義父母とも「要介護1」!本格的な介護サービス導入の結果は・・・?/別居嫁介護日誌

「妊娠・出産・育児」をすっとばして、いきなり「介護」が始まった! 離れて暮らす高齢の義両親をサポートしている島影真奈美さん。40代にさしかかり、出産するならタイムリミット目前――と思っていた矢先、義父母の認知症が立て続けに発覚します。戸惑いながらも試行錯誤を重ね、いまの生活の中に無理なく介護を組み込むことに成功。笑いと涙の介護エピソードをnoteマガジン『別居嫁介護日誌』からご紹介します。なんとなく親の老いを感じ始めた人は必読!


こんにちは、島影真奈美です。義母の「もの盗られ妄想」と、その言い分をうのみにしてしまう義父に対する対応策が少しずつ見え始めた前回。そして、念願の要介護認定の結果通知がやってきました。郵送で届いた介護保険証は当初の予定通り、ケアマネさんが預かってくれたため、"女ドロボウ"は出る幕なし......! これでいよいよ本格的に介護サービスを導入する準備が整いました。

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待ちに待った「要介護認定の結果通知」がやってきた。義父母が通知書類と新たに届いた介護保険証を紛失する前に、ケアマネ・鈴木さん(仮名)がすみやかに回収。「届きました!」と電話をくれた。

「こちらで開封してしまってよろしいでしょうか」
「お願いします!!!」

ほとんど合格発表である。

「真奈美さん、要介護1です! おふたりとも要介護1とれました!!」
「ありがとうございます! ありがとうございます!!」

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電話口で鈴木さんと大盛り上がり。気分は「当確!」だった。これで想定通りの介護体制が組める。幸い、一足先に暫定的として導入していた「週2回の訪問看護」に対して、義父母からは文句らしい文句は出ていなかった。ここでさらに、「週2回の訪問介護(ヘルパー)」に、地方自治体がやっている「ゴミの個別回収」が加われば、生活環境はまた改善されるはず! と期待も高かった。

介護サービスを利用するにはそれが公的なものであれ、民間企業が提供しているものであれ、その都度、契約手続きが発生する。そのたびに時間を調整し、夫の実家まで出向くのは地味に面倒ではあった。

たいてい、契約書の読み合わせをし、署名・捺印というステップを踏むのだが、たいてい、義父母から途中で質問が飛ぶ。
「この字が小さくて読めないんだけど、なんて読むのかしら?」
「この契約不履行というのは、どういったケースを指すんですかな」

そして、じっくりと契約書を読み込み、ゆっくりていねいにそれぞれが名前を書く。時には先方の担当者に「お嫁さんに代筆していただいても構いませんよ」と言われることもあったが、義父母は自分たちでサインすることを好んだ。

本音を言えば、じれったい。とりとめもない質問につきあっているより、さっさと終わらせて帰りたい。ただ、「自分たちで話を聞いてサインをした」という時間を持ったほうが、納得感につながるような気もしていた。だからこそ、まだるっこしい! と内心ジリジリしながらも、歯を食いしばって待機した。義父母よりも先に、息子である夫や嫁である私に説明しようとする担当者には「説明はおとうさんとおかあさんに......」とお願いした。

そして迎えた、ヘルパーさんとの初顔合わせの日。義母は台所とリビングを右往左往しながら、お茶の準備をし、到着を待っていた。

「ヘルパーさんはお仕事だから、訪問先でお茶を出してもらっても飲めないらしいですよ......」
「だって今日はちょっと蒸し暑いもの。お茶ぐらい用意しないと申し訳ないじゃない!」

おそるおそる伝えてみたけれど、もちろん義母は聞いてくれない。そうこうしているうちにヘルパーさんが到着し、さっそく義母の「さあさあ、こちらに座ってくださいな」「お茶召し上がって」アプローチが始まった。

しつこくて本当にすみません。心のなかで手を合わせていると、ヘルパーさんがバッグから水筒を取り出し、「お気遣いありがとうございます。自分で水筒を持ってきていますので」とにっこり笑った。「あら、そう......」と義母は一瞬、不満そうな顔になったが、お茶を飲ませようとするのはあきらめた。ワザあり、一本!

さらにヘルパーさんは義母に次々と質問していく。
「掃除機をかけたいので、どこにあるか教えていただけますか」
「おトイレはこちらにおいてある洗剤で掃除をさせていただいてよろしいですか」
「お風呂は普段どんな風にお掃除されていますか。みなさん、『うちはこうなのよ』ってやりかたがあると思いますので教えてくださいますか」

義母は「たいしたことはしてないのよ」と言いながらも、うれしそうだった。義父はといえば、ヘルパーさんが訪れた直後、スーッとリビングから姿を消したかと思うと、二階にのぼる階段のところでガサゴソ。見ると、古新聞の束をまとめていた。ヘルパーさんが「お手伝いしましょうか」と声をかけると、「ぜひお願いします」と二つ返事で笑顔を見せた。

「この古新聞というやつは、どうにも重たくていけませんな。ハッハッハ」

義父が声を立てて笑うなんて珍しい。プライドも高く、「自分たちはまだできるのに」という意識も強い。そんな義父母がみるみるうちに心を開いていく。プロってすげえ!!! どうかこのまま、介護拒否が出ませんように。ヘルパーさんのいる暮らしが無事、定着しますように。祈るような気持ちで夫の実家を後にした。

●今回のまとめ
・状況が許せば、介護サービスの契約手続きの説明は親と一緒に聞き、サインもしてもらおう
・「自分たちで納得して契約した」というステップが、親の自尊心を守ることになる
・「助けなどいらない」と強く主張していた親も、いざ介護サービスが始まると「助かった......!」と自覚してくれることもある

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イラスト/にのみやなつこ

 

島影真奈美(しまかげ・まなみ)

フリーのライター・編集として働くかたわら、一念発起し、大学院に進学した数ヵ月後、夫の両親の認知症が同時発覚。なりゆきで介護の采配をふるうことに。義理の関係だからうまくいくこと、モヤモヤすること、次から次へと事件が勃発。どこまで理解しているのか謎ですが「ぜひ書いて!」という義父母、義姉、夫の熱烈応援(!?)に背中を押され、この体験記を書き始めました。朝日新聞「なかまぁる」にて「もめない介護」を連載中。

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