在宅介護の強い味方「デイサービス」。1日どんなことをして過ごすのか/在宅介護

介護が必要になったとき、自宅に住み続けながら介護を受けることを「在宅介護」といいます。内閣府の調査によると、在宅介護を望む人は男女とも7割を超えています。今後、親や家族、配偶者、そして自分の介護などに、直面することもあるでしょう。在宅介護を行う上で、どのように介護保険を使ったらいいのか、ケアマネジャーとの関係や家族の関わり方などについて、現役の主任ケアマネジャーである田中克典さんに聞きました。

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●自宅から出かけて行って介護を受ける場所

デイサービスは在宅で介護を受けている人が、送迎付きでデイサービスセンターや特別養護老人ホーム(特養)などに朝出かけて行って夕方帰宅する日帰りで利用する介護サービスです。「通所介護」ともいいます。介護が必要な人が、自宅で自立した日常生活を送る手助けをするサービスであるとともに、介護者の心身の負担を軽減するためのサービスでもあります。

デイサービスを利用できるのは要支援1から要介護5の人です。自宅の玄関までスタッフが迎えに来て、送迎車に乗って通所介護施設に行き、食事、入浴などの日常生活上の介護や機能訓練(注1)を受けたり、レクリエーションに参加したりします。帰りも車で玄関まで送り届けてくれますが、家族が仕事などで不在のときは玄関先にとどまらず、スタッフが介助して部屋の中まで送り届けることもあります。

注1:機能訓練とは、日常生活を営むのに必要な、立つ、座る、歩くなどの身体機能や、家事、外出などの生活機能を維持向上させるための訓練。これに対してリハビリテーション(リハビリ)は、医師の指示に基づいて行う基本的動作能力を回復させるための訓練。

「デイサービスを利用するとレクリエーションや簡単な体操で体を動かしたり、他の利用者
と交流したりする機会が得られるため、気分をリフレッシュでき、孤独感の解消や閉じこもりの防止につながっています。介護が必要な人を日中預かることで、介護をしている家族の負担を軽減する役割も。自宅での入浴が難しい人でも、デイサービスでは入浴時にスタッフが介助するので安心感があるようです」と田中さん。

デイサービスの利用時間は施設ごとに決まっています。おおむね9時から16時までの「1日型」のところが多いようです。利用者それぞれのケアプランによって、週に何回利用するかは異なります。「最近は利用者のニーズに合わせて、午前中だけ、あるいは午後だけという『半日型』や、リハビリだけの利用などにも対応しているところが増えてきました」と田中さん。

<あるデイサービスでの1日の過ごし方の例>
9:00  自宅から送迎車でデイサービスに到着
9:30  看護師による健康チェック
10:00 個別の機能訓練やマッサージ
11:00 入浴、集団レクリエーション
12:00 昼食
13:30 個別レクリエーション(手芸、塗り絵、書道、絵手紙、囲碁、麻雀などさまざま)
15:00 おやつ
15:30 簡単体操
16:00 送迎車で自宅に到着

ほかに毎月の誕生会や七夕、敬老の日、クリスマス会などの季節行事が行われることも多いです。そば打ち、バス遠足、お買い物ツアー、マジックショーなどのイベントが行われることもあります。イベントは別途、費用がかかる場合があります。

 
●デイサービスの利用料は要介護度ごとに異なる

デイサービスの利用料は要介護度ごとに国が定める介護報酬によって決まっています。市区町村によっては、地域加算(人件費の地域差を調整するために利用料を割り増しすること)があります。また同じ市区町村内でも事業所の規模によっても介護報酬が異なり、小規模の場合は多少高めの設定です。厚生労働省のホームページによると、通常規模(利用定員:19人以上、のべ利用者数:月に300人を超えて750人以下)で利用時間が7時間以上8時間未満、1割負担の人の1回の利用料のおおよその目安は下記の通りです。

<デイサービスの利用料の目安(1割負担で要介護1から5の人の場合)>
・要介護1... 645円
・要介護2... 761円
・要介護3... 883円
・要介護4...1,003円
・要介護5...1,124円
 
昼食やおやつはデイサービスで提供されます。費用は別途で500円から800円ほどかかり、デイサービスによって金額が異なります。全員に共通で行われるサービスに加えて、利用者それぞれの状態に応じた機能訓練、食事に関する指導(栄養改善)、口の中の手入れ方法の指導や咀嚼・飲み込み訓練などを行う場合も、別に費用が加算されます。入浴介助についても別途加算されます。デイサービスの支払いは月ごとになります。口座引き落としや集金袋による現金払いなど、支払い方法はさまざまです。

 
●自分に合ったデイサービスを選ぶには?

介護保険では、地域にある複数のデイサービスの中から本人や家族の希望に合わせて選ぶことができます。デイサービスごとに1日のプログラムはさまざま。一斉に行うゲームなどの集団レクリエーションをあまり行わずに手芸や囲碁などの個別レクリエーションが主体になっているところ、陶芸や絵画制作などの創作活動がさかんなところなど特徴も異なります。にぎやかな大規模施設もあれば、家庭的な小規模施設もあり雰囲気も違うので、相性のいいデイサービスを探すことが大切です。

「まず本人と家族が話し合い、デイサービスに通って何をしたいのかを明確にします。例えば『機能訓練をしたい』『入浴したい』『趣味の活動をしたい』など、目的は人によって違います。ケアマネジャーに要望を伝えて紹介してもらい、少なくとも2カ所以上見学に行くとよいでしょう。選ぶときのポイントは、デイサービスの規模や雰囲気、利用者の様子、スタッフの対応の仕方、自宅からの距離など。最近は見学のときにも車で送迎してくれるところがあり、『体験』といって1、2時間滞在して雰囲気を味わえるところも増えています。家族も一緒に見学した方がいいですが、最終的に決めるのは本人です」と田中さん。

 

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取材・文/松澤ゆかり

 

 

田中克典(たなか・かつのり)さん

1962年、埼玉県生まれ。日本福祉教育専門学校卒業後、東京都清瀬療護園、清瀬市障害者福祉センターなどで介護経験を積む。2000年に介護保険制度発足と同時にケアマネジャーの実務に就く。現在、SOMPOケア株式会社で主任ケアマネジャーとして勤務。著書に『現役ケアマネジャーが教える介護保険のかしこい使い方』(雲母書房)ある。

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