国内で250万人が該当!? 高齢で心身が衰える「フレイル」を予防しましょう

pixta_27488975_S.jpg栄養、運動、社会参加で加齢による不調を予防

2017年9月発表の日英の研究チームの解析によると、高齢になって心身の活力が落ちたフレイル(虚弱)と呼ばれる状態の人は、国内に少なくとも250万人はいることが分かりました。65歳以上の日本人で、入院せずに地域で暮らす人の7.4%がフレイルということになります。欧米人のフレイルの割合は9.9%。追加調査で、日本人を年代別に分析したところ、フレイルの割合は65~74歳では海外に比べて低く、80歳以上では高くなっています。そこで、東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢先生に、「フレイル」を予防する秘訣をお伺いしました。

加齢に伴い、身体機能や認知機能、社会とのつながりなどが低下した状態を「フレイル」といいます。これは「虚弱」を意味する英語「Frailty」が語源で、健康と要介護の中間にある状態を指します。「より早期にフレイルの兆候を見つけて適切な対応をとることが重要。ペットボトルのふたが開けづらくなったり、外出がおっくうになったりすると、年を取ったせいだと思いがちですが、それを〝フレイルの兆候かも〟と自覚して生活習慣を変えることで、健康な状態に戻すことができます」と、飯島勝矢先生。

フレイル予防の一つ目は、食と口腔(こうくう)機能を含めた「栄養」です。食事はできるだけ多品目の食材を使用。中でも、筋肉の維持にはたんぱく質を積極的に摂る必要があります。「60歳代までは健康的な体形を維持する食事量の管理を、75歳以降は栄養管理を重視してください」(飯島先生)。また、歯が抜けたり、歯周病になったりして口腔機能が低下すると、かみ応えのある食材がかめなくなり、唾液の分泌も低下。食事内容が偏ることで低栄養を招き、筋肉の衰えや体力の低下につながります。

二つ目は「身体活動・運動」です。いまよりも10分でも多く体を動かすよう意識して、継続的にできることに取り組みましょう。こまめに体を動かすことで、筋力の低下を予防できます。三つ目は、「社会参加」。特に、いつも1人で食事をしている孤食の方は体の衰えのリスクが非常に高いことが分かっています。積極的に家族や友人と食事をする機会を設けてみましょう。

最も大切なのは、三つのフレイル予防を継続して実行すること。自分がどのような日常生活を過ごしているか見つめ直して、取り組んでみましょう


今日からはじめるフレイル予防法

●低栄養対策
高齢期のBMI(※)は、中年期以前と異なり、少し高めの方が良いと分かってきました。50歳以上はBMI20.0~24.9、70歳以上はBMI21.5~24.9を目安に、しっかり食べて栄養状態を保ちましょう。

※BMI=体重kg÷(身長m)2。体重と身長から肥満度を示す体格指数。

●口腔
たくあんやさきいか程度の硬さの食品をかみ切れない場合は、かむ力や口周りの筋肉が弱まっている可能性があります「早口言葉」などで口のトレーニングを行いましょう。汁物でむせる場合は、飲み込む力が低下しています。誤ご嚥えんにつながりやすいので、医療機関を受診しましょう。

●運動
ちょっとした運動でも継続して行うことでフレイルのリスクが下がります。散歩をする、少し遠くまで歩いて買い物に行くなど、日常的に歩いたり動いたりを意識しましょう。

●社会参加
社会参加の機会の低下は、フレイルの最初の一歩になりやすいとされています。地域のボランティア活動や趣味のクラブ、友人との食事会など、目的は何でもかまいません。積極的な外出を心がけましょう

※上記のフレイル予防法は、飯島勝矢先生への取材を基に編集部で作成。

飯島勝矢(いいじま・かつや)先生

東京大学高齢社会総合研究機構教授、内閣府「一億総活躍国民会議」有識者民間議員。専門は老年医学、老年学。

この記事は『毎日が発見』2018年3月号に掲載の情報です。

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