大人の女性は「色彩」を味方に。スカーフ1枚から楽しむ「50歳からのファッション」

50代になると頭によぎる「終わり」の迎え方。人生の後半について、作詞家で作家の吉元由美さんは、「これからがクライマックス」と言います。今回は、著書『エレガントな終活』(大和書房)から、吉元さんが考える「50歳からの女性の生き方」のエッセンスをお届け。これからの人生が幸せになるヒントが散りばめられています。

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色彩を味方にして人生を楽しむ女性が増えている

昔の写真を見ると、いろいろな色の服を着ていました。

カラフルな服は、毎日が新しい仕事との出会いだった二十代の私にはぴったりだったのかもしれません。

切り開いていくポジティブなマインドが、選ぶ色に表れていました。

三十代の頃からは、黒い服を選ぶことが多くなりました。

黒、グレイ、チャコールグレイ、ボルドー、白......シックな単色の服を好んで着ていました。

その頃の流行もあったのかもしれませんが、黒を着ることで安心していたのかもしれません。

黒を好むのはいまも続いているのですが、最近、また明るい色の服を着たくなってきました。

ただし、シックである......というのがポイントです。

シック......「上品で洗練されている」、年齢を重ねるとは、まさにこういうことではないかと思います。

経済的なことは関係ありません。

大切なのは、マインドとセンスです。

そして、シックであることを楽しむこと......これが十分に大人になった女性たちの未来の時間を豊かにするキーワードではないでしょうか。

ものを多く持たず、好きなもの、上質なものと共にある。

それを無理なく楽しく実践できるのがファッションです。

シニアの女性たちが集まっているのを見て気づいたことがありました。

そこに色がないのです。

黒、グレイ、茶......そして、いかにもシニア向けコーナーで買ったと思われる無難な色合い、デザインばかりでした。

色は心理に影響します。

明るい色を着るとわくわくし、暗い色を着ると落ち着くものです。

これから高齢化社会を迎える日本の街は、地味な色で埋め尽くされていく......すると、社会そのものの活気が低下していくような気がするのです。

最近、パリやニューヨークのおしゃれなマダムの写真集が人気です。

私もときどき写真集を開いては、こんなふうに年を重ねていきたいと憧れを募らせます。

カラフルな装いもあれば、黒、グレイ、ベージュ、白などの落ち着いた色を美しく着こなした姿も。

マダムたちの装いの根底には「自由さ」があります。

囚われがなく、思うままに、自己表現としてファッションを楽しんでいるようです。

もちろん、欧米の女性たちがみんな写真集のマダムたちのようではありませんが、シニアの女性たちのファッションはなかなかカラフルです。

写真集『マダムシックParis Snap』の中の六十四歳のマダムはこう言います。

「人生は変化の連続。色彩を味方に味わい尽くすわ」
「この年齢だから、ヴィヴィッドな色やデザインを選ぶのよ」

色やデザインによって気持ちを上げる。

元気が出ないとき、もうひと頑張りしたいとき、意識して色の綺麗な服を着る。

いつも前向きな気持ちでいるための秘訣です。

シンプルなセーターに華やかなスカーフを

白髪を染めないグレイヘアーの女性が増えてきました。

自身のライフスタイルについて語った『グレイヘアという選択』という本のインタビューの中で、モデルの結城アンナさんはこう述べています。

「染めた髪の色に合わせているうちに、自分本来の姿からかけ離れてきた」

そして、思いきって染めるのをやめてみたら、自分らしい姿を取り戻すことができて、気持ちが晴れやかになったそうです。

ピンクなどの明るい色が似合うようになり、若々しく華やかに見えるようになった、とも。

確かに、グレイヘアーは顔周りを明るく、肌を美しく見せます。

グレイヘアーの大御所といえば、加藤タキさん、デザイナーの島田順子さん、そして圧巻は女優の草笛光子さんでしょう。

草笛光子さんは『草笛光子のクローゼット』の中で、「髪を染めるのをやめたら自由になった」と語っています。

嘘も隠し事もない素の自分でいられる気持ち良さ。

どこにも力の入っていないあり方は、まさに終活を意識する私の理想とするところです。

グレイヘアーには品のいいローズの口紅がよく合います。

グレイヘアーの恩恵を存分に楽しみたいものです。

年齢を重ねてきたからこそ華やかな装いが似合う。

品格のある華やかさです。

貫禄という言葉がありますが、貫禄とは姿形というより「オーラ」のようなものかもしれません。

そこにいながらにして醸し出す空気感。

それは、ファッショナブルであるとか、高級な服を着ているということではありません。

「自分の生かし方をわかっている」ということです。

何よりも、その服を着てわくわくするか、素敵だと思えるか、です。

人生の折り返し地点を過ぎ、緩やかな次のカーブが見えてくるとき、ものを手放し、執着を手放すことと、鏡の中の自分にわくわくするという話は矛盾すると思われるかもしれません。

必要のないものはできるだけ手放して身軽に。

でも、それは世捨て人になることでも出家することでもないのです。

生身の人間として、ひとりの女性、男性としてありのままの、心地の良い自分でいるためのことはしていきたいものです。

そして、何よりも元気でいるために、着るもので気持ちを上げていくことも大切だと思います。

高級な服も、たくさんの服も必要ありません。

凝ったデザインの服もいりません。

クロゼットの中には、いまの自分に似合う服が入っていればいいですね。

そこにヴィヴィッドな色合いが少なければ、ぜひ一枚でも加えてみましょう。

草笛光子さんはユニクロの服をよく着るそうです。

シンプルなセーターにカラフルなスカーフを添えるだけで、華やいだ印象になります。

それを楽しむのです。

『AdvancedStyle ニューヨークで見つけた上級者のおしゃれスナップ』に登場する、ニューヨークのファッショニスタのマダムの言葉がすべてを語っています。

「若い子たちに言いたい。いつかあなたも大人の女性になるのよ。心配せず、焦らなくていいの。年をとることを心配する必要はないのよ。それぞれの年代で、年齢が個性を作り出すものなんだから」

50代を迎えた全女性に贈る「エレガントな終活」記事リストを見る

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杏里、松田聖子、中山美穂などのアーティストに作詞を提供する著者が、50代の女性へ贈る幸福論です

 

吉元由美(よしもと・ゆみ)

1960年、東京都生まれ。作詞家、作家。洗足学園音楽大学客員教授、淑徳大学人文学部表現学科客員教授。成城大学文芸学部英文学科卒業。1984年、作詞家デビュー。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、石丸幹二、加山雄三ら多くのアーティストの作品を手掛ける。エッセイストとしても幅広く活動し、著書多数。

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『エレガントな終活~50歳から、もっと幸せになる~』

(吉元由美/大和書房)

仕事、パートナー、老親、子どもとの関係が激変する女性の50歳。この先の人生に必要なことは、大切にしたいことを「取捨選択する」ことです。自分を愛し、より自由で幸せな女性になるために、50歳となった今からできる新しい「終活」を提案しています。

※この記事は『エレガントな終活~50歳から、もっと幸せになる~』(吉元由美/大和書房)からの抜粋です。

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