約束を守らない、部屋が散らかる...そろそろ介護が必要?「親の状況」10項目チェックでさっそく確認

ご両親が元気なうちは、「介護なんて当分先のこと」と他人ごとのようにお考えの方も多いでしょう。しかし介護は突然やってきます。想定もしなかった事態に戸惑い、余計な負担まで背負い込んだ結果、心身の健康を害してしまうこともあるのです。突然の事態に動揺しないためにも、いまから準備をしておくことが大切です。

そこでうまく乗り切るための方法、準備方法、介護サービスを受ける方法、仕組み、精神面・金銭面、予防などについて、淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博先生に教えていただきました。

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前の記事「親が70歳過ぎたら介護はいつ始まってもおかしくない! うまく乗り切るための準備が必要です(1)」はこちら。

 

このような症状がでたら注意が必要です

これまでいつもと変わりのなかったご両親が、突然、物を忘れる、足腰が弱くなったなどの「認知症」「体の機能低下」を感じたことがありませんか?認知症といってもさまざまあり、体験したできごとや過去の記憶が抜け落ちてしまったり、自分がいまどのような状態なのか、年月日・時間・季節・場所・人物などが分からなくなってしまいます。

さらに、時間や場所が分からなくなってしまうと、約束を守らなくなったり、いつも通っている近所の店へ出かけて道に迷ってしまったりなどの行動が現れます。そこで「注意すべき10のチェックポイント」をご紹介しますので、該当する症状がないか確認しましょう。

 
10のチェックリストで、ご両親の状態を確認しましょう

(1)物忘れが激しくなった
「先ほど話したことを忘れてしまっていた」「物を置いた場所を忘れてしまった」などの事態が生じます。新しいことが覚えられなくなり、ついさっきしたことやしたことの記憶が難しくなった現れです。

(2)約束を守らなくなった
約束の時間を守らない、予定通りの行動をしなくなることが頻繁に起きます。今何時なのか、季節はいつなのかも分からなくなっています。

(3)同じことを何度も繰り返していう
「今日は何曜日?」「あの人は元気?」などの質問を繰り返すようになります。脳の記憶が衰え、直前に起こったことや話した内容を理解できなくなり、同じ発言を繰り返すようになります。

(4)食事したことを忘れてしまう
認知症の人に多いのが、先ほどご飯を食べたにもかかわらず「ごはんまだ?」「ごはんを食べていないけどいつ?」と聞いてくるケースです。

(5)外出したが自力で帰宅ができなくなった
散歩や買い物などで外出した際、自宅の場所が思い出せなくなって、帰宅できないケースもあります。症状が進めば、事故につながり命を落とす危険もあります。

(6)部屋を散らかすようになった
「最近、部屋が散らかっている」「半年ぶりに帰省したら家の中があれていた」などがある場合、認知症や体力の低下を疑いましょう。認知症から物をしまった場所を思い出せなくなったり、体力が弱ってものをしまえなくなったりして、直置きするようになるのです。

(7)歩くのが遅くなった
一緒に外出して歩いた際、ご両親が昔に比べて歩くのが遅くなった、途中で休憩するようになったなどがあれば、体力低下のサインです。

(8)社交的でなくなった
社交的だった人が最近、家に閉じこもっている、おしゃれだった人が身だしなみに気を使わなくなったら、意欲や体力の低下が考えられます。

(9)感情の起伏が激しくなった
突然怒りだしたり、急に塞ぎこむなど、感情の起伏が激しくなります。またこれまで熱心だった趣味に無関心になった場合も要注意です。

(10)作業を投げ出す、やりかけのまま忘れてしまう
1つの作業をしている間に、別に関心が移れば、やりかけのままにして別の行動をしてしまう。これまでやっていたことを忘れてほかのことをするといったことが起ります。

 

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取材・文/中沢文子

 

結城康博(ゆうき・やすひろ)先生

1969年生まれ。淑徳大学総合福祉学部教授(社会保障論、社会福祉学)、経済学修士、政治学博士。社会福祉士、ケアマネジャー、介護福祉士の有資格者。地方自治体に勤務、介護職、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護部署などの業務に従事。テレビ、新聞、雑誌など多岐にわたり活動中。新刊『突然はじまる! 親の介護でパニックになる前に読む本』(講談社)など著書多数。

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