<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ちもて
性別:女
年齢:52
プロフィール:子育ては終了。まだまだおばあちゃんにはなりたくない50代。
2歳年下の夫と結婚して20数年経ちます。結婚当初、夫は短気で、外出先の飲食店やスーパーなどで店員の態度が気に入らなかったりするとブチっと切れる音が聞こえるくらい瞬間的に声を荒げることがあり、一緒にいるわたしまでビクッ! そのあとなだめるのにも苦労していました。
普段から怒りっぽいという訳ではなく、夫なりに我慢ならないポイントがいくつかあるようで、数年経つとそれもだんだんわかってきたわたし。自然と顔色を伺い、先回りして怒らせないようにする癖がついてしまいました。
例えば、夫は決してマンションのオートロックを自分の鍵で開けて入ることはしません。インターフォンを鳴らしその回数が3回以上になったり、「おかえり〜」の声のトーンが低かったりすると機嫌が悪くなります。玄関ドアも自分では開けないので、夫がエントランスから玄関までたどり着く前に走ってドアを開けるのも毎日の仕事です。それは話し合って決めたことではなく、結婚当初からの習慣のようなもの。わたしがそうすることで夫が喜ぶから始め、変わるタイミングがなく今に至っているのです。
このように書くと、まるでわたしがいつもビクビクして従順な妻を演じているように思われるかも知れませんが、そうではありません。少しずつ少しずつ長い年月をかけてこれは違うんじゃないか、わたしはこうしたいという思いも話し、改善を重ねてきました。
わたしたち夫婦はお酒が好きで毎晩のように家で飲んでいます。夫は一度座るとトイレ以外では立たず、「あれ取って、これ取って」とわたしをあごで使うので、あまりに腹にすえかねるときは文句を言いますが、そんなとき夫は素直に謝ります。だからと言って夫に冷蔵庫を開けたり皿やら何やらを探されるのは、わたし自身が鬱陶しいので自分で立って世話を焼いてるほうが気が楽なのです。恐らくそうやって夫を持ち上げて気分良くさせられる生活に慣らしてしまったのはわたしで、それがわたし自身の足かせになっていたのも事実です。
家で飲むのが大好きな夫は、外で飲むのは年に3〜4回あるかどうかです。一方友人との付き合いもあり、外でも飲みたいわたし。ですので、夫の飲み会の日だけ自分の予定を入れ、それ以外の誘いは断っていました。友人からはさぞかし束縛の強い夫だと思われていたと思います。それでも子どもが小さいうちはこんなものと納得していたのです。ですが、数年前からふと疑問に感じ出しました。子どもも巣立ち始め、このまま友人とも付き合わず夫とだけの関係を大事にしていて、万が一夫に先立たれたらわたしはどう暮らしていくのだろう、そうなってから友人を頼っても虫のいい話ではないのか、と。そこでわたしは、友人との付き合いを積極的に予定するようになりました。もちろん最初夫は戸惑い、途方に暮れていたようです。突然妻が反撃に出たと思ったかも知れません。「俺は何を食べたらいいんだ!」と声を荒げていた夫に、わたしはあなたも大事だけれど友人も大事だし、何より自分をもっと大事にしたいと思うようになったのだ、ということを伝えました。すると夫も徐々に折れ、今では「いついつ飲みに行くからね」と言うと「じゃ、俺も誰か誘ってみよう」もしくは「デパ地下でなんか買ってビデオでも観ながら家でゆっくりしよう」と言ってくれるまでにもなったのでした。
夫の気分を損ねず、でも物わかりの良い夫に改革するために日々邁進。子育てが終わったら夫育て? そう考える毎日です。
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