家族や友達、仕事仲間に頼み事をすると、「何だか悪いな」と思うことありますよね?でも、実は人に頼ることで「人とつながる」と、一人ではできないことに挑戦できたり、ワクワクできたり、自分にも周りにもいいことが起こるそうです。今回は、「人の助けを受け入れる力=受援力」の重要性を説く医師・吉田穂波さんの著書『「つらいのに頼れない」が消える本―受援力を身につける』(あさ出版)から、「人に頼るときの心構えと方法」について連載形式でお届けします。
頼らないことで生じるデメリットとは
誰かに頼みを聞いてもらうとき、本来は相手に対して「ありがとう」という感謝の気持ちでいっぱいになるはずですが、頼るのが苦手な人は、「相手に申し訳ない」「相手の時間を無駄にしてしまうのではないか」「自分の頼みが負担になってしまったかもしれない」というマイナスの気持ちを抱いてしまいます。
もともと頼ることに抵抗があると、自分が切羽詰まっているときや助けを必要としているときはさらに、マイナス思考に陥りがちです。
しかし、それはあくまで自分の思い込みが自分を縛っているだけなのかもしれません。
むしろ、頼ることで生じるマイナスの感情よりも、頼らないことで生じるデメリットのほうが危険です。
フリーデザイナーのYさんは、過去、頼らないことでつらい状況におちいりました。「独立して個人事業主になったことで、設備や資金が必要なときにすぐに対応できませんでした。また、一人で仕事をしていると、アイデアに詰まることがたびたびありました。デザイナーがアイデアを出せなければ仕事ができませんので、それはそのまま、仕事がなくなることに直結します」
Yさんも、もともと人に頼るのが得意なほうではなく、フリーでやっていくと決めたからには、大変なときも自力で乗り越えたいとぎりぎりまで踏ん張ったそうです。
しかし、納期に遅れ、仕事のクオリティーが下がり、ついに取引先が激減してしまいました。
頼らないことで仕事がなくなるという死活問題に直面したのです。
「ここまで来てはじめて、同業者の先輩に経営方法について聞いたり、以前の職場の同僚にアイデアに関して意見を聞いたりすればよかったと後悔しました。独立した手前、お世話になった人たちに迷惑をかけたくないと思っていましたが、何よりも仕事がなくなってしまっては生きていけません。自分の窮状を話して相談したところ、みんな快く手を貸してくれました」
それからは、積極的に人に頼り、助けてもらった分、自分も誰かを助けてあげようという気持ちが強くなったそうです。
子どもの頃は、一人でできることが「自立だ」と教わりましたが、大人になり社会人としてさまざまな重荷を背負うようになると、次は真の自立へとレベルアップする必要が出てきます。それは、一人でできることと他人に頼ることを見極め、お互いに助け合い、"全体にとって最もいい方法を選ぶ"という自立なのです。
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