我が家や実家を損せずに売る方法は? 専門家に聞いた3つの質問

いま日本では空き家が増え続けています。地方だけの話ではなく、近年は都市部でも「空き家問題」が深刻化しています。特に1960〜1980年代にかけて開発された郊外の「ニュータウン」は空き家が目立つ状況です。また、誰も住んでいない実家の管理に頭を悩ませている人もいるようです。不動産の専門家で空き家問題に詳しい牧野知弘先生に、相続した実家を「損せず売る方法」について聞きました。

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Q 家をできるだけ高く売る方法は?

A そのままの状態で売るといいでしょう。これまでの「修理の履歴」を残しておくと有利です。

家をきれいにリフォームして売る人がいますが、その分、販売価格が上がり、売れにくいことがあります。もし直すとしても、水回り程度にとどめておきましょう。工事費用を差し引くと、リフォームしてから売るよりも、そのままの状態の方が、結局、納得がいく金額で売れるのです。

中古物件を買うときに困るのは、いつどんな修理が行われたのかが、分からないことです。「〇年にエアコンを取り換えた」「〇年に屋根を修理した」などの「修理の履歴」を書き出しておくと、今後、いつ頃修理などが必要なのか見当がつき、購入する際の判断材料になって高く売れます。 

不動産業者の選び方には、1社に絞って販売を任せる「専属専任取引」と、数社に競合させる「一般媒介」があります。家の築年数や立地によっても状況は異なりますが、どちらかというと「一般媒介」の方が、高く売れるケースが多いようです。

Q 相続前と相続後ではどちらで売る方がいい?

A 税金面では相続後に売る方がいいですが、買い手がいるのなら先に売るのも一つの方法です。

相続税を計算するとき、「家屋」や「宅地」などの「不動産」は、実際の取引価格よりも低く評価されます。そのため、「現金」で相続するよりも、「不動産」で相続する方が、相続税が安くなります。しかし、相続した後で売ろうとしても、買い手がつかない可能性があります。相続前に売却できる機会があれば、先に売却して現金に換えてもいいでしょう。

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Q 更地にしてから売る方がいい?

A 更地にしてから売るのは避けた方がいいです。もし売れないと税金が上がってしまいます。

家を解体して、更地にしてから売るのはリスクが高いです。なるべくなら避けた方がいいでしょう。土地に家が建っていると「住宅用地の課税標準の特例」が適用されて、200平方メートル以下の小規模住宅用地では、固定資産税は6分の1に、都市計画税は3分の1に軽減されます。

しかし、家を解体して更地にすると、この特例が受けられなくなってしまいます。解体費用がかかる上に、土地が売れなかった場合は、これまでよりも税金が高額になります。それを避けるには、建物付きの「古家あり」という形で販売し、購入した人に解体してもらいます。その分、販売価格は安く設定します。

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取材・文/松澤ゆかり、山川寿美恵

 

<教えてくれた人>

牧野知弘(まきの・ともひろ)先生

オラガ総研株式会社代表取締役。第一勧業銀行、ボストンコンサルティンググループ、三井不動産などを経て現職。不動産顧問、不動産プロデュース事業などを行う。著書は『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)など多数。

この記事は『毎日が発見』2019年8月号に掲載の情報です。

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