遺産分割協議には「相続人以外、顔も口も出すべからず!」/相続「やってはいけない」8ヵ条

わが家は仲がいいので遺産分割でもめるわけない――。そう考えている人も多いでしょう。しかし、いざ相続が開始すると、ちょっとした気持ちのすれ違いから摩擦が生じ、大きなもめごとに発展してしまうことがあります。そこで、株式会社タクトコンサルティング会長の本郷尚先生に「遺産分割で争わないために、やってはいけない8ヵ条」について教えていただきました。今回は「遺産分割協議でやってはいけないこと」についてご紹介します。

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■やってはいけない(1)
相続人以外は遺産分割協議に顔も口も出してはダメ!

相続が開始したとき、亡くなった人の財産をどう分けるか。遺言がなければ、相続人が話し合って決めることになります。これを遺産分割協議といいます。分割方法には主に3つの方法がありますが(下図参照)、遺産分割協議がまとまらなければ、財産の名義変更ができません。また、相続税の申告が必要なケースでは、10カ月以内に手続きをする必要があります。期限を過ぎると特例が利用できなくなるなどのデメリットがあるのです。

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遺産分割をこじらせる原因となるのが相続人の関係者です。税理士の本郷尚先生はこう指摘します。「相続人の配偶者などが遺産分割協議に参加するとトラブルの元です」。
相続人が配偶者や子どもにアドバイスを受けるのはかまいませんが、遺産分割の話し合いの場にまで参加すると、収拾がつかなくなってしまいます。

相続人であれば、親族ですから多少の遠慮や気遣いがあります。しかし、配偶者や子どもは相続人に比べてその気持ちは薄いですから、遠慮がありません。「これが最後のチャンス」とばかりに権利を主張することになるのです。

「相続で多少もめたとしても、親族であればその後に関係の修復ができるかもしれませんが、配偶者同士などがもめると、関係がとだえてしまうこともあります」(本郷先生)

相続で家族がバラバラになってしまうことほど、不幸なことはありません。それを避けるために相続人以外は、遺産分割協議に顔も口も出さないのが賢明なのです。

さらに効果的なのは、親が遺言を書くこと。遺言があれば遺産分割協議は必要ありません。遺言通りに財産を分ければいいですし、親の気持ちが伝われば相続人も納得しやすいのです。

■こんな事例も!68歳女性の場合
口約束の相続がこじれ裁判にまで発展

夫も子どももいない叔母が亡くなったとき、近くに住み面倒を見ていた別の叔母が「自分が全て相続する」と言い出しトラブルに発展しました。口約束だけで遺言がなかったことが原因です。遺産分割の話し合いはなかなかまとまらず、裁判にまで発展してしまいました。疲れました。

 

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取材・文/向山 勇 イラスト/山崎のぶこ

 

<教えてくれた人>

本郷 尚(ほんごう・たかし)先生

1947年生まれ。1973年、税理士登録。1975年、本郷会計事務所開業。現在、株式会社タクトコンサルティング会長。著書に『改訂新版 女の相続 ~SIX STORIES~』『笑う税金』『こころの相続』など。

この記事は『毎日が発見』2019年6月号に掲載の情報です。

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