ほとんどが親と別居している今の40~60代。働き盛り&子育て真っ最中なのに、突然、親に介護が必要になったらどうすればいい? そこで、介護の制度やお金のことなどがわかるガイドブック『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)より、実際に施設介護をされている方が体験した「施設での困りごとやかかったお金」について抜粋してお届けします。
【前回】60歳で働きながら同居。認知症の母を7年介護/離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本
【最初から読む】月額平均約7.5万円!? 家族が賄う親の介護費用/離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本
【介護付き有料老人ホームの場合】
転居が必要になることも想定し入居一時金なしコースを選択
介護者
浮谷京子さん(仮名)
53歳 千葉県在住 自営業
介護の分担状況 浮谷さん8:妹2
要介護者
[母]浮谷真紀子さん(仮名)
83歳 千葉県在住
要介護4
介護保険の自己負担 1割
[これまでの経緯]
介護付き有料老人ホームも内容にはバラつきがある
浮谷京子さんの母、真紀子さんは3年前、80歳のとき脳梗塞を発症し車いす生活に。
急性期病院に2週間、リハビリ病院に4カ月入院した後、娘に世話をかけたくないという真紀子さんの希望もあり、現在は介護付き有料老人ホームで暮らしています。
「車いす生活になった母が手厚い介護を受けられるよう、介護付き有料老人ホームを探しました。入院中に施設を探し2つに絞り、最終的にはリハビリ時間が長いほうの施設に。その頃はまだ、リハビリ次第で回復できるのでは、と考えていました」と、浮谷さん。
入居してみるとリハビリは期待したほどではなく、介護職員の数も足りていない状況でした。
入居時の説明で「やってくれるはず」だったことも現場では「できない」と言われ、3カ月で見切りをつけて別の施設へ移ることに。
退去に際しては、途中解約による入居一時金の扱いが気になりますが
「施設選びを間違えたら転居できるよう、一時金を払わないコースを選択。毎月の費用は高くなりますが、退去による支障はありませんでした」
転居先は2つ候補にあげていたもう一方の施設。
再度内覧をして、介護職員の穏やかな対応や、入居者の楽しそうな雰囲気を見て入居を決めたと言います。
いつでも転居できるよう、一時金なしのプランを選択
2カ所目の施設も一時金なしのプランを選択。
施設に払う月々の費用は、居住費、管理費、食費、水道光熱費の他、介護サービス費用も含み約39万円。
一時金ありの月額に比べると2~3割高い計算です。
そのほか内科と歯科の訪問診療や月4回のマッサージなどの費用もかかります。
さらに想定外の労力だったのが、空き家となった実家の維持管理。
「米国在住の妹が夏冬に帰国するため、いつでも使えるよう電気やガスはそのままに。庭木は近所の迷惑にならないよう植木屋さんに手入れを頼み、傷んだ屋根も修繕。池は鯉がいるのでモーターを回し続け、餌やりは隣家にお願いしています」。
維持費などは合計で年間40万円ほど。
介護費用も含め母の年金と資産から捻出しています。
施設選びのポイントは、介護する人のゆとり
今の施設ではケアマネや介護職員とも懇意で、要望にも耳を傾けてくれ、浮谷さんはおおむね満足しているそう。
施設介護から3年が経つ今、選び方のポイントについて尋ねると「入居者にかかわる人手が十分にあり、必要なケアを待たせずにやってくれて、時には隣に座って話しかけてくれる心のゆとりが大事」とのこと。
こうした見極めは一度の内覧では難しいので「食事、レクリエーションなど、時間や目的を変えて訪れ、入居者とのかかわり方を見るといいです」と浮谷さん。
介護される本人の気持ちで探すことが、大切なポイントと言えそうです。
●1週間の平均的なスケジュール
施設近くの桜並木。家族が許可すれば車いすでお花見に連れて行ってくれる。
植物が好きな母親のため居室に多肉植物を。水やりなどの世話は見舞いのときに行っている。
●ある1カ月の介護費用
【次回】たまにしか顔を出せない...気を付けたい子どもの言動/離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本
【まとめ】「離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本」記事リスト
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