「仕事が好きな必要はないんやと思います」キャリア70年の精神科医が伝えたい「仕事を無理なく続けるコツ」

家族に仕事、人間関係など、人生にはさまざまな悩みがつきもの。精神科医として、70年近く働いてきた中村恒子さんの著書『うまいことやる習慣』(すばる舎)には、そんな悩みとの向き合い方や受け流し方のヒントが詰まっています。多くの人を勇気づけてきた言葉から厳選して、連載形式でお届けします。

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仕事が好きじゃなくてもまったく問題ない。「やらないよりやったほうがマシ」くらいが続けていくにはちょうどいい。

88歳になるまでずっと週6日のフルタイムで働いてきたので、今までたっくさんの人から「先生は、よっぽど仕事がお好きなんですねえ」と尋ねられてきました。

でも私は、一度も「仕事が大好きや」と答えたことはありません。

「大嫌い」ではありませんが、「大好き」でもない。

「好きか嫌いか」と言われれば、「好きなほう......かな?」。

私にとって仕事とは、いつもそんな感じの位置づけです。

たとえば20代のときは、「仕事をしない」という選択肢がありませんでした。

親には頼れへんかったから、生きるためには働く必要がある。

好き嫌いなど考えたりする暇も余裕もないって感じでしたわ。

結婚してからも、好き嫌い以前に「やり続けなければならないもの」やったから、同じような調子です。

そんなふうに何十年も続けてたら、仕事をすることは生活の一部になってしまって、子どもが独立したあとも自然と続けていました。

まあ、家にいてもすることありませんしなあ(笑)。

「仕事は好きでなければいかん」「楽しくやらないかん」そんなふうにまじめに考える人もいるかもしれへんけど、そんな必要はまったくないんやと思います。

もちろん、やりたくて仕方がないことに出会えたらそれがいちばんかもしれへん。

でも、それは宝くじに当たるようなもんなんやと思うくらいがちょうどええ。

働いてれば、いつか好きな仕事に出会える......かも。

それくらいの気持ちでいたほうが変なストレスを感じず仕事ができるもんです。

やらないよりは、やるほうがマシかな?

それくらいのモチベーションが、仕事を無理なく続けるコツやと思います。

そうすると過剰に期待しなくてすみますから、めんどうくさいこともイヤなことも「まあ、ときどきはそういうことも起こるやろ」と大らかになれますわ。

その中で、ふと嬉しいことや喜びがときどき味わえれば、それで十分やと思いますね。

たとえば掃除や洗濯なんかも、大好きでやっている人は少ないでしょ。

「生活のためにやっている」のと違いますか?

仕事も同じですわ。

旅行や遊びも、たまに行くのは楽しいけど、何回もしてるとだんだん飽きてきます。

刺激というのは、すぐに慣れてしまうもんなんです。

そもそも、仕事の好き嫌いなんて実はちょっとしたもんで、仕事の内容よりも人間関係のほうがよっぽど大事だったりします。

私の経験上、仕事が嫌いになる原因のほとんどは、人間関係です。

どこへ行っても仕事が嫌いになってしまうのは、人との付き合い方のほうに問題があるかもしれません。

そんなことで、仕事をしていく上では格別好きか嫌いかを考えなくてよろしいと私は思っています。

そしてどんな仕事であれ、働けるうちは何歳になっても続けたほうがええでしょうな。

時間が余ると、人間ろくなことを考えませんのや。

気にしないでええことまで気になってくる。

余計なことに首をつっこみたくなってくる。

暇は、人間にとって毒にもなります。

せやから、「ほどよく忙しい」のがええ塩梅でしょうな。

今の時代なら「好きでも嫌いでもない」くらいの仕事は見つかるはずです。

急がず焦らず、よ~く考えて「大好きじゃなくても長く続けられる仕事」を見つけていけばええと思いますよ。

そして歳をとってきたときには、食事や掃除のように、仕事が自然で穏やかな習慣になっていたら言うことなしやと思います。

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105-H1-umaikoto.jpg「仕事」「人間関係」「生き方」などの6テーマから、キャリア70年を誇る精神科医が考え至った37のメッセージがつづられています

 

中村恒子(なかむら・つねこ)
1929年生まれ。精神科医。1945年6月、終戦の2カ月前に医師になるために広島県尾道市から1人で大阪へ。混乱の時代に精神科医となる。子育てを並行しながら勤務医として働き、2017年7月(88歳)まで週6日フルタイムで外来・病棟診療を続けた。「いつお迎えが来ても悔いなし」の心境にて生涯現役医師を貫く。

奥田弘美(おくだ・ひろみ)
1967年生まれ。精神科医・産業医。日本マインドフルネス普及協会代表理事。

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『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』

(中村恒子・奥田弘美/すばる舎)

悩んだり、立ち止まったり、いろいろあるのが人生。本書は、そんな人生をたんたんと生きてきた精神科医・中村恒子さんの波乱万丈な半生を軸に、「うまいことやる考え方」がつづらています。彼女のどこまでも自然な姿に、「こんな生き方でもいいのか」という気づきを与えてくれる一冊です。

※この記事は『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(中村恒子・奥田弘美/すばる舎)からの抜粋です。

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