「〇〇してくれ、と言わんこと」キャリア70年の精神科医が教える「人間関係をうまいことやる習慣」

家族に仕事、人間関係など、人生にはさまざまな悩みがつきもの。精神科医として、70年近く働いてきた中村恒子さんの著書『うまいことやる習慣』(すばる舎)には、そんな悩みとの向き合い方や受け流し方のヒントが詰まっています。多くの人を勇気づけてきた言葉から厳選して、連載形式でお届けします。

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与えられることをあたりまえだと考えてはいけない。もらったものに感謝する。そして、それ以上は望まない。

私はずっと勤務医として働いてきたもんやから、多くの働く人と同じように同僚がいて、上司がいて、部下がいて、という職場環境で仕事をしてきました。

「職場の人間関係で悩みませんでしたか?」って質問されるけど、そんなに大きなトラブルは経験したことはなかったですなあ。

そのコツは?って言われると自分ではよくわからんのやけど、やっぱり本質的には人に多くを望まないことでしょうね。

いい意味で期待をしない。

「~してほしい」「~してくれ」と言わんことでしょう。

職場でも家庭でも、「人がくれるものだけ、ありがたくもらっておく」っていう姿勢を基本にしていると、人間関係で大きなトラブルが起きた記憶はありません。

ところがクリニックで診察したり職場の人と話していたりすると、「上司が指導してくれない」とか「同僚が助けてくれない」、はたまた「夫が家事を手伝ってくれない」とか、「くれない」「くれない」っていう「くれない」族の人が大勢いはる。

でもね、人っていうのは、「~してくれ」ってしつこく言われてするのはイヤなもんなんです。

そこに、「やってあたりまえやろ」という感覚があればなおさらです。

これは、たとえ上司・部下という間柄だとしてもそう。

「部下なんやからこうせい」「上司なんやからこうあらねばならない」という考え方もあるでしょうが、私たちは役割の前に「人間」です。

特に今の時代はその人間性を尊重せないかんでしょう。

そもそも、人に何かしてもらうのが当然だと考えていると、感謝の気持ちを忘れてしまいますわな。

「これくらいはやってもらってあたりまえ」という感覚は人間関係がうまくいかなる大きな要因の一つです。

でもね、何かをしてくれることはあたりまえでないと考えて生活できると、ちょっとしたことにも感謝できるようになりますわ。

与えられるのはあたりまえではない。

自分の言うとおり・思いどおりになることはあたりまえでない。

そんなクセをつけて人と付き合っていけたら、必要以上に落ち込んだり悩んだりしなくてすむと思いますよ。

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「〇〇してくれ、と言わんこと」キャリア70年の精神科医が教える「人間関係をうまいことやる習慣」 105-H1-umaikoto.jpg「仕事」「人間関係」「生き方」などの6テーマから、キャリア70年を誇る精神科医が考え至った37のメッセージがつづられています

 

中村恒子(なかむら・つねこ)
1929年生まれ。精神科医。1945年6月、終戦の2カ月前に医師になるために広島県尾道市から1人で大阪へ。混乱の時代に精神科医となる。子育てを並行しながら勤務医として働き、2017年7月(88歳)まで週6日フルタイムで外来・病棟診療を続けた。「いつお迎えが来ても悔いなし」の心境にて生涯現役医師を貫く。

奥田弘美(おくだ・ひろみ)
1967年生まれ。精神科医・産業医。日本マインドフルネス普及協会代表理事。

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『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』

(中村恒子・奥田弘美/すばる舎)

悩んだり、立ち止まったり、いろいろあるのが人生。本書は、そんな人生をたんたんと生きてきた精神科医・中村恒子さんの波乱万丈な半生を軸に、「うまいことやる考え方」がつづらています。彼女のどこまでも自然な姿に、「こんな生き方でもいいのか」という気づきを与えてくれる一冊です。

※この記事は『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(中村恒子・奥田弘美/すばる舎)からの抜粋です。

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