骨折をして入退院を繰り返す母が、デイサービスに通うようになるまで

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:せつ
性別:女
年齢:59
プロフィール:田舎で母と2人暮らし。母は、骨粗しょう症とアルツハイマー型認知症を患っているため、私は在宅介護をしています。

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私は、母と2人暮らしをしています。周りは山に囲まれ、バスが1日に数本通るくらいののどかな田舎です。家の周りにある畑や田んぼで野菜や米をつくり、春には山で山菜を収穫し、自給自足の生活をしていました。

母は、骨粗しょう症を患っています。そして85歳のときにアルツハイマー型認知症を患い、在宅介護生活が始まりました。ただ、もともと働き者の母はじっとしていることが全くできず、少し目を離すと家事や片付け、部屋の模様替えなど重労働を平気な顔でしてしまいます。そのため、骨折を繰り返すことが増え、多いときには1カ月に2箇所も骨折してしまうこともあり、入退院の繰り返しでした。

そんな母の骨折を懸念し、私自身も母と一緒に家に引きこもることが多くなってしまいました。でも、このまま人との関わりが少なくなってしまうのもどうかと考え、デイサービスのショートステイを利用することにしたのです。最初は初めての環境に馴染めなかったようで、母自身「行きたくない」とごねる日が続きました。そして私も母が心配でなかなか送り出すことができずじまい。「デイサービスでまた骨折したらどうしよう」「なにかあってもすぐに母の元に行けないことが怖い」となんでもネガティブに考えてしまい、そんな自分も嫌でした。

しかし、デイサービスの方々の根気強いお迎えやお誘い、同い年のデイサービス仲間の協力もあり、母がデイサービスへ行くことを嫌がることが少なくなりました。ですが、骨折を繰り返すことは相変わらず。さらに、骨折していることを忘れて動かそうとするため、治りもかなり遅かったのです。そして、ついに足を骨折してしまいました。足の骨折は1カ月の入院が必要でした。入院してからは足の筋力も衰え、自力で動かすことが難しくなりました。

この頃の母は、動ける範囲が狭くなり筋力が衰え、日に日に細くなっていくのが目に見えるようでした。トイレに行くことも難しくなり、オムツを併用するようになりました。いつかは覚悟していたはずの母の姿でしたが、目の当たりにするとやはり悲しくなってしまいます。

ただ、そんな母の唯一の楽しみは食事でした。母は昔から歯がとても丈夫で、歯に関しては昔から医者いらず。それはもう85歳とは思えないほどの食欲で、なんでも食べてくれます。私は母が前と変わらず食べる様子を見て、だんだんと安心することができました。そしてデイサービスを利用する日、在宅介護の日を決め、スケジュールが落ち着く頃には、私自身の気持ちも母も気持ちもすっかり落ち着き、余裕が持てるようになっていました。デイサービスに送り出すことの不安、衰える母の姿を悲観していたことを乗り越えて、今の母をしっかり見ることができるようになったのです。今では母と過ごす時間を大切に、1日1日を過ごしています。

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