もうすぐ60歳のエッセイスト。本気で気になり出した「老後のお金」をFPに相談しようとしたら・・・

もうすぐ60代を迎えるエッセイストの岸本葉子さん。これからの人生のために、さまざまな人の話を聞き、人生の終盤に訪れるかもしれない「ひとり老後」をちょっと早めに考えました。そんな岸本さんの著書『ひとり老後、賢く楽しむ』(文響社)から、誰にでも訪れるかもしれない「老後の一人暮らし」を上手に楽しく過ごすヒントをご紹介します。

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老後にいくら必要かわからなかったので、プロに相談にいきました

老後を考える上で住まいとならんで気になること、もしかしたら第一に来るかもしれないのがお金の問題です。

私も30代から気にはなっていましたが、なかなかわかりませんでした。

老後いくら必要かといった数字を新聞や雑誌の記事で目にはしても、バブル経済だったせいもあるのでしょうか、5000万円といった数字がふつうに出てきて、とても現実的とは思えなかったのです。

示される数字が、夫婦単位だったためもあります。

生命保険文化センターなどで割り出しているのですが、たいていが夫婦二人で月々いくらいくらとなっています。

夫婦二人で、基本的な暮らしをするならば25万円とか、少しゆとりのある暮らしをしたいなら35万円とか。

うろ覚えの数字なのは、ひとり暮らしの私には、そのまま当てはめることができないと思ったからです。

今はひとり暮らしでない人も、やがてはひとりで老後を過ごすことになります。

数字を示してくださる側には、夫婦単位では必ずしも参考にならないことを伝えたいです。

気になりながらもなかなか見通しが立たないので、思い切って専門家に聞いてみることにしました。

ファイナンシャルプランナーの中村芳子さんです。

訪問に先だって、シートを記入するようにとのことでした。

そこからして発見がありました。

量はそんなに多くなく、A4の紙1枚です。

大きく分けて、毎月の収支、年間の収支、保有資産、借り入れの欄があります。

私はこれを書くのにものすごく時間がかかって、たったA4の1枚の紙を埋めるのに3時間も要してしまいました。

特に毎月の収支の欄です。

一行目の、毎月の収入はいくらかという、その問いから答えられない。

働き方が固定給でないこともあり、全然把握していない。

売り上げに変動のある自営業の人は、多かれ少なかれそうかもしれません。

毎月ではなく突然入ってくるものもあります。

単行本の収入がそうですが、お勤めのかたの賞与も似たようなものかもしれません。

振り込まれてきた額をひとつひとつ足し算し、12で割って平均を出して、だいたいこのくらいかなという、すごく幅のある数字になって。

自分が毎月いくら収入を得ているかからして、わかっていなかったことに愕然としました。

毎月の支出。

これもたいへんです。

シートで聞かれている項目は、食費、家賃・住宅ローン、駐車場、公共料金・電話、教育費、医療衛生費、教養・娯楽費、お小遣い、他に毎月、給与から天引きされるもの、貯蓄・保険。

家計簿をつけている人なら難なく答えられるでしょうけれど、恥ずかしながら私はほとんどつけたことがなく、自分が食費にいくらぐらい使っているのかさえわからずにいたのです。

公共料金や住宅ローンのような、通帳で引き落とし先がわかるものはまだいいですが、それ以外はレシートをもとに、やはりひとつひとつ足し算しました。

電卓の叩きすぎで、指が痺れてくるほどでした。

不幸中の幸い(?)は、レシートだけはとってあったことです。

確定申告をしているので、とりあえずとっておく習慣があるのです。

通帳も、確定申告の際に税理士さんにコピーを提出する必要から、毎月必ず記帳していました。

それがいかにだいじかを知りました。

通帳はなるべくまとめておいた方がいいなとも思いました。

私はたまたま作った時期などによって3冊に分かれていて、全体像を把握しにくくなっていました。

ラストプランニングノートは、人のためだけでなく自分にも役立った

保有資産の欄は、預貯金・株・不動産について書くように、通帳や証券などを取り出してよくご確認の上記入するように、とあります。

こちらはそれほど時間がかかりませんでした。

保険証券などは、しまってある場所がわかっていて、すぐに取り出せます。

ちなみに株は持っていません。

迷ったのが不動産で、購入したときの契約書はすぐに取り出せますが、シートで記入を求められている「時価」とは、買ったときの値段そのままでいいのかどうか。

似たような条件の物件がいくらで売られているかをネットで調べて、そこからの推測で書きました。

資産については、ラスト・プランニングノートにもつけてあります。

よく「終活」で言われるエンディングノートと同じようなものですが、私の使っているものは、エンディングという名称にせず、ラスト・プランニングノートと呼ばれています(その後さらに「ら・し・さノート®」と改称されました)。

そこに資産を書き入れるページがありました。

貯蓄については、いくらあるかまでは書いていないけれど、どこの銀行に口座があるか。

保険についても、どの会社のどんな保険に入っているか。

公的年金。

不動産。

ローンも、どこの銀行にいくらを何年で組んでいるかを一覧にしてあります。

どんな資産を持っているか、借金はどれくらいか、このノートを見ればひと目でわかります。

自分のためというよりは、将来何かあったとき整理してくれる人のために書いたものですが、今回シートを記入するにあたって、とても便利でした。

このノートと証券類をひとまとめにしておくと、もしものときには役立ちそうです。

【最初から読む】今暮らしている家、いつまで住むつもり?

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70代から90代の一人で暮らす女性たちの生活から見えてきたひとり老後のコツや楽しみ方が全7章で紹介されています

 

岸本葉子(きしもと・ようこ)
1961年神奈川県生まれ。エッセイスト。食や暮らしのスタイルの提案を含む生活エッセイや、旅を題材にしたエッセイを多く発表。同世代の女性を中心に支持を得ている。著書に『ちょっと早めの老い支度』(オレンジページ)、『50歳になるって、あんがい、楽しい。』(だいわ文庫)、『人生後半、はじめまして』(中央公論新社)など多数。

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『ひとり老後、賢く楽しむ』

(岸本葉子/文響社)

ひとり暮らしで不安、お金の問題など誰もが老後の生活を不安に思うものです。90代のひとり暮らしは何を手伝ってもらえばいいのか、80代で老人ホーム入居を考えているのか、現在、ひとりで過ごす高齢者の声も集めました。早めに準備をはじめて、不安や恐怖をなくせる、老後を楽しむための参考書です。

※この記事は『ひとり老後、賢く楽しむ』(岸本葉子/文響社)からの抜粋です。

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