不安をどう乗り越える? 人気女性コンサルタントが教える「42歳で訪れたキャリアの転機、私の克服法」

仕事で転勤や異動、自分や家族が病気を患うなど、人生の転機を迎える可能性が高い中年期。急な報せに焦るかもしれませんが、うまく乗り越えれば残りの人生を有意義に過ごすチャンスにもなります。そこで、『自分らしく生きる! 40代からはじめるキャリアのつくり方:「人生の転機」を乗り越えるために』(石川邦子/方丈社)から、女性が抱えるライフキャリアの悩みとその解決方法について、連載形式でお届けします。

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自分と向き合う期間 ニュートラル・ゾーン

転機が訪れたとき、その変化をそのまま受容して流れに身を任せる人と、その変化に立ち向かって主体的に乗り越えようとする人がいます。

もしあなたが主体的に乗り越えたい、自分で人生をコントロールできるように変わりたい、成長を実感できるように変わりたいと思うなら、それがどのような変化であっても、きちんと向き合い、自分がどのように変わりたいのかを考えることがとても大切です。

このとき、冷静に自分と向き合えるようになるまでには少し時間が必要です。

この時間を持つことがとても大事なのです。この自分と向き合う期間をアメリカの心理学者・ブリッジスのトランジション理論では、「ニュートラル・ゾーン(中立圏)」と言います。

この時期はひとりで思い悩むのではなく、キャリアコンサルタントに相談するか、周囲の信頼できる人に話を聴いてもらうことをお勧めします。

人に話すことで、「客観的な出来事(事実)」と、それに対して「どう感じたのか(感情)」を整理して、自分が「今後どうしたいのか(欲求)」に気づいていくことができるでしょう。

キャリアコンサルタントに相談してみたいけれど、どこで探せばよいのかご存知ない方も多いと思います。厚生労働省が運営する「キャリコンサーチ」というインターネット上のシステムを使えば、地域別に登録されているキャリアコンサルタントを検索して、依頼することができます。

また、「キャリアコンサルティング技能士検索サイト」でも探すことができます。ぜひご覧になってください。

私の転機における自己決定プロセス

私の場合、変化を受け入れるしかないと腹を括り、自分を試す機会と捉えることにしました。このように捉えることができると、「転機」もクライシスではなくチャンスになります。

前職で役員になったときに上司からもらった「あなたは、若いうちから肩書きを持って仕事をしてきたけど、将来会社の肩書きがなくなったときにでも、周囲の人に認められ信頼される人間になりなさい」というアドバイスが常に心にありました。

このまま会社に守られ続けていたら、肩書きをなくしたときに何もない自分しか残らない。「以前○○会社で役員をしていました」という過去の肩書きではなく、「私はこういう人間です」と胸をはって言える何かを持ちたい、自分の力が外の世界でどれだけ通用するのか試してみたい、と考えたのです。

その思いが、カウンセリングの勉強や大学でのキャリアの勉強につながっていきました。ニュートラル・ゾーンの私に付き合い、根気よく話を聴いてくれた上司のおかげで、次のように心を定めていきました。

・客観的な出来事(事実)

現場から離れた役割に変わる

・どう感じたのか(感情)

現場から離れたら自分の存在価値はなくなる。やりたくない。

惨めな思いをしてまで会社にしがみつきたくない

・どうしたいのか(欲求)

辞めて、自分を試したい。カウンセラーという仕事に挑戦したい

これが、この転機への私の自己決定でした。

いかにも潔く転機を受け入れ克服していったように見えますが、実際には不安や後悔に押しつぶされそうにもなりました。不安とは、わからないものに対して持つ感情なので、わからないことを少しでも減らしていく必要があります。

ですから、不安を払拭するために目標を決めて、計画を立てるために必要なことを色々調べていきました。学校を探したり、独立するための方法を模索したり、立ち止まるのではなく、少しずつでもわからないことを潰していったのです。

当時の私は、かなり自己否定的になっていましたが、カウンセリングの勉強をすることで、自分の経験を少しずつ肯定的に振り返ることができたように思います。そして、新たな存在価値を見つけるため、新たな道に踏み出す計画を立てていくことができました。

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不安をどう乗り越える? 人気女性コンサルタントが教える「42歳で訪れたキャリアの転機、私の克服法」 059-syoei-40dai.jpg中年期にぶつかる仕事や人生におけるキャリアの悩みごとに解決法、対処法を5章にわたり解説

 

石川邦子(いしかわ・くにこ)

Natural Will代表。キャリアコンサルタント。1977年、IT関連企業トランスコスモス株式会社入社。1994年、役員に就任。オペレーション部門の統括や人材戦略・キャリアモデル構築、採用・研修などの統括を担当する。ほかに各種事業の立ち上げおよび運営管理、 韓国でのアウトソーシング会社運営指導等に携わる。同社専務取締役を経て、2003年、キャリアデザインおよびストレスマネジメントを支援するNatural Willを設立、代表に就任。日本体育大学、法政大学、白百合女子大学でキャリア教育を担当。2011年、日本産業カウンセリング学会にて学術賞を受賞。2011年からJAICO東京支部キャリア関連講座部の部長など、現在もキャリアコンサルタントの育成に務めている。また、メンタルタフネス研修、メンター研修、キャリアデザイン研修、女性活躍支援講演など講師を務める一方、カウンセラーとして企業内のキャリア支援など多方面で活躍中。シニア産業カウンセラー、1級キャリアコンサルティング技能士、メンタルヘルス・マネジメント検定I種、英国IFA認定アロマセラピスト。著書に『ダメな上司は耳で聞く』(現代書林)がある。

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『自分らしく生きる! 40代からはじめるキャリアのつくり方:「人生の転機」を乗り越えるために』(石川邦子/方丈社)

異動や降格、転勤または独立、病気にけが…40歳以降の中年期を迎える人々に訪れるさまざまな人生の転機。自分の経験を生かせる中年期だからこそ、この転機をうまく乗り越え、その後のキャリアと人生をより良くするためのヒントが詰まった一冊。

※この記事は『自分らしく生きる! 40代からはじめるキャリアのつくり方:「人生の転機」を乗り越えるために』(石川邦子/方丈社)からの抜粋です。

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