住まい、お金、健康、人間関係など...漠然と老後に対する「不安」を抱えている人は多いでしょう。そこで今回は、60代からの一人暮らしを満喫するYouTuber・yamaさんの著書『61歳、ひとり暮らし一年生。 お金はないけど、「好き」を重ねて楽しむ暮らし』をご紹介。57歳での突然の整理解雇、目が開かなくなる病気、父親の死など、人生後半のスタート時に訪れた困難を乗り越えた彼女の生き方は、きっとあなたの将来のヒントになるはずです。
※本記事はyama著の書籍『61歳、ひとり暮らし一年生。お金はないけど、「好き」を重ねて楽しむ暮らし』から一部抜粋・編集しました。
衝撃の年金額を知り、都営住宅への引っ越しを考える
本当に不勉強だったと思いますが、私は57歳で退職した後もしばらくは、老後の生活について楽観的に考えていました。
病気のために働きたくても働けなかった時期に不安を感じていたのは、当面の生活資金のこと。
年金を受給できる年齢になれば、年金にパートなどの収入を多少上乗せするなどして、それなりに暮らしていけるだろうと思っていたのです。
あるとき、年金の受給開始時期を65歳より前に繰り上げる制度があることを知りました。
もしかしたら、63歳ぐらいから受給してもいいかもしれないな......。
そんな考えが浮かんだため、将来に備えて受給額を知っておこうと年金事務所に行きました。
年金事務所では、その場ですぐに試算してくれました。
その結果を見たときのショックといったら! 正直な感想は、「これだけ?」。
63歳に繰り上げどころか、65歳から受給しても、とても暮らしていける金額ではありません。
その後、ちょっとした計算方法の変更があったため、試算しなおしたものを郵送してもらいました。
ほんの少しだけ期待しながら年金事務所から届いた資料をチェックしましたが、金額はほとんどかわりませんでした。
今まで年金について知ろうとしなかったことを悔やみながら、生まれて初めて年金の勉強を始めました。
本を読んだり、社会保険労務士の年金相談を受けてみたり......。
自分なりに制度の枠組みを理解してみて感じたのは、年金は最強の不労所得だということです。
最大のメリットは、生きている限り受給できるという点。
これまでの「年金なんて当てにならない」というイメージが、「意外にありがたい制度かも」にかわりました。
残念ながら、考えがかわったところで受給額はかわらないのですが。
支出を抑えるためにできるのは家賃を減らすこと
具体的な年金額を知ってから、私は本格的に焦りはじめました。
現時点で収入がなく、65歳以降も年金に頼って生活することはできない。
すぐに始めるべきなのは、仕事を探すことに加え、支出を抑える方法を考えることだと思いました。
支出を抑えるとはいっても、私はムダなお金を使ってはいません。
食費、光熱費、通信費......。
自分の生活をあらためて見直してみると、支出の大部分を占めているのは家賃であることがわかりました。
今の部屋はとても気に入っているけれど、そんなことを言っていられる状況ではありません。
住みかえ先として真っ先に浮かんだのが、都営住宅でした。
パンフレットをとり寄せて調べてみたところ、入居条件はクリアしています。
よし、あとは応募するだけ。
いったん決めると行動が早い私は、準備を整えてさっそく応募しました。
都営住宅に住めるのは宝くじに当たるようなもの
応募した段階で住みかえへの心の準備はできていたので、その後は、新しい生活を思い描く毎日でした。
この家具はもっていけそうにないから処分しなくちゃいけないな、文鳥たちのケージはどこに置こうかな......。
抽選で入居者が決まることは知っていましたが、「応募すれば当たる」と思い込んでいたのです。
当選者が発表される日、サイトをチェックしてみると、みごとに外れていました。
どうして?と不思議に思って倍率を見ると、なんと47倍!
さらに調べてみると、私に当てはまる「単身で60歳以上」という枠は物件数が少なく、とくに倍率が高いことがわかりました。
都営住宅に住むためには、宝くじに当たるような強運が必要だったのです。
その後も数回トライしましたが、すべて外れ。
そういえば、昔からくじ運は悪かったな、とため息をつくしかありませんでした。