振替加算がつきますので、妻は忘れずに手続きをするようにしましょう。
相談は「ねんきんダイヤル」(0570-05-1165)または各地域の年金事務所へ
取材・文/向山 勇