介護保険制度は3年ごとに見直される⁉ 知っておきたい介護保険あれこれ/介護保険

"人生百年時代"を迎えました。誰もが健康で長生きすることを望んでいると思います。しかし、もし自分、あるいは大切な家族が「介護」が必要になったらと思うと不安になってしまいます。そこで、誰もが知っておきたい「介護保険」について介護に詳しい専門家の高室成幸さんにお聞きしました。

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3年ごとに見直される介護保険制度

介護保険制度は、原則として3年ごとに制度の見直しがあります。この改正に伴って、介護報酬や諸規定も改定されます。最近では、2017年に改正されて翌年の2018年に施行されているので、次は2021年に改正があり2022年に施行される予定です。

「介護報酬とは、介護サービス事業者や施設が、利用者にサービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われる報酬で、"サービスの値段(価格)"のことです。原則として報酬の1割(2割または3割の人もいる)は利用者の負担で、9割は保険料と公費で賄う介護保険から支払われています」と高室さん。

これまでどのような改正がされてきたかというと、例えば、介護保険制度がスタートしてから15年間はサービス利用者の自己負担額は原則1割でした。しかし2014年の改正で、一定以上の所得のある人は2割負担となりました。そして、2017年の改正では、さらに2割負担の人のうち「特に所得の高い層」の負担割合が3割となりました。

また、2017年の改正では、新しい介護保険施設として「介護医療院」が定められ、2018年4月にスタートしました。これは、長期にわたって療養するための医療と、日常生活を送る上での介護を一体的に受けられる施設です。開設できるのは、医療法人のほか地方公共団体や社会福祉法人などです。「介護医療院」が誕生したことで、現在ある「介護療養型医療施設(療養病床)」は、いずれ廃止されることが予定されています。

次回の2021年の改正では、どのようことが見直されるのか注目されるところです。

 

在宅で介護にかかる費用の全額が保険対象ではありません

在宅で介護サービスを利用する場合、その際にかかる費用全額が保険の対象となるわけではありません。

例えば、訪問介護などの訪問系サービスの場合ではどうなっているでしょうか。身体介護では、入浴・排泄・食事・起床・就寝などの介助などについては、かかる費用の1割などを負担すればいいのですが、介護に必要なおむつやガーゼといったものは保険対象ではないので、前もって家族などが買って用意しておく必要があります。

通所系サービスの、デイサービスやショートステイの場合も同様です。

 

居住系施設に任せっぱなしは要注意

居住系施設と呼ばれる住宅型有料老人ホーやサービス付き高齢者住宅に家族を入れて、任せっきりにしてしまうと、思わぬ金銭的負担がかさんでしまうケースがあります。

費用が1カ月定額で決まっている場合もありますが、洗濯代がいくら、掃除代がいくら、外出支援がいくら、と個別に支払うところが一般的です。毎日のことなので、すべて任せっきりにすると費用の負担が大変になるので事前に計算しておきましょう。

それにサービス付き高齢者向け住宅は「介護施設」ではなく、要支援・要介護の人でも入居可能な「高齢者向け賃貸住宅」であるという点を忘れてはいけません。介護サービスは、外部の事業所(同一建物内もあり)と契約し利用します。夜間は介護の専門職が常駐しているわけではないので、緊急時の対応(特に夜間と早朝)を介護施設と同レベルを期待することはできません。認知症となって不穏な行動が増え、他の入居者への迷惑行為が問題になった場合は退去を迫られることもあるので、入居の際に退去の条件も確認しておきましょう。

高室さんは「例えば、1週間ごとに会いに行くたびに洗濯物を持ち帰ることで、費用の負担を軽減することができます。とはいえ、家族もどこまで自分たちがやることができ、どこを任せるのかということを、あらかじめ整理しておく必要があります」と話します。

 

介護サービスの利用料は住んでいる地域で違うって本当?

介護保険のサービス利用料は、住んでいる地域によって異なります。これを地域単価(1級地~7級地)と呼びます。

地域区分が設けられたのは、地域によって人件費や土地代などが異なるからです。つまり、同じ介護サービスを受けても、利用料が高い地域と安い地域が出てくることになります。ちなみに、2級地の人が3級地に所在するサービス事業所からサービスを利用した場合、サービス費用は3級地の地域単価で算定されます。

ちなみに、最も高い地域は、やはり1級地(20%上乗せ割合)の東京都23区で、次に高いのは横浜市や川崎市、大阪市の2級地(16%上乗せ割合)です。

 

取材・文/金野和子

 

 

高室成幸(たかむろ・しげゆき)さん

1958年京都市生まれ。日本福祉大学社会福祉学部卒。ケアタウン総合研究所代表、日本福祉大学地域ケア推進センター客員研究員、日本ケアマネジメント学会会員。介護施設、市町村やケアマネジャー団体、社会福祉協議会などを対象に研修を行い、施設マネジメントも手掛ける。『身近な人を介護施設にあずけるお金がわかる本』(自由国民社・監修)、『図解入門ビギナーズ 最新介護保険の基本と仕組みがよ~くわかる本』(秀和システム・監修)、『新・ケアマネジメントの仕事術』(中央法規出版・著)など著書多数。

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