介護職の最終目標「ケアマネジャー」。必要とされているケアマネの心がまえとは?

介護業界の人手不足は慢性化しつつあります。だからこそ介護職を目指す人にとっては、今がチャンスと言えるでしょう。介護の仕事にはどのような種類があるのか、どのような資格などが必要なのかについて、介護に詳しい専門家の高室成幸さんにお聞きしました。

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介護職の最終的な目標としている人が多い「ケアマネジャー」はどういうところで働いているのか、利用者が必要としているケアマネジャーなどについて紹介します。

 
利用者が必要とするケアマネジャーとは?

ケアマネジャーの試験を受けるためには、介護福祉士の国家資格を取得しているか、生活相談員などの相談実務を5年以上経験している、ほかには社会福祉士、看護師、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、保健師など15の国家資格の人が認められています。

ケアマネジャーは、介護サービスを必要とする利用者とその家族の要望を聞き、ADL(食事や着替えなどの日常生活動作)やIADL(買物、洗濯、掃除などの日常的な家事全般、電話をかける、外出しバスや電車などを利用し目的地まで移動する、貴重品や金銭の管理、服薬管理、趣味に係わる行動などの手段的日常生活動作)、健康状態などをアセスメント(評価・査定)します。サービス事業者との間で調整を図りながらケアプランを作成し、実際に利用したサービスの確認やかかった費用の算出、書類作成などを行います。

利用者が望むケアマネジャーとはどういう人でしょう。

高室さんによると「利用者や家族は、介護のことについてよくわからないという人が多いので、まずは、利用者や家族などの意向をじっくりと聞いて、サービス内容や費用のことなど納得するまで丁寧に説明した上で、ケアプランを作成してくれる人が求められている、と言えるでしょう。その際、1つだけのケアプランまたは事業者をすすめるのではなく、複数の提案をしてくれる人がいいですね。また、無理にサービスを利用することをすすめるのではなく、利用者と家族のペースにあわせて相談にのってくれるケアマネジャーが好まれます」と話します。

 

ケアマネジャーが働く現場は?

ケアマネジャーの仕事現場は、指定居宅介護支援事業所、特別養護老人ホームなどの介護保険施設、そして地域包括支援センターです。それぞれの場所での仕事を紹介します。

●指定居宅介護支援事業所
デイサービス事業所やヘルパー事業所などに併設している場合とケアマネジャーのみの業務しかやっていない独立系の事業所の2種類があります。

●介護保険施設
特別養護老人ホーム・老人保健施設・介護療養型医療施設に入所している要介護者のケアプランを作成し、日常は現場の介護職と看護職などとの調整役に奔走することもあります。

●地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを支えるために、市区町村に設置されている場合(行政直営)と、市区町村から委託された法人が設置・運営する場合(運営委託)の2種類があります。人口2万人に1カ所が設置上の目安となっています。比較的介護の状態が軽い要支援認定者の介護予防ケアプランを作成します。

 

ケアマネジャーの心構えは?

ケアマネジャーになったらどのような心構えが必要でしょうか。

●利用者の自立(自律)支援
介護される人(利用者)の立場に立って、利用者の自立(行うこと)と自律(自己決定)を支援します。「できないこと」を支援する以外に、「できていること」いわゆるプラス面に着目して、利用者が前向きに生活できるように支えます。

●公正・中立の立場を守る
利用者本位は第一優先ですが、家族、介護サービス事業者、医療、地域などの様々な力が働くので、公正・中立の姿勢が揺らぐことが起こることもあります。利用者本位の視点に立った公正・中立の立場を守ります。

●多職種・多資源で連携する
利用者が抱える問題は様々です。各々の問題を解決するため、介護、医療、地域、行政などの連携は必要不可欠です。サービス担当者会議や地域ケア会議、地域の勉強会などを通じてネットワークを広げていきます。

●チームの黒子に徹する
あくまでも利用者が主役で、家族は準主役です。そして周りの環境が脇役とすると、ケアマネジャーはこれらの人たちを後ろから支えるチームの裏方であり「黒子」です。利用者が充実した生活を送れるように黒子役に徹して支えていきます。

●法制度を学んで支援に役立てる
介護保険法だけでなく障害者総合支援法、生活保護法、成年後見制度、介護休業制度などの利用者や家族を守ってくれる法制度を学んで、利用者や家族の支援に役立てます。また、利用者の基本的人権と生命・財産の権利を守ることも大切な役割です。

●点・線ではなく「面の支援」を目指す
利用者や家族が抱える買い物困難や医療過疎などの問題は地域の問題でもあります。利用者の支援が地域づくりにつながることで「面の支援」が可能となります。地域包括支援センターや自治体などに積極的に情報提供や働きかけなどを行います。

 

ケアマネジャーは、介護サービスを提供する居宅介護支援事業者の中で働きます。利用者や家族は、担当になったケアマネジャーと相性が合わなかったり、不服がある場合などは、他の人に変更してもらうことができるので、その人の技量が問われるやりがいのある仕事といえます。

 

取材・文/金野和子

 

 

高室成幸(たかむろ・しげゆき)さん

1958年京都市生まれ。日本福祉大学社会福祉学部卒。ケアタウン総合研究所代表、日本福祉大学地域ケア推進センター客員研究員、日本ケアマネジメント学会会員。介護施設、市町村やケアマネジャー団体、社会福祉協議会などを対象に研修を行い、施設マネジメントも手掛ける。『身近な人を介護施設にあずけるお金がわかる本』(自由国民社・監修)、『図解入門ビギナーズ最新介護保険の基本と仕組みがよ~くわかる本』(秀和システム・監修)、『新・ケアマネジメントの仕事術』(中央法規出版・著)など著書多数。

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