「最低限保証された相続分」を無視した遺言は必ずもめます!/相続「やってはいけない」8ヵ条

わが家は仲がいいので遺産分割でもめるわけない――。そう考えている人も多いでしょう。しかし、いざ相続が開始すると、ちょっとした気持ちのすれ違いから摩擦が生じ、大きなもめごとに発展してしまうことがあります。そこで、株式会社タクトコンサルティング会長の本郷尚先生に「遺産分割で争わないために、やってはいけない8ヵ条」について教えていただきました。今回は「遺言でやってはいけないこと」についてご紹介します。


1906_p031_01.jpg

 
■やってはいけない(2)
遺留分を侵害する遺言を書くと必ずもめる

相続人には、最低限保証された相続分があります。これを遺留分といいます。この権利は遺言でも侵すことができません。

ところが、「長男に全ての財産を相続させる」などと、遺留分を無視した遺言を書いてしまうことがあります。その理由はさまざまでしょう。

「まったく実家に寄り付かない次男には財産を残したくない」あるいは「家業を長男に継がせたいので、財産が分散するのを避けたい」ということもあります。

昔は家督相続という考えが一般的で「家は長男が継ぐもの」との意識がありましたが、いまは「相続人は平等」であるのが基本です。

遺留分を侵害された相続人は侵害している人に「遺留分減殺請求」をすることができます。

「これは当然の権利ですが、そこまでいってしまうと、家族の関係はこじれてしまいます。であれば、最初から遺留分を侵害しない程度の金額を渡すことにしておけば、もめなくて済むのです」(本郷先生)

遺留分を侵害する遺言を書いて得する人は誰もいないのです。

例えば、相続人が長男と次男で5,000万円の自宅を長男が相続した場合、次男には1,250万円の遺留分があります。次男が遺留分を請求すると、これまでは自宅が長男4分の3、次男4分の1の共有名義になりました。共有名義は売却などがしにくくなり、長男にも次男にもデメリットがあります。今回の法改正で遺留分は金銭で解決することになったため、共有名義は回避できることになりました。

しかし、長男は次男に支払う現金を用意しなければなりません。遺言を書く際には、実際の相続のときにどうなるのかまで考えて、遺留分を侵害しないようにした方がいいのです。

 

■こんな事例も!66歳女性の場合
知らない間に相続放棄。自宅の売却に口出しできない

父は26年前に他界し、最近母が亡くなりました。弟が実家を処分すると言い出しましたが、私はまったく口出しができませんでした。父の相続の際に「放棄する」という書類に私が印を押し、弟が実家を相続していたようです。私自身がもっと勉強しておくべきでした。

その他の「やさしい相続入門」記事リストはこちら! 
取材・文/向山 勇 イラスト/山崎のぶこ

 

 

<教えてくれた人>

本郷 尚(ほんごう・たかし)先生

1947年生まれ。1973年、税理士登録。1975年、本郷会計事務所開業。現在、株式会社タクトコンサルティング会長。著書に『改訂新版 女の相続 ~SIX STORIES~』『笑う税金』『こころの相続』など。

この記事は『毎日が発見』2019年6月号に掲載の情報です。

この記事に関連する「ライフプラン」のキーワード

PAGE TOP